珍道中
モードが仲間になって数日経ち、ライムさん以外がモードに慣れたっぽい。リクはアホみたいにぼったくられ、ライムさんは怯え、ロンはモードを「兄貴!」と呼んで慕っている、という中々にカオスな状況で、俺とモードは優雅に昼間から酒を嗜んでいた。今は小休憩中で、みんな各々好きな事に勤しんでいるようだ。
「ーーあの獣人女さァ、ぶっちゃけどーよ」
ふと、正面にいたモードがゲスい笑みを浮かべて、小声で話し掛けてきた。めっちゃ酒臭い。
「……獣人女って、ライムさんの事か? いや、普通に良い人だと思うけど」
俺の答えが不満だったらしい。ハァアアアアと大げさに溜息を吐き、「これだからチェリーのガキは」と呆れられた。ボコりてぇ。
「ライムさんをそういう対象として見た事はあるが、割と難易度高いぞ……ほら」
溜息を一つ吐き、前にライムさんと紳士的に遊ぼうと思ってベッドに入った時、潜んでいたロンに付けられた腕の傷を見せる。ライムさん自身はクソチョロいんだけどな。マジセコムやべえよ。
「…………それは……やべえな。やめとくわ」
さて。時は流れて夜。今日も今日とて野宿。そろそろ村の一つや二つあってもいいと思うんだけど……。もしかしてワザと遠回りしてる、のか? まさか忘れてるなんて事は無いだろうし。
「なあモード、子天使族のとこまで後どれくらいだ?」
「あ? あーーー……と、そうだな。あー、こっからだとエルフの里ん中通れば半日、エルフの里回避で一週間か二週間ってとこさな」
この黒エルフ野郎絶対目的忘れてただろ。そういう感じの間だったぞ今。
「つまりぃ……エルフの里を超速突破すれば良いって事ですよねぇ? 急がば走れって言いますもんね!」
「走るの得意だぞ!!!!!」
目をキラキラとさせながら走るのは大好きだとピョンピョン飛び跳ねながら元気に答えるロンの隣で、悟りの境地に辿り着いたような怖いくらいのテンションで笑うライムさんには申し訳なく思いつつ、俺達はエルフの里に向かう事になったーー。




