83
今日は護身術の練習でクタクタだった。
自分の魔法だけじゃ癒された気分にならなかった私は、おねだりしたんだ。
おねだりされたデュークさんが魔法を掛けてくれる。
王様におねだり出来るのは、私の特権で、いいよね?
仲良く食事を済ませてから、私は夜着に着替える。
寝室に入るとデュークさんが待っている。
ベットの上で。
そんな王様は、ちょっと意外そうな声で言うんだ。
「服を着たのか?」
なんだ?
裸で部屋をウロウロしろと?
おいおい、どんなプレイなんだよ?
「え?何いってるの?」
「どうせ、直ぐ脱がせるのになぁ…」
そう言って、隣に来た私を抱きしめて、寝かせてしまう。
デュークさんが、私の頬に手をかけた。
「どうした?」
「え?」
デュークさん、もう寝るだけなんだけど、やる気満々じゃん?
…。
いいけど。
と、いいますか、今日の私達は、なんと申しましょうか…。
いや、いいんだよ、やっと会えたんだから。
こんな奇跡みたいな再会は、ありえない事だけど、起こったんだから。
そうだよね、いいよね?
そう思いながら、私は言い訳を始める。
「私達、なんか、サカリのついた猫みたい…」
「なんだ、それ?大体、おまえは犬だろう?」
「もう!」
私はデュークさんの頬を軽く抓る。
「あのね、猫って、発情期に五月蝿い声で鳴くの知ってる?」
「知らないな」
そうだよね、デュークさんは野良猫と接触する機会も無いだろうし、猫も飼ってない。
自分が猫の癖に、猫の習性を知らないとは。
「もの凄い、大きな鳴き声なんだよ」
「そうなのか?じゃ、猫は、なんと言って鳴いてるんだ?」
「たぶん、やりたいよー、だと思う」
「直接的だな?」
「だって、動物だもの。野生だから、恥ずかしくもないんだろうな。とても、大きな声で鳴くの」
私達は鳴かないよね?
あ、けど、声、出してるわ。
しかも、大きいかも…。
「それで?」
「えーと、毎晩鳴いて、喧嘩して、やることをやる」
「それと俺たちが、同じってことか?」
「うーん、ちょっと違う。だって、これは、例え話だから」
「けど、例えるってことは、似てるんだな?」
「そうだね。けどね、違うところがあるのよ?」
「どこが違うんだ?」
肝心な所が、ね、違うんだぞ。
いいか、聞け?
「だって、私達は一番愛してる人としか、しないもん」
笑ってる。
その笑顔、素敵過ぎるよ。
「そうだったな?」
「そうだよ?デュークさんとしか、やらないもの」
「そうだ、俺もカナコとしか、やらない」
でしょ?
「だけど、毎晩は同じだな?」
「うん、特に、今日はやりすぎ…だったよね?」
赤くなる。
本当に、やりすぎだよ、私達。
誰も止めてくれないから、やりたい放題してる。
「それだけ、愛してるんだ。仕方が無い」
そっか、仕方ないんだ?
それでいいよね?
「そうだよね?いいんだよね?」
「いい、当たり前だ。なぁ?」
デュークさんの赤紅の瞳が、潤んでいるんだ。
どうしよう、その瞳には弱いんだ。
「どうなんだ?カナコは足りてるのか?」
ああ、もう、その目で見ないでよ。
火がついちゃう…。
「足りてない、よ?」
「俺もだ」
きっと、デュークさんは確信犯なんだ。
私が拒めないことを知ってる。
頬に掛けた手が、導くんだ。
深いキスへと導くんだよ。
もう、言葉が出ないよ、感じてるんだ。
「時間はたっぷりある、覚悟しろ?」
「馬鹿…」
その言葉通り、今夜のデュークさんは容赦なかった。
散々、指で、唇で、その優しい声で、私を感じさせるんだもの。
ここが何処で、今が何時かわからなくなりそうだ。
恥じらいも、躊躇いも、もう、残っていない。
だって、この世界で一番安全で、一番愛に溢れてる場所に、私はいる。
この私を裏切らない、世界で一番、愛していて、信じていて、大切な人と一緒にいるんだもの。
ただ、デュークさんからの愛を感じて、声を出し、応える。
そうしても、大丈夫だって、知ってるから。
デュークさんは、絶対に私を守ってくれるって、知ってるから。
だから、こそ、私はデュークさんにしか見せない私を見せるんだ。
愛おしいんだもの。
そんな感情があるからこそ、安心して感じることができる。
体を交わすことで繋がれる絆があるんだと、思う。
私達は、決して離れない。
「大丈夫か?」
散々愛した後で、そんな事聞く。
可愛い。
私のデュークさんは、可愛いんだ。
「大丈夫じゃないよ」
「え?」
どうだ?想像してなかった返事だろ?
「デュークさんが好き過ぎて、大丈夫じゃない」
「カナコ、おまえは…」
「何?」
「カナコはカナコだ」
「なに、それ?」
大きな手が、私の長い緑の髪に触れる。
「外見が変わっても、おまえはカナコだ。俺が愛するただ1人の女だ」
「ますます、好きになっちゃうよ?いいの?」
「いいさ」
また、キスされた。
散々触れられているのに、私の肌は、まだ、デュークさんを求める。
「愛してくれる?」
「おまえの願いを拒めるほど、俺は強くないからな、…」
デュークさんの苦笑いを、私はキスで塞ぐ。
息も出来ないくらいに、してやる。
苦しいって、言わせたいんだ。
あ、けど…。
「くるしい…、よ」
デュークさん、ギブです、ギブ!
「カナコ、おまえから仕掛けた癖に」
肺活量か?
肺活量の差なのか???
「なんか悔しい…」
「愛してやるよ?」
「私が愛したいのに、」
「駄目だ、俺が愛してやる」
「もう…」
「おまえが、俺だけの女だって、おまえに刻みたい」
もう、言葉がでないよ。
それが、ちょっと悔しくて、もの凄く嬉しい。
私は自分をデュークさんに委ねた。
数日が過ぎた。
リックが処刑された。
それはジョゼが教えてくれた。
私とデュークさんはその事には触れずに過ごした。
リックの馬鹿。




