1話 消えたはずの僕の続き
天井には宇宙があって
シミの数を数えてたら
いつの間にか僕は居なくなってた
心はここにあるのに
身体を失くして、
でも、今更泣く人も
ましてやこの部屋に来る人さえ居ない
悲しくはないよ
今までずっと、そしてこれからもずっと、
変わることはないから
恋も愛も家族も血縁も、必要ないよ
手に入れると
いつか手放さなくちゃならなくなる
誰かを失って泣くのは
あの日が最後って決めたんだ
あんな思いをするくらいなら
もういっそ、喜びも幸せも、
あの人の笑顔を見ることだって、
あの人?
あぁ、思い出しちゃダメだ、
あんなに昔のことだろう、
匂いも声も温度も、とっくに忘れた、
だけど、
記憶の中のあの時の姿だけが
何回目だろう、
こんなことで涙が止まらなくなるのは、
こんなことって、何よりも大切なくせに、
固執して、忘れられなくて、
実はまだ手放してなくて、
どうしようもなくて
取り返しなんてきっとついてなくて
だけどいまもずっともどかしくて
心のどこかまだ期待してて
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屋上にある駅を見かけて
電車も汽車も、
人も来ることもその線路が
使われることもない
あった理由はきっと
ずっと昔の人類の誰かの為だったって
老いた声を思い出して
そんな時代を生きてみたかったな、
さぞ幸せに満ちていたのだろう、
全てが幸せに満ちていたならば
滅ぶことはないだろうという考えは
太陽に向かって立って影を知らぬように
未知に対する興味によって消えていた。
このままどうなるのだろう、
この部屋の行く末を眺め続けるのも
外の景色の変化を見続けるのも悪くはない。
また、あの駅に電車や汽車が走っている
ところが見られるかもしれない
声がする、
懐かしくもない、知らない声だ
不器用で、意地っ張りで
だけど優しさを感じる、そんな声だ
この感覚は…?
目が覚める?
僕の身体はもう無いのに、
誰だよ、やっと全てが終わって
楽になれたところなのに
何を今更、何の用で、
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