表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最後は私の側にいて  作者: 15me
10/32

9話 天井電車




白いペンキで塗られた木製の駅舎の中に向かう。



「旧人類のものとはいえ中身はちゃんと

この世界と同じなんだな。」



切符を買う機械、ICカードのチャージも出来るようだ。

僕はそもそもあまり外出する人間ではなかったから

ICカードすら持ってないのだが。



改札も特別変わった様子はなく、 この世界にあるものと同じ

何の変哲も無い、いや、これを知らぬ人からしたら

ある意味変哲しかないだろう、自動改札だ。



「ね、空園ビルのフロントで切符買えたから

さっき空壺駅初めてみた時、古すぎて

この切符使えないんじゃないかってドキッとしちゃったよ。」


「確かにこの駅舎じゃあな…。」



そんなことを話してる途中

時刻表の看板が目に入る。



「あそこに時刻表があるよ」


「本当だ、次の電車の時間は…。

2:30だから…、あと3分くらいだ!

あと少しだ!急ごう!」


「1:30!?そんなに遅い時間だったのか…。」



そう言えば時計を見てなかった。

綺麗な星を見たいと考えたら

これ以上とない時間だが…。



てことは体内時計換算しか出来ないけど

僕が起きた時間が24時前後…?



「何言ってるの、遅いって言いながら、

この時間いつも起きてるじゃん。」



夜型なのも

生前のときから同じなのか。

そりゃそうかって感じだが。



「それは世間の皆々様に気持ちを合わせて

言ったつもりなんです〜。」


「世間の人たちなんかどうでもいいって思ってるくせに。

世間の目は気になるの〜?」



光莉が珍しく嫌味っぽく言う。

その顔は小悪魔的である。



「意地悪なこと言うなぁ〜。」



光莉はおどけた顔をして舌を出してみせた。


そしてハッとしたように時計を見る。



「ほら!急がないと!もう電車来ちゃう!」


「急がなくても、改札出て目の前がホームだよ。」


「あ、そっか。」



光莉は急に天然になる瞬間がある。

それだけ何に対しても全力なのがわかる。




自動改札に切符を入れる。

問題なくゲートが開いた。



「よかった、切符、何の問題もなくて」


「そうだね、大丈夫だろうってわかってても

ドキドキしてたよ」




(天井電車、鯨波展望台行き、

間も無く到着します、お気をつけください。)




到着のアナウンスが流れた。



4両編成の短い、古びた電車がやってくる。

銀色が基調で、青と黄色の横線が一本入ったデザインだ、



正直、こんな古い電車見たことないし、

よく走っているなぁと感心してしまう。



ドアが開く。

2人は黙ったまま繋いだ手を強く握った





×××××××××××××××




(この電車は当駅で5分ほど停車します。

しばらくお待ちください。)



アナウンスを聞いた光莉が言う、



「流星群の影響かなぁ?

いつも止まるかもわからないんだけどね」


「でも丁度いい、空飛ぶ電車なんて初めてだから

内装よく見れるよ。」


「確かに!一緒に端から端まで見よう!」



光莉が僕の腕にしがみつく。

手を繋ぐ以上の人の体温に思わず涙腺が緩む。

光莉にバレないように堪える。



電車の中は古びた点以外は意外にも普通だった、



「これが天井電車かぁ…」


僕は思ったままの感想が出た。



光莉も確かめるように周りを見渡す。



「これで空を走ってるなんて変というか、すごいよね。」


「ね、電車自体も内装も古すぎて懐かしくもないし、」



「あ、そういえば…。」



光莉が呟く。



「ん?」


「この電車が空を走ってる原理、

全然わからなかったね。」


「そういえば…そうだったね。

よくわからないところから現れて、

当たり前のように空飛んでたね。」



天井電車が来るところを見ていたが、

電車が通る少し手前でレールが現れていた。

どう言う原理なのだろう、

確かに空にレールがあったら景観を損ねてしまう。


つまり、そこにあるレールを見えないようにして

電車が通る時だけ出現させているのだろうか、

説明出来ない技術だ。



「流石、旧人類の人たちってところなのかな。」


「悠人、記憶思い出す前に

この世界に順応し始めちゃってる」



光莉は嬉しそうに笑っている。



「このまま思い出せなくても、

平気なくらい順応するのは悪いことじゃないさ」


「確かにね、私からしたら

思い出すに越したことはないけどね!

沢山の同じ想い出共有したいし」


「そうだよね、頑張って思い出すよ、

頑張ってどうこうなるものでもないけど、」



おどけて見せたけど、半分本気だ。

いまの状況になった答えは絶対見つけてみせる。

そしてこの世界の僕の記憶のことも

全て思い出して知りたい。



(間も無く電車が発車します。

ドアが閉まります、挟まれないよう

注意してください。)



扉が閉まった。

目的の流星群と天の川まであと少しだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ