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Ecouter‐Encounter

作者: 八樹聡
掲載日:2016/10/03

どこからか、音が聞こえる。


遠くから響くような感覚もあり、

近くで鳴るような小ささも持ち合わせている。


聴きようによっては、どうとも取れるその音。


時計の振り子のような無機質さを持ち、

爪弾かれる弦楽器のような繊細さを感じさせ、

力強く打ち鳴らされる打楽器のような震えを持ち、

流麗に奏でられる鍵盤楽器のような旋律を持っているようでもある。


その音は、器械から発せられるものでもあり、

そうではないようにも聞き取ることができる。


一定のリズムを刻んでいたと思えば、

また別のリズムが折り重なる。

リズムの折り重なりは混沌を生み出し、

互いに掻き消し合うような作用を生み出す。

生まれ出た混沌は、やがて遠ざかり、

無音を生み出す。


広がった無音を聴いていると、

またどこからか、音が聞こえる。


聞き覚えのある、声のような音。

意識を向けずとも、聞こえてくる。


あの時、聴いたような、優しい声。

その時、聴いたような、美しい声。

どの時にも聞こえていた、あの声。


声は、聞こえてくる。


この声に耳を傾けていくことで、

これから起こること、

これから進んで行くことに、

不安と、期待が綯い交ぜになっていく。


どこからか、音が聞こえてくる。


どちらも等量であるが故に、

聞こえるものに、

見えるものに、

何かノイズに近いものを感じている。


ただ、

それでも、

見えるかもしれないものがある。


今は、それだけで良いのかもしれない。


どこからか、音が聞こえてくる。


この音を、見つめることに、

どこか、何か、楽しみがある。


ほんの小さな感覚ではあるものの、

何かを感じている。

確信と言うにはあまりに小さい、願望のような感覚。


どこからか聞こえる、この音に。

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