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最後は私の側にいて  作者: 15me
15/32

13話 夢のあと




目を覚ます。



まだ虚ろな意識に中に声が飛び込む、


僕を呼ぶ声がする。



「…と!…うと!…悠人!」



………………光莉?



「悠人!」



気がついた。



気がつくと、


意味もなく、理由もなく、

止めどなく涙が流れ続けていた。





知ってしまった。



何故いままで忘れていたのか。


君の名前は、嶋野 光莉。


僕、加田 悠人が15歳から付き合っていた人がいた。

君だ、光莉。


そして僕は。君を失って、全てを失って。

命を投げ出した、哀れな男。



全部、


全部、思い出してしまった。


どうしてだ?

どうしてこんな事…



…いままで忘れていた?



死ぬ前の記憶は全部あって

ここで目覚めたはずのに。


15歳の時には別の付き合ってる人が

居たって思い出していたのに?




トラウマで忘れたにしたって

理屈に合わなすぎる。



何が起こった?

何が起こっている?



光莉が心配そうにこちらを顔を覗く。



「悠人、大丈夫…?

なんで泣いてるの…?

すごい涙の量だよ…?」



「……………思い出した。」


「えっ?記憶戻ったの!?」



光莉が驚きの声を上げる。



「違う、思い出したんだ。」


「何を…?」



「光莉、僕がただの記憶喪失じゃないことぐらい、

とっくに気付いてるんでしょ?」


「それは…。」



光は黙ってしまう。



「教えてくれないか?

2人のこと。知ってるなら、僕も知りたい」


「悠人…。」



(間も無く、終点、鯨波展望台です。

両方のドアが開きます。

お客様は降りる準備をお願いします。)




アナウンスが流れた。




少し黙って光莉が答える。


「わかった。でも少し待って、

ちょっと前に言ったけど、

話そうとは思ってたの。

でも私の中にもタイミングがあって、

鯨波展望台の、2人の星を見る前に、

展望台の敷地内にある

星見広場ってところで空の星でも話そうかな

って考えてたの。」



「そっか………わかった。」




理解出来ない。

やはりここは別世界?

光莉と僕が上手くって別れることのなかった世界?


だとしたらなんで、

あんな世界の僕が。こんなところに。




鯨波展望台駅が見えてきた。


そういえば。空の天井を下った覚えがない。


「光莉、空の天井って下った?」


「ううん、降りてないよ。

鯨波展望台は空の天井の上にあるの。」


「空の天井の上…?

空の天井より高い山なんてあるのか…?」



「まさか、外見ればわかるよ。」



僕のさっきの言葉もあってか、

いつもより距離があるというか、

緊張を感じる表情だ。




外を見る。



「あれは…。」


空に浮かんでいる。


でも光がなくほとんど真っ暗で

その全貌は見えない。



「浮いてるのか…?」


「すごいよね。

実はひとつ前の駅の空原(そらはら)駅が

空に浮かぶお城みたいで、

起こそうか悩んだけど。

帰り見れるだろうから寝かせておいちゃった。」


「そうだったのか…。」



一緒に見たい。

そう思った、つまり、

僕はいまも君と生きていきたいと

思ってるんだろう。



あんなことをされた後で、

まだ信じている。



負け犬のように。ただ吠えている。

お腹を空かしても動くこともせず、

餌が来るのを待っているかのように。



(鯨波展望台、鯨波展望台です。)



「ほら悠人、降りるよー。」


「わかってるって。」



手は差し出されなかった。



光莉もそれだけさっきの言葉で

余裕がなくなったのだろうか。



それともまた…、

歴史は繰り返されるのだろうか。



2人は鯨波展望台駅に降りた。




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