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デュークさんはお仕事。
私とジョゼは魔法学院に向った。
再びサグラダファミリアを、いや、ルミナス城を出る。
今度は城下街の反対方向に向った。
城の裏になる。
あれ?
表の城下街とは違う景色が広がった。
学校だ。校舎だよ。
「直線がある…」
「学院は四角い建物ですからね」
「そうなんだ…、ねぇ、同じ建物が2つあるよ?」
「魔法学院とルミナス学園です。魔法が使えない人が学ぶのが学園です」
「そうなんだ」
日本で良く見た校舎があって安心する。
やっぱり落ち着く。
なんで、今まで隠れていたんだ?
おそらく、私の死角にいたのだな?そうだ、そうに違いない。
とりあえず、ジョゼの後に続く。
さすが、魔法学院だ。
警備が厳重だよ、機密が一杯って感じです。
私達は、何重ものチェックを受けて、学院長室へ。
「ねぇ、ザックって偉いの?」
「陛下ほどではありませんから、お気遣いなく」
偉いんじゃん、へー…。
「ザック、入るわ」
「どうぞ」
その部屋の中のザックはちゃんとした長に見えた。
場が人格を作るって、本当だ。
「カナコ、良く来たね」
「あ、ザック。お招きありがとう」
「気にするなって!」
なんか、安心する。よかった。
「やっぱ、ザックだ」
「うん?」
「まぁ、気にしないでいいよ」
いろんな書物があるなぁ。
この字、なんとなく読めるぞ。
不思議だ。
「さてと、練習場へ行こうか」
「いよいよ、だね?」
「ああ、ワクワクするな」
私達3人は練習場に向う。
そこには5人程が待っていた。
なんか、ソワソワしてるよ?なんでだろう?
「学院長とリリフィーヌ様が並んで歩いているぞ!」
「まさか!」
「あの2人が和解するなんて…」
などと意味不明な証言をする者が続出し…。
リリさん、あんた、何をやったんだ?
「お前たち、この方はリリフィーヌ様ではない。カナコ様と仰って、似ているが他人だ。しばらく話すとわかる。赤の他人だ」
その強調はなんだ?なんなんだ?
「カナコ様、ご挨拶を」
「あ。カナコです。魔法の勉強に参りました。よろしく」
5人は不思議そうにお辞儀する。
「では、幕を張れ」
あ、この人達、幕要員か。
しかし、この幕、ボヤっとしてない?
「あれ、見えないんじゃなかった?幕って?」
「陛下クラスの幕は見えない。けど、彼等はまだ未熟だからね、境界がボヤけるのさ」
本当だ。
なんとなく幕の大きさがわかってしまう。
「さて、まずは、アルホートの皇太子を病院送りにした雷から見せてよ?あの的に向けてやってみて?」
10m先に、緑の丸い板がある。
「いいよ、適当?全力?」
「もちろん、全力」
「わかった」
いやー、全力って言ったって、何が全力かわかってないんだよね。
とにかく、全力と思えばいいんだ、きっと。
サンダー、全力!
ddッドオオオオオオッカカカカカーーーーーーーンンンン!!!
この世の終わりかと思うくらいの爆音がした。
やだ、耳が痛い。
あれ、幕が無くなった。
てか、地面がエグられて、緑の的の向こうは…。
何もないね、無くなったね…。
門が消えてるよ、おい。
「ザック、ジョゼ…、これって、色々大丈夫なのかしら?」
みんなの顔が青いのは、気のせいじゃないね、きっと。
「ああ、カナコ。門の向こう側は大きな湖だから、問題ない、多分…」
「ええ、…。カナコ様、調べさせます」
「うん、お願い」
5人の幕要員は腰を抜かしてる。
「やっぱり、私、化け物?」
「嫌、人間だよ。規模が違うけど、人間」
さすがザック、一番早く気を取り戻した。
ジョゼに釘を刺されたのか、ちゃんと私を人間扱いしてくれた。
すまないね。
「お前たち、もう一度、幕!」
頑張って立ち上がった5人が幕を張る。
時間が掛かったけど、幕が出来上がる。
「さてと、今度は小さい雷をアチラの黄色い的へ当ててみて?」
「いいよ、小さいのね?」
可愛いサンダーちゃん!
ドシャーーーン!
勢いが無いし、雷のせいか、綺麗な放物線を描いて飛んでいく。
今度は黄色の的だけに当たった。焦げてる。
「これ、いい感じ?」
「そうだね。これが的確に当てられるだけでも、征伐は楽になる」
「一気にドーンは駄目なの?」
「敵と味方が入り乱れた場合は、無理だろう?」
「ああ、そうか、そうだね」
ザックは繁々と私を観察する。
「なに?」
「いや、魔量はまだありそうだな、って思ったから」
「そう?けど、私的にも、大丈夫そうだよ?」
「じゃ、次は炎からいくか」
「いいよ」
まだまだ、大丈夫だよ。
それから、色々と試してみた。
炎、氷、闇、光。
全部出来た。
そして、どれも、100%的に当たる。
強弱は出すときに、思えば自由に変わる。
「自由自在だな?」
「みたいだね」
「勘がいいんだよ、頭の中にイメージが出来上がっているんだろうな」
「あ、」
ゲームの画面で見てたからね。
イメージトレーニングはバッチリだよ?
「そうだと思う」
私が、一番強いのは、雷。
おそらく、ここに来る前に打たれたの原因か、と思ってる。
私が、勝手に。
あと、毒とか、麻痺、睡眠も試したいけど、止めとくことにした。
そして、私の魔量はまだ尽きていない。
最終兵器、私、なのか?
帰りがけに、ザックが言った。
「次は実際に魔物を攻撃してみよう。準備に時間がかかるから、2週間後でね」
「え、マジ?」
「マジマジ」
「マジって、意味わかってる?」
「わかんないけど、マジ、わかってる」
なんか、あってる、悔しい。
「じゃね」
と言って別れたものの、魔物征伐するの????
あ、丘の上でのトラウマが…。
クラッとして、足がふらついた。
「カナコ様、本当に大丈夫ですか?」
「心配してくれてありがとう。けど、大丈夫だよ?」
ちょっと頑張っただけです。
けど、あんなに沢山の魔量は必要ないよね?
なんでも、程ほどがいいよ。
お腹空いた。
「あ、晩御飯は、何?」
「えっとですね…」
「あ…、」
ここからの記憶が飛びました。
何もありません。




