表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/192

67 あなざーさいど 8

アンリ・ハイヒットは思考してる。






参った。

フィーの居所は、依然として掴めずにいる。




ただ、妙な噂が流れてくるんだ。

リック・リトルホルダーが重病で床に臥せっている、と。



彼は陛下の信頼厚い部下であった男だ。

が、リリフィーヌ様が亡くなって以降、人が変わった。

それが使命とばかりに、陛下を不快にさせることばかり行う。


当然のように、陛下は彼を遠ざけた。 

が、そのリックをドリエール様とリチャード様は重宝したのだ。



その、彼が、寝込んでいる?



誰もその事を気にも留めていない。 

そこが、引っかかる。 



私はお爺様の配下の者を借りた。


彼の屋敷にはごく僅かな下僕を除いて、誰もいなかった。

辞めさせられた者、何処かへ消えた者。

どうなっているのか。

引き続き、彼を調べさせた。些細なことも、そうでないことも。



そして、確信した。



私は、陛下の元へ急ぐ。

この件に関して、私はいつでも陛下に会えるようになっていた。


「陛下?」

「アンリか?」

「はい、入って宜しいでしょうか?」

「ああ、入れ」


王の執務室は重い空気が流れている。


「どうした?」

「リック・リトルホルダーの事です」

「あいつが、どうかしたのか?」

「今、重病で寝込んでいるとの噂ですが、屋敷には僅かの下僕を除いて誰もおりません」

「それが?」

「中には辞めさせられた者がいるのです。なぜでしょうか?不思議だと思われませんか?」

「そうだな…」


私は、思うことを述べた。


「これは私の想像ですが、言っても宜しいでしょうか?」

「言え」

「今回の犯人は、彼ではないでしょうか?」

「何故だ?あいつはドリエールと出来てるんだぞ?」

「陛下、彼は、エリフィーヌを知っています」

「何?」

「おそらく、エリフィーヌがカナコ様だと、知ったのです」

「…」

「リック殿はカナコ様に想いを寄せていたのではないでしょうか?」

「そうなのか?」


私は頷いた。

祖父の配下の者達の優秀さは、陛下も知るところだ。


「祖父の配下の者の調べです。間違いありません」

「ああ、ならば、間違いない」

「それで、私は理解したのです。今までのリック殿の行動を」

「あいつは、俺が憎いのか?」

「間違いなく、陛下とザック殿を憎んでいると思います」


椅子に座ったままの陛下が天井を見上げた。

思い当たる節でもあるのだろうか?


「俺が憎かったのか…。そうか、俺がカナコを見殺しにしたと、そう思っているんだな、あいつは…」

「実際は、どのように亡くなられたのですか?」

「そうだな、どう説明したらいいのかな…。直接の原因は魔法の使い過ぎだった。リリフィーヌの体にカナコの魔量は多すぎたんだ」

「なるほど…」

「けれどもな、リリフィーヌの体自体が終っていたのかもしれない。俺はそう思った。カナコは動くことすら出来ずにいたんだ。あれ以上カナコを留めても、苦しいだけだった」

「そうですか…。けれども、リック殿は悲しみに目がくらみ、事実を受け入れなかったのですね」

「そうだな、そういうことになるな」


陛下の体に熱い気が巡る。

先ほどまでとは、部屋の空気が違った。


「で、アンリ。おまえの調べは何処までだ?」

「はい、リック殿はドリエール様からガナッシュに土地を貰い受けております」

「場所は?」

「まだ、そこまでは確定出来ておりません」

「カナコ、いや、エリフィーヌはそこにいる。間違いないな?」

「はい」


私は、陛下の想いに応えたかった。


「しばし、時間を下さい。必ず突き止めます」

「わかった。こちらも準備をしておこう」

「はっ」


動き出すのだな。

その時を早めるために、私は、私の仕事を仕上げよう。




家に戻った時。



マリーが父上と口論していた。


「だから、ガナッシュなのよ!」

「そんな、いくらそうでも、」

「お父様!私のこと、信じてくれないの?」


一体?

マリーと目が合った。


「アンリ兄様!」

「どうした?マリー、大きな声を出して?」

「フィーが、ガナッシュにいるのよ!」


何故、それをマリーが知っているんだ?


「フィーが?ガナッシュに?」

「そうよ、だから、助けて!早く、助けに行って!」

「どうして、そう思うんだい?」

「私には分かるの。フィーがそういう魔法を掛けてくれているの」


そういえば、昔、マリーはフィーを守るっていったな。

だから、フィーの居場所が分かる魔法をマリーに掛けたって、フィーが言ってたな。

その時の魔法が、今も?

そんなに残っているんだろうか?


「アンリ、マリーのいう事だけでは、陛下にお伝えするわけには…」

「父上。もう少しマリーの話を聞きいてもいいですか?」

「それはいいが…」


父上は真偽が分からずに困っておいでだ。


「ガナッシュの地図がありましたね、確か?」

「持ってこさせよう」


しばらくして、地図が来た。

テーブルに広げると、マリーに尋ねる。


「マリー。フィーが何処にいるか、分かるかい?」

「もちろんよ、ここよ!」


マリーはなんの躊躇いもなく、一箇所を指差す。

そこはガナッシュでも山間にある場所だった。

ルミナスからは遠い。


「昔、フィーが学園に入学する時に、フィーの居場所が分かる魔法を掛けてもらったの。フィーが悲しくて泣いたら、私の中で、ピコンピコンって音がなって、その場所のイメージと地図が浮かぶの」

「それを、フィーが?」

「そうよ、私のお願いを全部纏めて、フィーが作った魔法よ」


マリーが自慢そうに言う。

今でも、その魔法が利いていることが、驚きだよ。

普通は1年持つのが限界なんだ。


「だから、私が感じたってことは、フィーが泣いてるの。泣いてるのよ!早く、助けに行かないと!」


私と父上は目を見合わせた。

フィーは、フィーって奴は…。それに、マリーもだ。

きっと、この2人の絆は誰よりも強いんだろうな。

だから、こんな奇跡のようなことが起きたんだ。

ならば、その奇跡を頼りに直ぐに行動開始だ。


「わかった、今すぐ陛下のところに行こう」


父上はマリーに言う。


「ホント?信じてくれるの?」

「もちろんだ」


私も力強くマリーを肯定する。


「アンリ兄様?」

「フィーがガナッシュにいることは間違いないんだ。ならば、マリーの挿す場所にフィーがいるに違いない」

「ありがとう!」


私たちは、城に向った。





1秒でも早く、フィーを救うために。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ