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最後は私の側にいて  作者: 15me
28/32

23話 指切り




(では通信はここで切らせていただきます。

他に質問はありますか?。)



見えてないはずなのに、空気を読んだのか

係りの人がしばらく待ってから声をかけた。



「「あ。」」



2人ともその存在を完全に忘れていた。



「大丈夫です!ありがとうございます。」


僕が応える。


(拡大図はしばらくモニターに映しておきます。

しばらく経つと消えますのでご了承ください。)



「わかりました、ありがとうございます。」



僕は重ねて感謝を述べた。



(それでは失礼します。ありがとうございました。)


通信が切れた。




「まだ繋がってたの忘れてたね…。」


光莉が恥ずかしそうに頭をかく。



「だね。喜びのあまり、ついね。」



僕はニッコリ笑う。


光莉も笑いかえす






そのまま2人は

また2人は抱きしめ合う。




抱きしめあった2人は、

お互いの背中に手を回したまま顔を見つめ合う。



いつもはあんなに話す光莉が黙ってる。



背中に回していた手を下ろして

お互いの手を取り合う。



僕は君の唇に自分の唇をくっつけた。





目を閉じた。



キスなんて、何年振りだろうか。


光莉にフラれる2週間くらい前に

キスをしたのが最後だから…。


8年振りくらいだろうか。



唇から、繋いだ手から、


君の温度が上がるのわかる。




細めで目を開ける、

目を開けていた光莉と目があった。


瞳だけで笑ってるのがわかった。



光莉はまた僕の背中に腕を回す。



昔からお互いこのキスが好きだった。

たまに唇で唇を挟むくらいだ。



1分くらいキスをした後、

2人の唇が離れた。




「キスなんて本当に久しぶり、

なんか恥ずかしい。」



光莉が恥ずかしそうに顔を抑えて、

後ろを向く顔と思ったら1周回った。






身体をくっつけることだけが

好きの全てはないこともわかっている。



でもさ、僕はやっぱりこれが好きだ。





あらゆる感情をいつもが入っている気持ちの器。



僕の心はいつもひび割れたコップだ。



そんなつもりはなくたって。


満たされたって。

次の不満を探して、満たされることはない器。



光莉からもらった幸せだって

注ぎ続けてもらわないと

完全に満たされてることはない。



そのコップのような器に

幸せがいっぱいになって溢れ出す瞬間。




それがいまだ。







モニターに映された、連星を見つめる。


緑に光る星が見える。



光莉がモニターを見つめたまま話しかける。



「どっちがどっちの星だろうね?」


「確か、少し色変えたんじゃなかったっけ?

打ち上げる時はわからないから

打ち上がった後に見てくれって感じだった気がする。」



光莉は思い出したように言う。


「そうだった!悠人が赤で私が白!」



「あー。紅白星って言ってたね。」



僕は笑い出す。

きっと笑っているのは僕の知らない僕。

やっぱりいまも変な感じだ。



「つまり緑基調で赤みがかってるか

白みがかってるかってことなのかな?」



「なのかなぁ、

俺は色には少し疎いから難しいなぁ…。」



「女の人は色に敏感だからわかるだろうってこと?。」



「かなぁ、って期待してる。」




「もー、私頼み?。」



「ごめんって、実際、

このモニター見てもわからないし…。」



「えー?本当に言ってる?」



光莉はモニターを覗きながら驚いている。



「わかるの?」



そう言うと

光莉は不思議そうな顔をする。


「逆にわからないことがわからない。」



「マジか…。

申し訳ないんだけど教えていただけませんか…?」



光莉はやれやれと言ったような表情をして

モニターを指差す。



「私達から見て左にあるのが白みがかってるから私の星。

右が赤みがかってるから悠人の星だよ。」



「おおお…。そうなのか…。

そう言われたらそんな風に見えなくもない…。」




「本当にわからないんだ…。」




光莉は悲しそうな顔をする。




「光莉、俺、色盲なの忘れてる?

緑が重度に見えないんだ…。」



「あ…。」


光莉はしまったと言う顔をする。



「みんなすぐ色盲のこと忘れる。

まぁ。確かに僕も他人も日々にそんな影響ないからね。」



「なんでそのこと言わないの!」


「光莉が忘れてるとは思わなかった。」



ちょっと拗ねた顔をしてみせる。




「ごめん…。私、悠人の彼女失格…。」



光莉は本気で落ち込んでるようだ。



「いや、そこまで落ち込まなくたって…。

冗談だから…。」



僕は少し焦って光莉を励ます。



「でも、たまに無意識の自分の考えの頑固で

勝手に怒っちゃうの、ちょっと気をつけてるつもり

だったからちょっと…。自分にも嫌気がさして…。」



「気にしすぎだよ、

光莉のそういうところもわかってるつもりだし。

またやってるよ、くらいに思ってるよ。」



「でも…。」


光莉の言葉を遮って僕は言葉を続ける。



「何より、そんなこと程度で

僕の愛が揺らぐはずないだろう?」



「悠人…。」


少しだけ涙ぐんでいる。



光莉の頭を撫でる

髪がボサボサになるように強く撫でる。



「さっき久しぶりのキスをして

その後すぐに泣きそうになるなんて。

可愛いやつだなぁ、そんなところも大好きだよ。」



「もう…!悠人…!。」



光莉に飛びかかるように抱きしめる。



「うおっと!」


「ごめんなさい…。少し怖かった。

すぐフラれるとか別れるとか考えちゃう。

やっと出会えたのに。

私はバカだ…。本当に…。」



光莉の頭をポンポンと叩く。



「大丈夫だって。

お互い、ずっと一緒に居たいってわかってるんだから。

たまに信じれなくなる瞬間もきっとある。

でも、後から気付けたならそれだけでもすごいよ。

だからまた出会えた。」




一筋、涙が光莉の頬を伝う。

泣きじゃくる感じではないが、

ふてくされたような顔をしている




僕は言葉を続ける。


「いま話したことさえ忘れそうになる。

でもさ、人だからさ、僕も光莉も間違える。

だから、僕ら2人だけは、

何度でもお互いを許し合おうよ。」



「うん。許し合う…。」




こんな話をしたことさえ、

光莉はいつか忘れてしまうのだろうか。

でも、信じるよ。僕はそうありたい。




「じゃあ…。指切りしようか。」



「うん…。忘れない。」


泣くと言うよりは涙が少し流れてる。





僕と光莉は指切りをした。




忘れないように誓い合う。


許し合う2人で居ようと。




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