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最後は私の側にいて  作者: 15me
24/32

記憶のかけら あの人のこと。そして私はあの日に帰る。



あの人は本当に素敵な人だった。




仕事も出来て仕事以外のことも

そつなくこなせて、

結婚した時にだってきっと

何の不自由もなくやっていけるだろう。


気が利いて、私のことにすぐに気付いては

声をかけてくれた。


私がミスして怒られても、

ニヤニヤしてしまう。



彼は注意しながらも私のミスを

全てカバーしてくれた。


仕事としての体裁を保ちながらも、

彼氏としての振る舞いも忘れなかった。


全てが器用にこなせて。

そんな彼に尊敬や憧れを抱いていた。


そんな彼には私に彼氏がいることは

話していなかった

当時は特に理由もなく成り行きで

教えてなかったつもりだったが。

いま思えばあの時から多少は気があったのだろうか。


我ながら、抜かりないというか、

私の根底的な素性は男の敵なのかもしれない。



付き合ったあとも、

それはそれは、何ひとつ問題なく。

私達の恋愛は進んでいった。



実際のところはきっと、

私は悠人の頃から何も変わってない。


ただ、彼がの気遣いや、優しさで、

全ての喧嘩が未然に防がれていたのだろうと、

悠人の気持ちを考えた時に気付いた。



当たり前のように誕生日のサプライズ、

1年ごとの記念日のデート、

クリスマス、一緒に年越し。


どれも素晴らしくて、間違いがひとつもなくて、完璧で。



いま振り返っても、

どの友人にも自慢出来るような、

そんな思い出たちばかりだ。





でも、どうしてだろうか。

どんな時にも思い出すのは、たった1人。


忘れられないたった1人。



そして気付くんだ。

あの人は、とても素敵で

完璧な人の1人だけど。


きっと、

その相手は、私じゃなくてもいい。





でも、何年、時間が経っても忘れられない

悠人のようにそんな人にはなれない人だとも。


悠人のこと思い出すたびに思った。



彼はいまも私じゃないとダメなんだろう。


何年離れてても、手を取るようにわかる。


きっと泣きすぎて、涙も枯れ果て、

それでも苦しみの渦の中から抜け出せなくて。


私が手を差し出す日を待っているのだろう。




だから私はその人と別れた、


彼は私を止めなかった。


それは世間体のため?

私を思ってのこと?あなたの本心?


いずれにしても、あなたは最後まで完璧だった。



私なんかいなくても

きっと幸せになれるよ。


何も心配してない。


だってあなたは、私なんかじゃ釣り合わないくらい、

すごい人だった。


いままた出会っても同じくらい

良い恋愛が出来るだろう。



でも、私は、あなたより不完全な、

でも、忘れられない人を選ぶことにした。


ごめんね。






×××××××××××××××





「いや…、悠人と別れた時は

ちょっと色々ありすぎて…。

報告しそびれちゃってた、ごめん。」



「まぁ、そこは気にすることではないよ。」



「でも、大丈夫?

元カレが死んだことはもちろん

すごい悲しいことだとは思うけど…。


なんていうか…それだけじゃない気がしたけど。」



「流石、私の幼馴染。わかってるね。」


「そりゃ何年の付き合いだと思ってるの、

そんじょそこらの彼氏なんかより

私の方が光莉のことわかってるわよ。」



「頼りになるなぁ。」



「そう、私、悠人の後に付き合った人と

2年ちょいくらいで別れて、

理由は、1年2年経っても、

小さなことで悠人のことを思い出して。

その度に後ろめたさとか、やっぱり好きなんだなぁ

って思い知らされて。」



「別れた後に、悠人の行方を捜したんだけど。

友達に聞いても、ある日から連絡が取れなくなった

って聞いて、その日は私と別れて日で、

でも死んだら流石に誰かしらが、知ってるはずだから

死んだわけじゃないと思って。」



「色々当たってみたんだけど、全然見つからなくて…。

旧人類の人たちも倫理がどうので

いくら出してもやらないって言われちゃうし…。」



いつもはお喋りな友達も、

今回はちゃんと私の話を聞いてくれてる、

やっぱりちゃんとしてるなぁ。



「私、決めた。」


「何を?」


「過去に行って、悠人とやり直してくる。」


「過去に行くって…。時間移動!?

本気で言ってるの!?

帰ってきた人が居ないから

違う時間に移動した証明がないから、

旧人類の非人道的な実験の実験台にされてるって

噂があるのに!?」



「噂があっても、いい、

それでも私は、悠人に会いたい、

やり直して、次こそは。

最後まで添い遂げてみせたい。」



「でも…、それは…。ダメだよ。

光莉がこの世界から居なくなっちゃうんだよ?」



「ごめんね。いまのあなたとは会えなくなるけど。

この世界での友達とも会えなくなる。

でも、それでも、私は。

悠人に会わなくちゃいけないの。


それだけ酷いこと、悠人にしちゃった。


何も知らないだろうけど向こうで悠人に謝って。

次こそ添い遂げて。それでやっと

私の償いなの。」



「光莉…。」



その時の私がどんな顔をして、

どんな目をしていたかわからない。


でも友達はそれ以上止めることはしなかった。


私が一度決めたことを曲げない、

頑固なところがあることも知っていたし、


私の気持ちを理解してくれたのかもしれない。




「まぁ光莉は1度こうと決めたら

絶対曲げないもんね。

行ってきな、私に出来ることなら

手伝ってあげるから。」



「ありがとう。本当にありがとう…。」





その後、私は

時間移動のために必要な手続きを進めた。



時間移動の理由を事細かに説明し、

時間移動の費用が借金ではないことの確認。

移動時間分の寿命の喪失。


あらゆる確認や手続きの果て。


私はやっと時間移動の許可が下りた。





×××××××××××××××





友達に報告をするために、

あの日と同じ喫茶店に集まった。



「ついにだね、お疲れ様。本当におめでとう。」



「ありがとう、あなたの助けがなかったら

きっと出来なかったよ、本当に感謝してる。」



「ここまでしたんだから、

過去の私によろしくね?

過去の私に有益なこと教えちゃってもいいんまからねー?。」



「それは旧人類の人たちに禁止されてるから…。

向こうでたくさん助けるよ。」



「あらま。残念…。

わかった、私の人生をより良いものに

出来る暇があったらお願いね!


でも、あくまで悠人くん最優先だからね!。」



「わかってる、ほんと、

本当にありがとうね。」



「何回感謝してるの!、

もう十分伝わってるよ!

私は大してなんもしてないし

ほとんど光莉1人の力じゃない!」


「ううん、あなたがいなきゃ出来なかったよ。

嘘じゃない、だからこんなにも感謝してる。」



「光莉居なくなるのは寂しくなるけど。

こっちはこっちで頑張るから。

時間は違えど、私達も悠人くんと同じように

きっと、繋がってるよ。」



「ありがとう。………また言っちゃった。」



大声で笑い合う、

こんな時も、この世界じゃ最後、

不安がないといえば嘘になるでも、


悠人を助けたい。

その気持ちだけが私を動かしていた。




腕時計を見る。


「時間だ、行かないと。」


「そっか。ついにだね。」


「うん、じゃあ、また向こう側で。」



友達はまた大きな声で笑った。





×××××××××××××××




うまく説明は出来ないけど、

とりあえず言葉にするなら、大きな装置。



私の理解では遠く及ばない。

旧人類の人たちの叡智の結晶。



私は言われるがまま装置の中に入る。



時間移動先の秒単位での確認。

時間移動先での注意事項の確認。


ここまでに何度も確認されたことを

再度、何度も確認される。




そしてついに、その時がきた。


装置の窓が閉じられ、

真っ暗の中に立たされる。


大きな音と共に、

身体が洗濯機に中に放り込まれたような感覚に陥る。


平衡感覚を失う。


吐き気やあらゆる考えが巡るより早く、

有無言わさず、私は気を失う。





×××××××××××××××





気がつくと、懐かしいベット上にいた。


見慣れた位置にあった時計を見る。


時刻は午後11時。


私はもうベットの中か、

我ながら、健康的な時間だ。



ここから、この世界での全ての過去が始まった。





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