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12歳の年です。



また、新しい制服をアリの店で仕立てました。

学園の制服は本当に可愛い。


上着の丈は短めでスカートは1年の時はフワッとして膨らんでいるんだけど、学年が上に行くに従ってタイトになっていくんだ。

リボンの色も変わるし、襟の幅も変わる。

通学の靴も、決まってるよ。


「ねぇ、マリ姉ちゃん、別にアリの店でなくても、いいんじゃない?」

「駄目よ!」

「なんで?」

「アリの店のはね、裏地がカッコいいの。それを着ないと、私のプライドが許さないのよ」


姉ちゃん…。

そんなことに、プライドを掛けなくても…。


「だいたい、フィーはお洒落に無関心すぎよ?もう少し、気を使いなさい。いい?」

「え~、やだなぁ。別にお母様が用意してくれた服でいいよ?」

「もう、12歳よ?いつ恋に落ちるかわからないじゃないの?」

「いやぁ…」


もう、男の人は好きになれないな。 

デュークさんと結婚出来ないなら、しなくていい。 

だって、デュークさん程、大切にしてくれる人はいないから…。


「いつまでも、陛下に淡い恋心を抱いてる訳にはいかないんだから?」

「いいもん、それで」

「フィーは、変な子よ」

「いいよ、変で」


そんな事を喋りながら、私達はアリの店からの帰り道、馬車に揺られていた。

今日のおやつはなんだろうな…。





ここで、他の兄弟の近況です。



アンリ兄様は無事に魔法学院を主席で卒業。


サー姉ちゃんも主席、アンリ兄様も主席。

ジャック兄ちゃん、プレッシャー、半端ないでしょ?

大変だよね。


アンリ兄様は大学へ。

家業を継ぐなら経済学のなのに、何を思ったか政治学へ。

不思議だけど、お父様が納得してるんだから、いいんだろう。

男性は学院を卒業すると、半分は大学に進むんだって。

その殆どが貴族。

ハイヒットはお爺様が貴族だから、入学が許されたらしい。


その兄様は学院の同級生で仲のいいお友達とキャンパスライフを楽しんでます。


たまに、家に彼女連れてくるしね。 

けど、時々人が変わっている。

あのお兄様が、そんな人だったなんて。

妹はちょっと、ショック。


アンリ兄様もイケメンだから、言い寄る女性が多いだろうけど、どうなんだろう?



サー姉ちゃんは、学院長の下で頑張ってます。

ビビたるものですが、お給料も出るそうで、たまに美味しいお菓子を買ってきてくれます。

研究チームって、何するところ?って聞いたら、ニッコリ笑って、


「フィーが知らなくてもいいの」


と言われました。

ただ、時々お会いするお爺様は、なんであんな所に、とお小言をこぼしてます。


いいじゃないですか、やりたいことがあるならば、やらせてあげれば。

ね?



なぜだか、最近、ジャック兄ちゃんが送り迎えしてくれます。

それは、下心のせいです。


「だから、もう一回。頼む!」

「わかった」


帰りのついでに、機密基地に連行されてます。

最近、魔法が伸び悩んでいるらしく…。

プレッシャーが半端ないんだろうな。


今日も、私の魔法を見てます。


「どう、これでお兄ちゃんの理論は証明されてる?」

「多分、な」


ジャック兄ちゃんの魔量はあんまり多くない。

だから、、自分の理論が正しいかどうかの検証を私が手伝っているんだ。

今のテーマは、炎の魔法と水の魔法を同時使うのは可能か?、だ。


私の想像力が足りないのか、お兄ちゃんを満足させる魔法が出せてない。


「本当は自分でやるのが一番なんだけど、ごめんな」

「気にしないで、ジャック兄ちゃん、あんまり続けてやると、魔量が尽きるもの」


その年で、悦楽の館行きはどうなんだ?

ジャック兄ちゃんは、まだ15歳なんだ。


「あーあ」


兄ちゃんは地面に座り込みました。


「なんで魔量って増えないんだろうな?」

「本当だね、私には必要ないのに、お兄ちゃんにあげれたらよかった」

「うん?」

「だって、お兄ちゃん、一生懸命なんだもん。妹のいう事も聞いて頑張ってるのに…」


本当だよ。

家の中じゃ、魔法のセンスは一番だよ。


魔法って、決まりがない分使う人のセンスが重要になる。

基本の魔法を組み合わせて、自分の使いやすいものに変えていくんだ。

だから、理論が大事になってきて、センスが必要になる。


ジャック兄ちゃんはそのセンスがいい。

私も、真似することある。

ところが、色々な魔法を組み合わせるから、魔量が多くなる。


私はどんなに多くなってもいいんだけど、ジャック兄ちゃんは魔量の関係があるから、節約しないといけない…。


あ。

節約、って、エコ?

閃いてしまった。


「お兄ちゃん、節約だよ、節約!エコだ!」

「なんだ?エコって?」

「お兄ちゃんの考える魔法って、いくつもの魔法を組み合わせるでしょ?」

「そうだな?」

「だったら、きっと無駄に魔量を使っている部分ってあるよ!」

「あ、そうか!」

「その部分をなんとか削れれば、さ、」

「魔量も少なくですむな?」

「うん!」

「それが、エコか?」

「うん、エコ!」


今の生活に節約なんて必要なかったので、忘れてた。

けど、ジャック兄ちゃんの魔法にはエコが必要だ。

少ない魔量でも、長時間使える方法。

これは、凄いことになる。


「ありがとよ!なんか光が見えてきたよ」

「良かった!」


ホントに良かった…。

私もやっと解放されるよ。





その日から、ジャック兄ちゃんは学院の図書室に籠もったらしい。







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