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その時だ。




ノックがした後に人が入ってきた。


白い髪だ。白髪ではありません。

きっとたぶん。

肌は白くて背が高くて、当然のように美形です。

なんだここは?

美形しか生きてはいけないのか?


「陛下、お呼びでしょうか?」


陛下って緑の人は呼ばれましたよ?

私の頭はパンク寸前です。


「これを見てくれ」

「こ、これは…」 


私の開けた穴を見て呆然としております。

ごめんね、こんな大きい穴開けて。

閉じてみましょうか?できるかわからないけど。


「こいつが開けた」

「リリフィーヌ様が!」

「いや、こいつはリリじゃない」 

「陛下、ご冗談を…」

「話してみろ、直ぐにわかる」


なんて失礼な奴だ!

だが、顔には出さないよ。長年OLやってたんだ。

あ、OLってもう死語かな?

ま、いいか。


「リリフィーヌ様、いつからこの様に強い魔法を?」

「あ、あのですね…」

「洗いざらい話せ」

「はぁ、では、」


私はやってきた大臣さんに向かって聞いてみた。


「私は、誰でしょう?」 

「は?陛下?これは…」

「続けろ」

「えー、ここはどこでしょうか?あの、ここに来たばかりで、何もわからなくて…」


呆然としている大臣さんに対して申し訳なくなってきた。


「すみません…。けっして怪しいものではないんです」

「いえ、怪しすぎます。陛下、この者にどのような処罰を?」


いやぁ~~~~!やめて~~~~!


「お願いします!処罰だなんて、私、いきなりここに来ちゃって何がなんだかわかってないいです。お願いします。ここがどこで、私が誰で、何がどうなっているのか、教えて下さい。そしたらお役に立てるかもしれないじゃないですか?お願いします!どうか、どうか…」

「…五月蝿い」

「すみません…」

「おまえを罰したりはしない」

「え?ホントですか?」


やったぁー!


「今のところはな」


え?今、なんて…。


「おまえ、この穴を閉じてみろ」

「陛下、この者の瞳は赤紅ではないですよ?無理なのでは?」

「いいから見ていろ。おまえ、やれ」

「えーっと、出来るかな?」


ええい!クルクルパッ、で、穴閉じる!



ドーーーン



閉じた、閉じたよ?

こんな簡単でいいのか?


「やだ、閉じたよ…」


そんな私の呆けた声を聞いた2人は無言だ。

何かやばいことやった?


「あの…」

「なんだ?」

「私、なんで魔法が使えるんでしょうね?」

「こっちが知りたいんだ」

「そうですか…」


大臣さんは緑の人に話しかけた。


「陛下、確かに、この方はリリフィーヌ様ではありません。が、それではリリフィーヌ様はどちらへ?」

「わからない」

「わからないとは?」

「ああ、夕べ、俺達は一緒に寝ていた。確かにリリはいた。が、朝になったら、リリがコイツになっていた」

「入れ替わったということでしょうか?」

「わからん」


口挿んでもいいかしら?

いいよね?


「あの?」

「なんだ?」

「私ですね、本当は髪の色は黒いし、目は茶色だし、肌ももう少し濃いクリーム色なんです。なんで、こんな外人さん見たいな外見になっちゃったんでしょうか?」

「あなたの本来の外見と違うのですか?」

「そうなんですよ、私、こんなに綺麗じゃないし、背も高くないんです。もう、何がなんだか…」


大臣さんが切なそうな目で私のこと見る。

哀れみじゃないよね?


「貴女は自分のいた世界から、この世界に放り出された訳ですか?」

「どうやら、そうなります…」

「こいつは俺を知らない」

「陛下を知らない?本当ですか?」

「ええ、まぁ、すみません。知らないです」

「こいつをどうしたらいい?」


大臣さんが頭抱えたよ。

おいおい、しっかりしてくれよ。


「はぁ、とにかく、陛下とお過ごしいただくしかありません。アルホート国に知られたら、大問題になります」

「そうだな…」

「で、お名前は?」

「言わないんだ」

「え?」

「だって、そうでしょ?ここが、どこかもわからないし、リリって人が誰かも知らないのに、名乗れないですよ」

「まぁ、そうですね」


大臣さん、顔上げた。


「陛下。とりあえず今日はこの方をこの部屋から出さないように致しましょう」

「う、そうなるか?」

「仕方ありません」

「俺は?」

「普段通りに」

「リリを探さなくていいのか?」

「今は探しようがありません。とにかく、この事はここからは出さないように」


お2人でお話中すみませんね。


「あの…」

「なんだ?」


そんなに不機嫌にならなくても…。


「この部屋から出てはいけないのは、わかりましたし納得もします。なので、どなたかこの状況を説明してくれる方を…魔法だなんて…」

「俺が説明して欲しいくらいなんだぞ!」


怒鳴らなくてもいいじゃないですか…。

私は、どこかから落ちてきただけなんですよ。


「す、すみません…」

「陛下、この者の言い分も聞いてやらねば。そこからリリフィーヌ様の手がかりが得られるかもしれません」

「そうか…、そうだな…」


緑の人は考え込んでいる。

なんかこんな時になんですが、お腹も空いてます、私。


「わかった。リック、ザックを呼べ。あいつなら適任だろ?」

「そうですね」

「おい、おまえ」

「はい、なんでしょうか?」

「おまえの希望を叶えてやる。ここで待ってろ」

「ということは、私は1人にされてしまうのですか?」

「それが、どうした?」

「お腹が空いておりまして、何か食事を頂けるとありがたいです」


なんだよ、睨むなよ。

人間なんだ。腹へってどこが悪い?


「だそうだ、リック。後は頼んだ。俺は出かける」

「あ、ありがとうございます」


私はお辞儀をして感謝を伝えた。

礼儀は大切だよね。


「そんなことをするな!」


緑の人が怒鳴った挙句に、苦い顔をした。


「え?」

「おまえが誰かは知らないが、リリは俺の妻だ。その姿でいる以上おまえは王妃として認識される。むやみに人に頭を下げるな。いいな!」


そんなに怒らなくてもいいじゃないか…。

目が覚めてから、ずっと、だ。

謝ってばかりだよ。


「す、すみません」

「陛下、この者はわかってないのです。あまり苛めては…」


そうですよね?私、悪くないですよね?

大臣さん、私不安なんですよ?

わかってくれます?


「リリの姿をしてるのに、リリじゃないなんて、納得できるか!」


緑の人こと、ここの王様はドアを蹴飛ばして出て行ってしまいました。







けど、でも、私、悪くないよね?







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