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お昼はアリの店で食べた。
上得意になると食事まで出してくれるんだ。
サンドイッチみたいなものと、コーヒーみたいなもの。
美味しいよ。
けど、コーヒーはもう少し温かいのがいいなぁ。
そこは魔法か!
良し!
丁度良くなれ!
うん?丁度いい。
そうか、こうやって魔法を使えばいいんだ。
段々慣れるよ。
無ければ作る。
そうしよう。
食事が終ると次に進んだ。
「では、採寸を」
私は体中を採寸された。
それから、アリと、いろんな生地を見て、色をみて、宝石をみた。
もう、今日が終る。
あっという間に終ったね。
疲れた。後はお任せだ。
くだびれた。
えっと、明日は一体なにを?
ジョゼに聞く。
「カナコ様、明日からは学院の方へ参りましょう」
「そうだね?」
「ザックも楽しみにしておりましたから」
「そうなんだ?」
クタクタな足取りで、城に戻る。
なんか年寄りみたいになってませんか?
「お疲れですか?」
「みたい、年かな?」
「何を言ってらっしゃるんですか?まだ16ですよ?」
「そうだった」
ダンスやら、なにやら、で疲れが溜まっているんだろう。
濃縮された日々だもの。
「今日はゆくっりお休みくださいね?」
「そうだね…」
寝かせてもらえるのかなぁ…。
あ、顔、赤くなんかないよ?
ホントだからね。
夕食をデュークさんと食べる。
少しワインを飲んだだけで、真っ赤になった。
「どうした?」
「うん?」
「カナコはお酒が好きなんだろう?」
「疲れてるのかな?なんか、体が重いかも」
「どれ?」
デュークさんは席を立ちあがり私の手を握りに来た。
「熱はない。疲れだな。ほら、」
そう言って魔法をかけてくれた。
体が楽になった。
「楽になっただろう?」
「うん、デュークさん、優しいね。なんで?」
「なんで?おまえを愛してるからだ」
スマした顔で言うなよ、照れるぜ…。
「恥ずかしいよ…、ジョゼがいる…」
「構わない」
「けど、」
「カナコ様、お気になさらずに」
そういう問題じゃない気がするのは私だけらしい。
「早めに寝ろ?」
「うん、そうする。じゃ、スリープかけて?」
「なぜ?」
「え?」
デ、デュークさん?
展開が何かおかしくありませんか?
「陛下、では?」
「ああ、片付けてくれ。俺達はもう休む」
「はい、畏まりました」
そのままデュークさんに抱きかかえられた。
お嬢様抱っこって奴だよ…。
これは?直行なのか?そうなのか?
居間と寝室の間には少し大きめの空間がある。
それは私にとって、大きい安心感だ。
だって、隣にジョゼがいると思うと…尻込みするよ?
どうせ、デュークさんが幕を張るから、聞こえないけど、ね…。
私達は当然のように、ベットで裸になっている。
それが、なんか可笑しかった。
「どうした?楽しそうだ?」
「だって、幸せだもん」
「そうか?」
「こんなに幸せだったことないから」
デュークさんの指が優しく私の頬を撫でる。
「俺もだ」
「ほんと?」
「ああ、今が一番幸せだ」
「どうして?どうして、そう思うの?」
聞きたい。早く惚気を聞かせろ?
「俺が楽しいと思うとき、目の前のおまえは笑っている。2人で同じ思いを感じてるとわかる。そんなことが、一番大切だと、気づいた」
「一緒に笑うの、楽しいもんね」
「そうだな」
今度は髪を撫でてくれた。
「昼間、執務をしていても、ふと思う。カナコなら、なんて言うかな、とか。カナコに話したいとか」
「なんか、嬉しいよ?」
「俺もだ。俺はカナコと毎日を分け合いたい。楽しいことも悲しいことも。全てだ」
「素敵だね?私もそうしたい」
「そうしろ?いいな、これから、毎日だぞ?」
「うん、じゃ、喧嘩する暇ないね?」
「ああ、無いな?」
嬉しかった。
幸せだった。
これが毎日続くのかと思うと、震えがくるよね。
「俺を、この赤紅の俺を愛してくれるな?」
「え?だって、赤紅でも、濃銀でも、デュークさんだよ?」
苦笑いされた。
「濃銀のときは、モラルなど消えている。だから、おまえでなくても、俺は抱くだろう。けどな、」
赤紅の瞳のデュークさんが、私を見つめている。
「赤紅の俺が抱くのは、カナコだけだ。いいな?」
「そんなの…」
「なんだ?」
「赤紅でも、濃銀でも、デュークさんを抱くのは私がいい」
「おまえが、俺を抱くのか?」
「あ、違うか?」
「いや、」
急にキス…。
驚かせるの禁止。
「それもいいな?」
「へへへ…」
「間抜けた顔だ…、愛おしいな」
間抜けた顔すら、愛してくれますか?
「そんな顔は俺以外に見せてないからな」
「ホント?」
「ああ、ホントだ。おまえの事は良く観察した」
「あ、なんか、もしかして、私のこと、物凄く好き?」
あ、デューク、赤くなった!
可愛いじゃんか。
「おまえは卑怯だな?そうやって俺を駄目にしていく…」
「素直に甘えればいいじゃん、そんなデュークさんは、私しか知らないんだから」
諦めた笑顔だ。
そうそう、好きな男に甘えられるのも、いいもんなんだよ?
「カナコが俺を分かってくれている。それだけで、何もいらないな…」
思わず私はデュークさんの頭を撫でた。
そして、その頭を私の胸に抱え込んだ。
「甘えるデュークさんが好きだよ?」
卑怯な私は、そのままのデュークさんにスリープをかけた。
私の腕の中で、寝息を立てて眠るデュークさんが、堪らなく、愛おしかった。
朝だ。
今朝は私が先に起きた。
だって、スリープ掛けたの私だから。
「起きて?」
「う、うん」
寝ぼけ眼のデュークさん、可愛い。
「うん?」
「デュークさん、可愛いよ?」
オマケにキスまで奪ってやった。
「カナコには叶わないな」
「一度、その言葉聞いてみたかった」
「愛してる」
「わたしも、愛してる」
私たちは夕べの夜を引きずっていた。
まだ足りてなかったみたいだ。
デュークさんのキスが私の体中に残されていく。
私は彼を受け止めた。
「カナコ?」
あれ?寝てた?
「大丈夫か?」
「うん、寝てたの?」
「ああ、俺が疲れさせたな?」
「いい。デュークさんで満たされたから、いい」
また、キスされた。
「起きるか?」
「うん」
私たちは互いに魔法をかける。
デュークさんは匂いを気に入ってくれてるみたいだ。
ジョゼが呼ばれ、私達は賑やかに食事を始める。
お腹が空いていた。
仕方ないか…。
けど、いつもお腹が空いてる気がするよ。




