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逃げるのが得策です。
「ミルちゃん、わたし、トイレに行って来るよ!」
立ち上がって逃げるぞ!
あ、浮足は使えないよなぁ…。
まぁ、大丈夫だろう。
引きとめようとするミルちゃんを振り切って、立ち上がった。
「待て、動くなよ?」
誰?あんた達?なんで、ここにいるの?
突如現れたのは、チビッ子ギャングの団体か…。
チビッ子ギャングなら、その程度の悪さでやめておけばいいのに。
誘拐か?罪は重いぞ?
「逃がさないからな?」
逃げる権利はあると思う。
ってか、逃げるよ、普通は。
ミルちゃんいれて、4人。
キツイなぁ…。
なんだよ、魔法使いてぇー!
「ミル、なにヘマしてんだ?」
「私のせいじゃないよ、この子が飲まないから!」
「ちょっと、あんた達、私になにを飲ませようとしてんのよ?」
やば!怒りに任せて、久々に上条加奈子になったよ!いかん!
驚いている、よね、まだ10歳でした。
「え?」
「ミ、ミルちゃん、それ、何?」
「何でもいいの。飲んでよ、早く!」
「そうだよ、飲めよ!」
「飲め!」
「飲むんだ!」
ギャングの団体が迫ってくる、あまりにも展開が速くて、泣けてない。
泣け、なくんだ!泣けないぞ…。
そうだよ、恐怖よりも馬鹿馬鹿しくて、泣けないんだ。
そうだ、叫んでみよう!
「マリ姉ちゃーーーーーーーん!、たーすーけーてー!」
「だまれ!」
「いやだぁ!」
くそ、これでは駄目だ。
チクショウ!魔法が使いたい。
いや、なにか方法があるはずだ、なんだ、何を使えばバレない?
どうすれば、こいつ等に私が魔法を使えることを伏せたままで、魔法が使える?
あ、セコイ手が一つ…。
しおらしく、健気な少女モードになろうっと。
「あの…、これ飲んだら、許してくれるの?」
お、少し、温和な感じなった。
「そうだ!わかったなら、早く飲め!」
ガキが、単純だな。
粋がりやがって…。
「本当ね?」
ちょっと伏せ目がちに、の攻撃ですよ。
「お、お前、いいから、大人しく、早く飲め」
「わかったわ」
コップが手渡しで渡された。
これさえ手に入れば、こっちのものだ。
私は手にした瞬間に、その中身をこいつ等にばら撒き、ついでに、もの凄く強い痺れの魔法を掛けてやった。
あ、全員がヒクヒクしてる。
ミルちゃんも…。
成功したよ。
「怖い!なに、この飲み物、みんな倒れちゃった」
棒読みで、言ってみる。
誰も起きて来ない。
成功だ。
しかし、待てよ?ここって、まったく人目につかない…。
こいつら、何しようとしたんだ?
マリお姉ちゃん探してこよう。
しっかり幕を張っておけば、当分は見つからないよ。
ミルちゃん、悪いけどしばらく、このままだからね。
私はマリ姉ちゃんのクラスへ行った。
「お姉ちゃん!」
「どうしたの?」
「あのね…」
私はマリ姉ちゃんに成り行きを、正直に話した。
「フィー、」
「どうしよう?」
私達は途方にくれている。
「その子、地下の子だったの?」
「…、うん」
「フィー!」
「怒るのは後にして、駄目?」
「そうだね、わかった。で、そんな強い魔法をかけたの?」
「だって、痺れ薬を飲まそうとしたんだよ?オマケに学園生じゃない子供までいるんだから…」
「本当に1日は起きないの?」
「短くて、1日」
「わかった、学院に行くよ?」
「うん」
そうだな、それが、一番いい。
私とマリ姉ちゃんは急いで隣の学院に向った。
迷わず、サー姉ちゃんを探す。
サー姉ちゃんは、今年から学長直々の研究チームに所属した。
場所は直ぐにわかった。
呼び出してもらう。
いつもと違う場所に、待っている間、ドキドキした。
「どうしたの、2人とも?」
「サー姉ちゃん、フィーが襲われた」
「襲われた?どういうこと、フィー?」
私は順序立てて、サー姉ちゃんに話した。
魔法のことも、正直に。
「フィー、地下の人とは2人切りになっては駄目と、言ったでしょ?」
「ごめんなさい、けどね、ユイビック先生がね、それは、差別だから仲良くしなさいっていうの…」
「フィー、先生のせいにしないの!」
「ご、ごめんなさい」
「いい?地下の人と私達は同じルミナスの者だけど、同じ人間ではないの。理解しなくってもいい。そういうことなんだと、覚えなさい。わかった?」
「はい、サー姉ちゃん」
「マリーもよ?」
「はい」
サー姉ちゃんはニッコリと微笑んだ。
「行こう」
サー姉ちゃん、ごめんなさい。ありがとう。
私達、3人は人目に付かないように、学園に戻った。
もうお昼の休み時間も残り少ない。
サー姉ちゃんは私の幕を見て驚いている。
「相変わらず、凄いわね…」
「そんなの、いいから、早く」
私達は中に入った。
中は私が出て行った時と同じだ。
「お姉ちゃん、どうしよう?」
「見てなさい」
お姉ちゃんはギャング団の親玉ぽい男の子に魔法を掛ける。
「正直に言いなさい、何故、このような事をしたのか?」
すると、眠ったままで喋りだした。
自白を強要してるのか…、その手があった。
「妹が、せっかく、金持ちが集まる学校に入ったんだ。そこの娘を誘拐して、身代金を取ろうとした」
馬鹿だ、こいつら。
そんなことをするよりも、ミルちゃんが勉強して真面目に働いた方が、ずっと稼げる。
「あなたは、友達が誘拐されるのを手伝ったの?」
「だって、お兄ちゃんに逆らったら叩かれるし、それに、この子なんて、不幸になればいいんだ」
「どうして?どうして、そんなこというの?ミルちゃん?」
「だって、私より幸せじゃない!お姉ちゃんがいて、優しいお兄ちゃんがいて、お金も一杯もってて!そんなのズルイ!」
ズルイって、なんだよ?
「だから、痺れ薬を飲ませて、誘拐してもいいのね?」
全員が頷く。
なんだよ、地下の住民の考えは…。
「で、この子を誘拐した後、どうするつもりだったの?」
「知り合いが欲しがっていたから、売るつもりだった」
「いいお金になるもの」
わぁー、同級生が言う言葉か?
って、か、そんなことをして、見つからないと思ったんだ???
信じられない!
「もう、いいわ、」
サー姉ちゃんはそう言うと、何かを書いて、マリ姉ちゃんに渡した。
「マリー、もう一度学院に戻って、これを学長に渡して。これを一緒に持っていけば会わせてもらえるから」
「分かった」
マリ姉ちゃんは走っていった。
地下の人達って、わからない…。




