交渉
自己紹介を終え、エテルニテと俺たちはなんとなく打ち解けて来た気がする。
「ふふ、そうなの。ローイはね、」
「エテルニテ様、お茶とお茶菓子……後はシンネリア様をお持ち致しました」
凄く悔しいタイミングでローイさんが帰って来た。後ろにはシンさんもいる。
「ありがとね、ローイ。大好きよ」
「エテルニテ様のご命令とあれば、従いますよ」
全員にお茶とお菓子が配布され、シンさんとリクはエテルニテの両脇を固め、醜い争いをしている。俺とライムさんとロンとローイさんは、座り心地の良いソファで伸び伸びしている。
「ねえ、落ち着いてくれた所で本題に入るけれど……私にお願い事があるんでしょう? 」
あざとく首を傾げ、にこりと微笑む少女が何故だかとても恐ろしく思えた。
「私とこの子、見ての通り獣人なんですけどぉ……村で迫害を受けているんですぅ。薔薇族の所有している森なら、迫害も無く過ごせるって噂を耳にしてぇ……」
「あら、そんな事で良いの?」
エテルニテのポカンとした表情に年相応の愛らしさを感じる。
「薔薇族の出す蜜は万能薬だから、そっちかと思ったのだけれど……ふふ、安心だわ。」
「エテルニテ、蜜の話は控えた方が……」
シンさんの焦りが篭った言葉に、エテルニテが微笑みを零すと、「良いのよ」とシンさんの口元に小さな指を当てた。
「……もう、陽が落ちるわね。シンも、もう帰らなきゃいけないでしょう? お客様方もそろそろ休んだ方が良いわ。シン、いつもの場所に案内してあげて」
シンさんの口元から指を離すと、エテルニテは悪戯っぽく微笑みながら、シンさんに色々指示を出している。シンさんは心なしか頬が緩みまくり、俺の背を再びバシバシと叩きながら、客室とやらに案内し、上機嫌で去っていった。久々の一人部屋である。




