子天使族
と、いう訳で子天使族の里、である。あの後の事は筆舌に尽くし難く、もう言うのを憚られる程である。
「イヤな……事件でしたねぇ」
「そうだな……」
子天使族の居る場所へ続く洞窟を、リクと俺とライムさんとロン様で歩いていた。洞窟は恐ろしいくらいに冷たく、薄暗い。今にも幽霊が出そうな雰囲気だ。まあ適当に進むか、という空気の中進んでいると、突然目の前が真っ白になり、意識が遠退いた。
「…き……ださ……起きて……」
「……おぉうおはようございますこんにちは」
デジャブを感じる起き方である。目の前には空のように青い瞳を持ち、キラキラと輝く金色の巻き毛を一つに纏めている。服は全体的に白く、中性的な顔立ちだ。
「わぁ、おはようございます人間さん。あなたで最後ですよ」
子天使族の方と思われる相手に手を差し出されて起き上がると、普通に元気そうなライムさんとロンさまとリクが、子天使族の方々とお茶をしていた。
「まじか……」
ちょっと損した気分になった。
子天使族の人々はとても温厚で臆病な性質らしい。今まで巡って来たどんな場所より俺たちに優しい。とても浄化される。
「……ほう。色々あったんですね」
俺を起こしてくれたシンネリアシュネッヒンさんこと、シンさんと俺たちは対話を楽しんでいた。シンさんは見た目こそ幼いものの悪魔討伐隊の隊長をしており、一人前の子天使族だ。
「そうなんですよ……っと、ここいらで本題に入っても?」
もっとシンさんと話したい気持ちしかないが、そろそろライムさんとロンさまを薔薇族の元に送り届けなければ。
「ええ、勿論。私に出来る事であれば」
「……薔薇族の住む森に、この獣人親子が住み移りたいらしいんだ。案内して欲しい」
シンさんの言葉が止まった。
「あのぅ……ダメなら、大丈夫なのでぇ……あのぅ……」
チキンのライムさんはロン君の手を握り、おずおずとした様子で熟考しているシンさんに言った。
「…………いや、ダメではないです。ただ、一つだけ。守って欲しい条件があるのです」




