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最後は私の側にいて  作者: 15me
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4話 15歳と記憶喪失


さっきよりも雲が減って

月が照らす時間が増えた

物音ひとつしない閑静な道を

2人の足音だけがしてる。



光莉の横顔を見つめる、

改めてよく見ると綺麗な顔だ、

聡明な人にも見える。



光莉の自観星の話を思い出す。



それにしても15歳…。

いまの光莉の見た目の年齢から考えて

その時から出会ってるとなると

相当長い間一緒に居るはずだ。



そして何より、

15歳の頃、僕は…。

別の彼女が居たはずだ。

泣き出す自信しかないから

いま深く思い出そうとはしないが、



どう言うことだろう、

聞かない方が良いだろうか…。



こんなにも居心地が良くて、

記憶がないとは言え

話の限りいままで

ずっと相思相愛で居る。



そんな2人に疑問を持つ必要が

果たしてあるのだろうか…。





光莉の長い髪が揺れる、

ふと、香った匂いに懐かしさを感じた。



(あれ、この匂いどこかで…。)



思い出そうとした瞬間、

悲しみを止めるための心のストッパーが

思考を遮った。



ダメだ、このままだと泣き出す。

つまりそう言うことなのだろうか…。




「そういえば、いまどこに向かってるの?」



「ん?空壺(そらつぼ)駅だから

空園(そらその)ビルに向かってるんだよ

もしかして空壺駅も空園ビルも知らない?」



「知らない…。」



「記憶喪失ってそう言うこともまで

忘れるものじゃないよね…?変なの…。」



光莉の言うとおりだ、

記憶喪失にしたってその世界の常識まで

忘れるはずはないはずなのだが…。



「まぁ見たら思い出すかもしれないからね!

焦らずに行こうよ!大丈夫だよ。」



その後言い聞かせるように小さく

独り言のようにつぶやく



「きっと全部大丈夫になる。」



そういうと光莉は

繋いでいた手を強く握った。



僕も手を握り返した。




「じゃあさ、いま何年か知ってる?」



(あの日から日付なんて数えてないから、

何年かなんてわからないんだよな…。

最後に日付を見たときは2219年だったけど…。)



「わからないけど…。大体2230年くらい?」



すると、光莉がキョトンとした顔をする、

そしてニヤニヤし出して、こう言った。



「残念!いまは2219年でした!

てことは悠人は未来人かな?

タイムスリップして記憶なくなっちゃった的な?

だとしたらもとの悠人は?ってなっちゃうから

あり得ないんだけどね。」



光莉が声を出して笑い出す



「茶化すなよ〜。こっちだって

真面目に答えてるんだぞー。」



「ごめんごめん、余りにもおかしくて、

笑っちゃったよ、悠人の記憶喪失、

イレギュラー過ぎるよ」



「俺だって困ってるんだからな〜」



(2219年ってことは俺があの日を

目の当たりにした年だから…。

俺が死んだはずの時より過去に居るってことなのか、

でも空壺駅も空園ビルも聞いたことがない。

謎が深まるばかりだ…。)




「わかってるよ!

早く元に戻ろうね。

普通が1番多いからこそ見落としがちだけど、

でも、1番多いからこそ、

何よりも大切でかけがえがないって、

悠人が教えてくれたんだよ?」



「なんだかなぁ、僕らしいなぁ。

自分の気持ちだけど手に取るように

わかって変な感じだなぁ」



暖かな空気が僕らに流れる、

いま世界で一番幸せなのは

2人なのかも知れない。



「悠人、もうすぐ着くよ!

急いでいかないと時間取り返せないからね!」



「はいはい、行こう行こう」



「なにその返事〜、記憶ないのに

もうこんなに心許しちゃってるのー?」



図星でなにも言えない僕を

光莉はまた笑った。



空壺駅があるという

空園ビルは恐らくあの大きなビルのことだろう。



もうすぐだ、



言葉なくとも2人は

先走る気持ちに、

さっきよりも歩調が早くなっていた。




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