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最後は私の側にいて  作者: 15me
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2話 起きたあと






目を開く、


天井にシミはない。




声がする。


「やっと起きたの?

本当に死んじゃったら笑っちゃうよ?

ちょっと冗談にもならないけど。」



そこには知らない同い年くらいの女性が居た。



少し怒った声の中に心配が感じる。

ムッとした顔でこちらを見ている。




青い病院に月明かりが射し込む。



月が薄い雲を透かして輝いている、




僕は尋ねる。


「君は誰?

僕のこと知ってるみたいだけど。」



「早く行こう?

時間が無くなっちゃうよ?」


彼女は僕の質問に、答える気もなく

自分の言葉を応えた。



このままじゃわからないことだらけだ


負けじと質問を続ける。



「時間が無くなる?なんの?

てか質問に…。あっ!」



彼女が僕の手を強く引いた、




「約束してたでしょ?

忘れちゃったの?

あんなに楽しみにしてたのに」



「だから、そもそもこの状況自体

何が何だかわからないんだって!」



「何それ?冗談でも

流石に頭にくるんだけど?

約束を忘れるのはひどいよ。」



少し怒らせてしまったみたいだ、


彼女は言葉を続ける。


「いいよ、ゆっくり行こう?

すぐに終わっちゃうわけじゃないもんね

でも、もし見れなかったら

私の遊びに今度付き合ってもらうからね。」



そういうと彼女は強く引いた手を離すと思いきや

引っ張ることはせずに手を繋いだ、



引っ張られてたとはいえ、手を繋いでいたことに気づき

改めて意識してしまった、




俯向く僕に

彼女が覗き込む。




「なんで赤いの?大丈夫?もしかしてまた熱出たの?

急に動かしちゃったから?ベット戻る?」



心配そうに見つめられて余計に体温が上がる。



「大丈夫だから!

そういえば、どこに向かってるの?」



彼女が呆れた顔で見つめる、



「まだその記憶喪失ごっこやってるの?」



「ごめん、本当に思い出せなくて、」



悠人(ゆうと)が決めたんでしょ?

ふたご座流星群のピークと

天の川のピークが重なるから

今日の夜2人で天井電車に乗って

一緒に見ようって誘ってくれたんじゃん。」



そうだったのか…。

ふたご座流星群も天の川も知っているが

天井電車という言葉にまったく心当たりはない。



悠人?僕の名前を知ってる?

名前?



「そういえば名前…。

君の名前ってなんていうの?」



「はぁ…、そこまで続けるなら付き合ってあげる。

私の名前は嶋野(しまの) 光莉(ひかり)

よろしくね、加田(かだ) 悠人(ゆうと)君?」



嶋野光莉…?知らない、思い出せないのか…?




「ありがとう、嶋野さん。

僕にもわからないけどいま、記憶喪失みたいで

この状況のこと、まったくわからないし、

思い出せないんだ、申し訳ないけど

記憶を思い出せるように手伝ってくれないかな?」





次第に嶋野光莉という女性は表情が曇ってゆく、

本当に記憶喪失だと疑い始めてるのだろうか?

(本当に彼女を知らない信じてもらわないと困るのだが。)

単純に動揺し始めているのもわかるが、

それ以外の感情?考え事をしているように見える。

気のせいかもしれないが、





沈黙が続く。





10秒ほどして彼女が話しだす。




「本当に記憶喪失なの…?

意味がわからない、何があってそんなこと…、

この前だって普通に出かけてたのに…」



その言葉を発した瞬間から、

現実を受け止め始めたのか

彼女、嶋野光莉はとても動揺して、

落ち込んだ様子だった。



それはそうだろう、

友達か恋人かまだわからないが、

忘れられてしまってるのだから、



でも、僕が出来る最善はこれしかない、

曖昧にしてる方こそ、彼女を傷つけてしまうだろう。




しばらくゆっくりしたペースで歩いた後

彼女がそっと手を離してこっちを向いた。




「もう!くよくよ考えるのやめた!

忘れたなら思い出させてあげる!

私達のいままでを!何をしてでも!

これからもずっと、

私達はこうして離れそうになっては

お互いがお互いを手を引きあって、

離れないようずっと一緒に居たんだから

何も変わることはない、こんな程度の問題

いままで私達超えてきたもの、

だから大丈夫、心配しないで

今度は私が悠人を守ってみせるから。」




その言葉は強く、

でもどこか不安そうで儚げで、

でも決して砕けることない意志と覚悟を感じた。




その時、訳もわからず涙が出てきた、

理解するよりも早く彼女が僕を抱きしめた、




「そうやって、いつもすぐ泣く、

記憶を無くしても何にも変わらないね、

そんな君が、私はずっと好きだった、

そしてこれからもずっと守り続けて

愛し続けるの、信じて。」



釣られて涙目になってる彼女の顔を

気づかぬフリをして抱きしめ返すことも出来なかった。



僕はいま、失った記憶よりも大切なものを

得た気がした、さらに溢れる涙を

見えないはずの光莉はさらに強く抱きしめた。




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