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なんか、目が重い、どうした…。

あ、お腹空いてたんだよ、どうなった?






「あ?」


デュークさんが目の前にいた。


「カナコ?」


どうした、目が赤いぞ、当たり前だ…な…。


「目を覚ました…」

「え?なんで私、ここに寝てるの?」


なんか、息苦しい。

あ、寝ている私にデュークさんが抱きついたからだ。


「良かった、カナコ、」

「わかったよ、わかったから、ちょっと苦しいよ?」

「すまない、けど、お前はずっと昏睡状態だったんだ」

「え?なんで?」

「魔法の使いすぎだ」 

「だって、なんとも、なかったよ?」  


あ、あの時、倒れたのか?


「ジョゼの前で急に倒れて、それから、2日だ。何をしても起きなかった」

「2日も?」

「ああ、もう駄目かと思った…」

「あ、ゴメン」

「謝らなくていい」

「だって、心配してくれたんでしょ?」  

「当たり前だ、けど、良かった」


起きようとした、けど、駄目だった。

まったく、力が入らない。


「デュークさん、起きられない、なんで?」

「おそらくは魔量を大量に排出したせいで体のバランスが狂っているんだ」

「どうしたらいいの?もう、起きられないの?」

「大丈夫だ。魔量を貯めればいいだけのことだ」

「本当?」

「ああ、心配はいらない」


なにがなんだか、わからない。

体がいうことをきかないなんて、初めてだ。


「デュークさん、なんか、怖いんだけど…」

「俺がついてる、安心しろ?」


こんな時、デュークさんに触れたいのに、触れられない。


「キスして?」

「ああ、…」


優しいキスだった。

デュークさんの手が私の頬を撫でる。


「ちょっと待ってろ?」

「うん」


デュークさんが、離れた。

また睡魔が襲った。


駄目、寝ちゃう…。





寝たらしい。







目が、重いよ。


「カナコ?カナコ?」


あ、寝てた。

あれ?さっきと違う?目が濃銀だ…。


「デュークさん?…」

「カナコ…」

「あ、私、寝ちゃった…」

「良かった、」

「どうしたの?」


デュークさんが、涙目になっている。


思わず手が、…動かない。

やっぱりな…。


「涙?」

「ああ、良かった…」

「私、どう、なったの?」

「もう大丈夫だよ、戻ってきたから」

「戻って?」

「ああ、」


デュークさんの指が私の頬に触れる。


「カナコ、愛してる」


キスをくれた。





デュークさんの後ろにはリックとジョゼがいた。


「カナコ様、ようございました」

「本当に、申し訳ありません。あの馬鹿のせいで…」


言葉を出そうとするんだけど、出ない。

長く喋れない、みたいだ。


「私…、へん、だよ?」

「喋るな、いいな?」


デュークさんの言葉に頷いた。


「では、陛下、医師団を呼んで参ります」

「頼む」

「なにか、栄養のあるものを」

「ああ、消化がいいものだぞ?いいな?」

「心得ております」


2人が出て行くと、私達だけになったみたいだ。


「カナコ、喋らなくていいからな?」

「けど…」

「今はそうしていろ?」


なんかわからないけど、そうなんだ?

まだ、体を動かすことすら出来ない、みたいだ。


「俺の話を聞いてるだけいいからな?」


これだけは、いいたい。


「デューク、さん、あいしてる、よ」

「ああ、俺もだ。カナコ、愛してるから、失いたくないから、今は喋るな」


わかった。

けど、後で何が起こっているのか、おしえてよ?

いい?絶対だよ?


デュークさんが手を握ってくれてる。

暖かいなぁ。


「カナコが元気になったら、また、外で食事しよう。実はな、もう一箇所、とっておきの場所があるんだ。そこへ行こう?もちろん、ワインも持っていくからな。塩茹での豆も、ザル一杯持っていこうな?」


嬉しいなぁ、綺麗なところなんだろうな…。

今度は喧嘩なしだよ?いいね?



てか、さ、私、どれだけ重病なんだ?

もしかして、死ぬのか?

え?嘘?



「お腹が空いただろ?もう10日も寝たきりだ。ちゃんと口から食事を取れば、元気になるから。わかるか?」

「わたし、しぬ、の?」


デュークさんの顔色が変わった。


「馬鹿を言うな?そんなことがあるか?気がついたんだ、もう大丈夫だからな?」


危ないのか…。

やっぱり法外な魔力なんて私には荷が重かったんだな。

けどさ、どうせなら、デュークさんに惚れる前に死にたかったなぁ。


「俺が、死なせやしないから。この俺が言うんだ。ルミナスの王が、お前を死なせやしない」


ありがとう、デュークさん。

これだけ思考が、はっきりしてるのに、苦しくないのに、体だけが、体だけが拒むみたいだよ。


あ、リリさんの呪いか?

今頃ですか、なんなんですか?


けどね、体が私を拒むなら、どうしようもないなぁ…。


けど、やだ。

もっと、もっと、抱かれたかったなぁ

どうしよう、ねむい…。


「カナコ?」


デュークさん、もう少し寝るね?寝るだけ。


「寝るな?いいか、命令だ。寝るな!」

「う…」

「喋るな、な?」


慌てて、デュークさんは私に魔法を掛けた。


「ぅわぁ…」


凄い、声が出た。


「目、濃銀だよ?」


デュークさんの目が濃銀だ。


「大丈夫?苦しくない?」

「カナコ、喋るな…」

「けど、」

「無理しないでくれ、頼むから」

「ねぇ、でもね、リリさんの体が、私を拒んでるみたいだよ」


デュークさんの涙が、私の頬に落ちた。


「リリの奴、」

「たぶん、私が無理し過ぎたんだ。ザックは悪くないからね?」

「わかってる、だから、喋るな…」

「デュークさん、わたし、持たないんでしょ?」


その問いには答えないで、キスしてくれた。

私、かなり危ないんだ。


「もっと、抱いて欲しかったなぁ」

「いくらでも抱いてやるから、カナコの望みは全て叶えるから、」

「いきなり来て、いきなり消えるなんて、私、酷いね」

「消える?そんなこと、俺が許さない」


あ、騒がしい。

人が来た。






けど、デュークさんはお構いなしに、私の頬を優しく撫でてくれる。

やっと、恋人になれたのにね…。





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