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最後は私の側にいて  作者: 15me
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8話 空壺駅と君と見た屋上の景色




「わぁ!!すごい!!」



「本当に、すごいな…。」



いつの間にか見え隠れしていた月は

曇はどこかに帰り、月明かりが

街中を照らしていた。



田舎町のためか、街灯や街の明かりで

夜景が綺麗というより、

この月明かりに照らされて街が輝いて見える。



「すごい高さ!隣町(となりまち)の学校が見えるよ!」


「本当だ、あの辺は全然変わってないんだなー。」


「全然変わってないって、隣町のことも思い出したの?」



しまった、生前の方の話をしてしまった。



「あー、いや、こっちの話、」



光莉が不思議そうに首を傾ける。



「悠人、私に何か隠し事してる?」


「え、なんで?なんでそんなこと聞くの?」


「んー、何となく?女のカンかな?」


「隠し事なんてしてないよ、

してても大体大したことないよ、記憶喪失なんだし。」



「そっか…、わかった。変なこと聞いてごめんね」



「ううん、俺が変なこと言ったのが悪いんだから

俺が悪い、ごめん。」



「別に誰が悪いとか、責めたいわけじゃないから

そんなこと言わなくていいよ」



光莉が少し困った顔をしながら言った。



「ほら、やっと屋上着いたんだから!

もっと喜ぼうよ。

ほら、後ろ見て!あれが空壺(そらつぼ)駅じゃなない?」



「おぉー。これが空壺駅か…。」



振り返るとそこには僕の想像と違った

空壺駅があった。



空園ビルの入り口からフロント、

エレベーターのドアが開いた時のホール、

どれも僕が生きていた時代にはない

近未来的なデザイン、材質で出来ていた。



しかし、空壺駅は、むしろその逆。

古風というよりも、田舎の古びた駅のような状態だ、

木で出来た柵は古びてボロボロで。

看板も駅舎も白いペンキで塗られた木製で

建てられて何十年も経過してる感じだ。



小さい頃のおじいちゃんの言葉を思い出す。

あの頃は幼くて、言葉の意味を理解出来ていなかったけど

あの日の言葉は間違ってはいなかったみたいだ。



おじいちゃんはどこでそのことを

知ったのだろう?

いまはもう知る由もない。



光莉がこちらを覗き込む。



「多分、悠人も私と同じ感想かな?」


「あぁ、多分同じだよ、

光莉はこの駅を見るのは今日が初めて?」


「うん、実はね、

空園ビルはフロントで切符買うために

悠人と一緒に来たことがあったけど、

空壺駅は初めて。


星見線って旧人類の人たちが来てから出来た線だから、

着く駅も旧人類の人たち関連の駅しかないから

乗る機会もないし、空園ビルの屋上ってアクセスも良くないし、

悠人と流星群と天の川が見たいって話になってから

この天井電車のことも、空壺駅の場所のことも

鯨波展望台のことも2人で調べたから、

あることは知ってたけど来るの初めて。」



光莉の声音が明るくなった。



「だからこんなに古びた駅だなんて思わなかった!

ちょっと面白いよね、

旧人類の人たちが本当に過去の人たちなんだな

って初めて実感したよ。」



「確かに、この街ですら、

あんなに古びた駅じゃないもんな。」



もう自分でない自分の記憶に

疑問を持つこともなくなってきた。



それよりも生前の記憶の駅と

この世界の自分の記憶の駅が同じである

ことに新たな疑問が生まれていた、



生前の自分の記憶と

この世界の自分の記憶と

どこまでが同じで、どこまでが違うのか。



自分の中では整合性が全くわからない。

しかし、この世界の自分の記憶を

意図的に思い出すことが出来ない、



どんなに考え込んでも何も出てこない

ただ頭に力を入れているだけの感覚だ。



「ね、旧人類の人たちの生きてた世界の駅は

みんなこんな感じだったのかなぁ…」


「こんなビルを一瞬で建てちゃう技術力なのに?」


「んー…。世の中わからないことだらけだね、」



そう話している光莉の横顔は

また、何か別のことを考えているようにみえる。



「行こう、次の電車がもう少しかもしれない。」


「そうだね、切符の準備しとく。」



光莉がバックから切符を探しながら

僕と一緒に歩く。


2人は空壺駅の駅舎に向かった。




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