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最後は私の側にいて  作者: 15me
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7話 長い長い長い階段




「おおーっ!!……………お?」



ドアが開くと、悠人が想像した景色とは

違う景色が広がっていた



とても広い大広間、窓は一つもなく

周りをを取り囲むように螺旋階段が

どこまでも上に伸びている。



「まさか窓1つ付けないなんて…

280階の高さなら景色もいいだろうに…」



「ドアが開いたら街を一望!

って思ってたけど、現実は甘くないね。」



隣にいた光莉も残念そうだ。



「とりあえず行こうか、先は長そうだ」



2人顔を見合わせてると

不思議と笑いあってしまう。



階段を登り始める。

木製とも金属製とも石でもない不思議な材質だ。

ヒールならコツコツと音がなりそうだ。



そういえば

いつもはヒールを履いてる光莉も

今日は動くことを考えてスニーカーを履いている、



あれ?また知らぬ記憶が…。



自分が自分でなくなるような感覚に

少し怖くなった。



「それにしても、本当になんで窓がないんだろうね、

ここからでも十分いい景色だろうに。」



「ね、なんでだろう、

何か理由でもあるのかな、」



「流石に光莉でもわからないのか」



「ちょっと記憶喪失の悠人からしたら

何でも知ってるように見えるだろうけど

普通にわからないこともあるの!」



光莉はほっぺを膨らませてみせた。


思いがけずドキッとしたしまう。



「また赤くなって〜、

記憶失くしても悠人は私のこと好きなんだね〜?」



「うるさいなぁ、もう、

光莉が可愛いのがいけないんじゃん」



「きゃー、ツンデレ?男の人のは需要ないよ?

って言いたいところだけど

悠人だから最高に萌える、可愛い。」



「男なんだから可愛いって言うなー!」



僕は触れ合ってた肩で小さな力で小突く。



「照れ屋さんなんだから〜。

何年たっても悠人の

褒められ慣れしてないところ、変わらないね」



「まぁ、何の魅力も取り柄もないって

自覚してるからね。褒められること自体

少ないんだもん。」



誰も得しないとわかっていながら

卑屈なことを言ってしまう。



「そうなのかな?そんな風に思ったことないなー

それに、大丈夫だよ。

私、悠人のいいところたくさん知ってる。

それに15歳の頃からずっと一緒に居るんだよ?

魅力とか取り柄とか言葉で証明するまでもないよ。」



あまりにも眩しく、真っ直ぐな言葉。



暗くて卑屈でマイナス思考の僕には

本当に、勿体ないくらいの人、


どうして15歳で出会っていままでの間

こんな僕の何を選び続けてくれてるのだろう。


感謝しても尽くせない、疑問はいつまで経っても

解けぬままだろう、それでいいと思えるほどの人、



「ありがとう、光莉だけだよ。

こんな僕のことをそこまで褒めてくれるのは、

でも、唯1人、光莉が褒めてくれるだけで

本当に心強いよ。」



ニコニコした光莉が言う。



「悠人のそうやって嘘偽りなく、

ちゃんと自分の気持ち伝えてくれるところ、

すごい素敵だよ。

本当に思ってくれてるんだなぁってわかるし実感出来る」



「不器用なだけだよ、上手な言葉を見つけられないだけ」



「そんな風に思ってるの?

ダメだよ、良いところなんだから、

誇っていいんだよ、そのままがいいよ。

本当に思っているかもわからないような

言葉もらう方が、悲しいよ」



「そうなのかなぁ…。僕にはわからないよ」



そう言うと光莉が繋いでた手を強く握った、



「悠人、私の言葉、信じられない?

いまの言葉だって、悠人を見習って

本当の気持ちを嘘偽りなく伝えてるの、

悠人に影響されていまの私が居て、

それでもお互いがお互いを選び続けてきて

ここまで来た、そうでしょう?

つまり、悠人が私の言葉信じない理由がない!」



「な、なるほど…?」



突然の言葉の嵐に処理が追いつかなかった。

でも、伝えたい言葉と気持ちはよくわかった。



「わかった、信じる。

いや、光莉のことだから信じてたんだけど、

なんか、こう、素直じゃないんだろうね。きっと」



「悠人、頑固なところあるからね、

知ってるよ、大丈夫。」



「頑固なところ…?自覚ないなぁ…」




ふと、2人の瞳に

月明かりが射し込む、



「あ、もうすぐ屋上みたいだよ」


「先に言われた〜。でも、やっとだね!」



光莉は嬉しそうに登るペースを上げる。

僕は少し引っ張られながらも一緒に登る。



「疲れてないの?大丈夫?」


「ゴールが見えたら逆に元気になってきた!」



光莉は手を離して先に駆け出す。



「光莉は若いなぁ…。」


「悠人も同い年でしょう?

おじいちゃんみたいなこと言わないの!」



そこで僕は光莉同い年なことを知る、

話の感じで何となくわかっていたが



「今年で何歳だっけ?」


「23歳だよ!話してなかったっけ?」


「話してなかった、ありがとう。」


「年も忘れるなんて、

やっぱり変な記憶喪失だね!」



「自分でもそう思うよ…、とほほ。」



23歳、ということは15歳で出会って

今日までで、8年間も一緒に居るのか。

だとするといままでの光莉の言葉も納得がいく。



そして2219年で僕が23歳ということは

生前の自分と同じ年で同じ年齢ということだ、



でも生前の世界は

ここまでの科学技術の発展はなかったし、

そもそも旧人類という人たちの襲来はなかった。



やはり僕の生きてた世界とは

別世界なのだろうか…。



先に行った光莉が大きい声で呼びかける



「ほら!もうすぐそこだよ!

2人で同時に見ようよ!」



光莉が屋上がまだ見えない少し手前で

手を差し出して待ってくれてる。



僕は少し駆け足で追いつく。



君の手を取った、くしゃりと笑った君の顔に

僕の心はあの日のようにときめいた。


いつだって僕の手を取って

僕の手を引いてくれたのはやっぱり君だった。



光莉が僕の手を取る


「よし!行こう!」


「うん、行こう。」



そう言って長かった階段の

ラストスパートを2人で駆け上がった。




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