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気づいたら、朝になっていた。
そして、目の前にデュークさんがいる。
肌が触れ合ったままだ。
嬉しくなっちゃうぞ?
「カナコ?」
デュークさんの声は、気のせいではなく…、超ー優しい。
これが、恋人同士の会話って奴?
いや~ん!
どうしよう!
「起きたのか?」
「うん」
私はデュークさんの首にしがみ付いた。
「どうした?」
「甘えてみたかった」
「カナコ?」
「やったことないから…」
「そうか」
そのまま、デュークさんは私の頭を撫でてくれる。
なんて、甘い時間だ…。
が、私の腹は別物だ、
ギュルルウウウーーー!
鳴るな!チクショウ…。
「ハハハ!」
愉快そうに笑うんだ。
くそ、こんな時でも、いい男だ。
「笑うな」
「やっぱり、おまえは、カナコだ」
「五月蝿い」
そんなに優しい目で見つめられると、もっと愛したくなるよ?
いいの?
「拗ねるな、魔法を掛けてやる」
サラーン!
お、いつもより3割り増しにスッキリ。
愛の力か?
「じゃ、私も」
香りつきスペシャルだい!
サラーーーン!
どうだ?
驚いた顔をしてる。
「うん?いい匂いがする」
「スペシャルバージョン、私の考えたデュークさんの香り付き。どうかな?嫌?いやなら消すよ?」
「気に入った」
「良かった」
お互いに服を呼び出して、着替える。
あ、この服…。
てか、ここにある服は全部リリさんの服だ。
「デュークさん、お願いがあるのですが?」
「なんだ?」
「新しい服が欲しいのですが、買いに行ってもいいですか?」
キョトンとする。
なんで?
「服を買いに行く?」
「はい、」
「意味がわからん、服は仕立てないとないぞ?」
「え?既製品ってないの?」
「きせいひん、ってなんだ?」
そこからかよ…。
「大量に購入してもらうために、同じデザインの服をサイズを変えて大量に作った服のことですよ」
「なぜだ?どうして、そんなに大量に同じデザインの服が必要なんだ?」
コメント、差し控えたい気分。
面倒くさいんだよ。
「日本は人口も多いし、安い服でも町で同じ服を着てる人にあう確立が少ないから、かな?」
「そうなのか…」
「とにかく、私の服が欲しいんです。我が侭でごめんなさい…」
笑った。
デュークさんが笑うと、その笑顔だけでやられそうになるんだよ?
やたらに連発禁止だからね?
私の前だけにして?
「好きなだけ、仕立てろ。靴も諸々も、装飾品も、全て、新しいのしろ?カナコの欲しいものでこの部屋を埋め尽くせ、いいな?」
「わぁ、豪快だ…」
「俺は惚れた女には弱い」
キューン!
やだ、反則だよ!
「なんだ?その間抜け面は?」
え?間抜けてる?
惚れているんだよ、キューンときたんだよ?
「いや、なんでものないです…」
「それよりも、食事だろ?」
「あ、はい!その通りです」
「今直ぐに支度させる」
デュークさんは電話してる。
私はその姿を見つめてる。
幸せって、こんな時間のことを言うんですか?
ハハハハ!
幸せすぎだ。
どうしよう、幸せだ。
ジョゼが入って来た。
朝食もやってきた。
「おはようございます」
「ああ、ジョゼ。昨日は、すまなかった」
「いえ、陛下。カナコ様とは仲直りできましたでしょうか?」
「まぁ、な。そうだろう、カナコ」
振るなよ、照れるじゃないか。
「あ、うん、ジョゼ。仲直りしたよ。ありがとう」
ジョゼの笑みは優しい。
ごめんね、分らず屋な私達で…。
反省したから、多分。
「宜しゅうございました」
言ってるそばから、朝食の準備が出来あがった。
「お召し上がり下さい」
「ああ、そうだ、カナコ?」
「なに?」
「好きに食べていいからな」
「いいの?」
「ああ、いい。それから、他に食べたい物ががあれば遠慮なく言え。いいな?」
「うん!嬉しい!」
ようやく、自由が与えられた気分ですよ!
美味いなぁ、美味いぞ!
モリモリ食べた。
「カナコは美味しそうに食べる」
「うん?」
「いいことだ」
「ありがとう」
「美味しいか?」
「とっても、美味しい!」
「そうか」
デュークさんは満足気に頷いている。
満足したのか、ジョゼを呼ぶ。
「ジョゼ?」
「なんでしょうか、陛下?」
「カナコが服が欲しいそうだ。こいつの欲しいものは全て誂えてやれ」
「畏まりました」
そんな、普段着が欲しいだけだよ?
「え?そんなにいいよ…」
「俺がしてやりたいんだ、素直に、言うことを聞け。いいな?」
「あ、うん、でも…」
「どうした?」
「そんな贅沢、慣れてないから、わからないよ?」
デュークさんが、戸惑っている。
なぜ、ここで戸惑うの?
「どうしたの?」
「この程度のことは贅沢ではないぞ?気にするな」
「そうなの?」
思わず、ジョゼを見る。
「左様でございます。カナコ様はルミナスの力を見くびられておいでですよ?」
ルミナスの力?
そんなに壮大なのか?
「え?」
「まぁ、とにかく、気にするな。いいな?」
そこまで言うんだ。
甘えよう。それも、楽しいじゃん。
男の甲斐性って奴を見せてもらおうじゃないか!
「わかった。じゃ、甘える」
「よし」
私達は他愛もない話をして、食事を終えた。
デュークさんが仕事に行くのを見送り、ジョゼと服についての打ち合わせをすることにした。
行ってらっしゃい、のキスは最高だね!




