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さてと、洋服を仕立てるって、どうやればいいんだ?
ちょっと途方にくれるぜ。
ジョゼに聞いてみた。
「ねぇ、仕立てるって、デザインから始まるの?」
「もちろんです」
「わぁー大変だ」
「けど、楽しいものですよ?」
「そう、そうだといいなぁ」
けど、まさか、それも勉強するの????
え?素人ですよ、私。
「ねぇ、それも勉強するの?」
「まさか、専門の人間がおりますから、ご安心を」
「良かった…」
だよね、日本だってデザイナーがいるわけだもんね。
あ、日本にもダンサーはいるのに…。
ってか、ヨッシー先生。
近いうちに参りますから、きっと、たぶん、うん…。
私はジョゼに連れられて、サグラダファミリア、いや、ルミナス城の周りにある城下街に行く。
3階建てや2階建ての建物が多いな。
日本でいうとアウトレット街みたいな感じだ。
曲線のアウトレットなんだ。
建物は当然、綺麗だし、所々に木が植えられいる。
花壇も一杯あって、可愛い花が咲いている。
通りを行き交う人々は上品な服を着ている人ばかりだ。
喧騒も五月蝿くなんかない。
華やかでお淑やかだ。
品がいい街なんだな、さすが、城下街だ。
しかし、なぁ、全てが曲線の街って落ち着かない。
日本人なら、畳に障子、真っ直ぐの廊下。
落ち着いたら、建てよう、日本家屋。
私にそんな財力があればね。
私はもの珍しいので、キョロキョロする。
リリフィーヌ様なんだもの、しちゃいけないんだろうけど。
ジョゼが言う。
「今から案内するのは私の妹の店です」
え?妹?
「妹さんが、服を作るの?」
「ええ、器用な性質でしたから、ね。ここです」
ゴージャスな外見に戸惑う私です。
いいのかい、私がこんな高級店で服を作っても?
「さぁ、お入り下さい」
ゴージャスな店内。ありがとう。
気後れする私は、小心者の事務員です。
粗相したら、すみません、はい。
「お姉様!」
デカっ!
え?でか過ぎない?
「アリ、お連れしたわ」
「これは、王妃様。お待ちしておりました」
王妃って、私か…。
リリさんモードに突入!
「私、どちらに行けばいいのかしら?」
「こちらへ」
「ありがとう」
気だるくだよ、気だるく。
あー、面倒くさい。
ってか、さ。
ジョゼ、妹さん、巨大すぎるよ?
お相撲さんでも、大丈夫だよ?
身長も体重も凄いって、どうなのよ?
あ、2階に行くんですね?
階段の幅が長いぜ…。
おっと、今気づいた。
あの体格なのに、アリ、ですか?
巨大な布が動いていくんだ。
2階の部屋はもっとゴージャスです。
煌びやかです、華やかです。
「さて、カナコ様。アリには一応の事情は説明してありますので、普段通りに過ごされて大丈夫です」
「助かったよ。よろしくね、アリ」
「こちらこそです。カナコ様とお呼びすれば宜しいですか?」
「うん、それでお願い」
アリは、緑の髪をアップにしてさ、瞳が青?珍しいの?
「アリ、瞳が青いね?」
「ルミナスでは魔法を使えないものの瞳は群青なのですよ」
「ふーん、じゃ、使えたら赤紅で、魔量が切れたら濃銀になって、使えないと群青なんだ?」
「その通りです」
ジョゼが褒めてくれたよ。
改めて、アリを見た。
その手さ、プクプクしてて柔らかそうだ。
触ったら癒されるだろうなぁ…。
触りたい。
あ、心の声、駄々漏れしてますか?
そんなに怪訝そうに見なくても、私、不審者ではありません。
「カナコ様?」
「アリの手、触ってもいい?」
「構いませんが?なぜ?」
「気持ちよさそうだから…あ、失礼なこと、いってるよね?」
「大丈夫ですよ、どうぞ?」
差し出された両手を触る。
やっぱりプクプクしてる。癒されるなぁ。
「アリって器用だね」
「そうですか?」
「だって、お店にあった服はあんなに繊細でしょ?この手から生まれるって、凄いなぁ。どうやっったらアイディアが浮かぶの?自分で試着できないのに凄いなぁ…」
一瞬、アリの目が泳いだ。
「あ、ゴメン。いいたかったのは、アリの手は魔法の手だって事だよ?」
その目が笑った。
「ありがとうございます。では、カナコ様。どのようなデザインをお望みでしょう?」
デザインって言葉あるんだ。
「まったく、わからないんだけど、どうしよう?」
「では、ニホンで着ていた服はどの様なデザインでしたか?」
「えっと」
そうだよな、某有名量販店のチェニックとレギンスでいいんだけど。
「私、絵が下手なんだよぉ…」
「言葉でお伝えくだされば、大丈夫ですよ?」
伝わるか?言ってみるか…?
「上はチェニックで、下はレギンス」
「は?」
「だよね?そうだよね?」
「お姉様…」
「アリ、頑張って!」
なに、その声援?
「はい、頑張ります」
なに、その返事?
とにかく、私も頑張って伝える。
何とか、似たような服のデザイン画が出来た。
「なんと奇抜なデザインでしょうか…」
「そう?みんな、そんな感じの服が多いよ?」
「ドレスとか、ワンピースとかは?」
「あるけど、そんなのはお洒落さんが着る服だもの」
「お洒落さん?」
あ、面倒。
「アリみたいに着飾ることに命をかける人のこと」
「カナコ様の世界でも、装飾に命をかける方がいるのですね?」
「いるよ。私はしないけど」
「もったいない!」
アリは憤った。
いや、でもね、楽な服装って、素敵よ?
「カナコ様、全て私にお任せ下さい。このデザインを元に、舞踏会に出しても恥ずかしくないドレスを作ってみせます!」
あ、嫌な予感。
「いや、なんか適当に好みの服があれば、それでいいんだ。ジョゼ、それでいいんだ。駄目?」
「カナコ様?」
「あのね、リリさんの服を着るのが嫌なだけなんだよ」
「そうでしたか」
「我が侭で、ゴメンね」
「謝ってはいけませんよ?」
「あ、そうだった」
アリまで苦笑いだ。
「では、公式なものは、華やかに。私的なものは、シンプルに。で宜しいですか?」
「うん、それでいいよ」
「小物の誂えは?」
「任せる」
「畏まりました」
アリが着ている伸び縮みする生地がいいです。
「アリが着ている生地が好きだな」
「お目が高い!」
「ほ?」
「これは、ゴンザス地方の生糸を使った生地です。軽くて伸縮性にすぐれておりますよ?」
「それが、いい!それで、レギンスを作ってよ?」
「これは、足の形が丸見えですが?」
「そう、ぴったりフィットするんだ。ドレスなんかじゃ動けないもの」
「まぁそうですね…。試作しましょう」
そうしてくださいね!
お願いします。
けど、アリの手に掛かったら、なんか、アニメのキャラクターに近づきそうだ。
まぁ、いいか。




