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ダンス教室から、部屋に戻る。



もう、夜だ。

真っ暗だよ、何時まで頑張ったんだ?

切羽詰ると何でも出来るね。


ところで、最近はデュークさんの帰りが遅いんだ。


「ジョゼ、疲れた!」

「わかりました、ジョゼがスッキリサッパリして差し上げます」

「わーい!」

 

スッキリ、サッパリ!


不思議なんだ、この魔法は、自分でやるよりジョゼにやってもらう方が気持ちがいい。


「ありがとう!」

「どういたしまして」

「今日は早めに寝ていいでしょ?」

「そうですね、今日は陛下の帰りをお待ち下さい」


えーー。


「ヤダ」 

「駄目です」

「なんで?」

「仲直りして下さい。明日は大事な日ですよ?」

「そうだけど…」


あのデュークさんの目、怖かった。 

赤紅じゃなかった時は苦しそうで辛そうだったけど、朝、赤紅の時は怖かった。


「ねぇ、ジョゼ?」

「なんでしょう?」

「魔量が切れて瞳が濃銀になると、どうなるの?」

「それは人によって違いますが、魔量が大きい人ほど苦しいですね」

「苦しいんだ…」

「ええ、陛下クラスになると、ご自分での制御は難しいかと」


うん?


「それって、人の肌が恋しくなる的なこと?」

「いろんな性質がありますので、一概には言えませんが、陛下の場合はそうなります」

「けど、前の時のデュークさんは違ったよ?」

「前?」

「魔物征伐に4日ほど行ったとき」

「4日?3日では?、いや、あ、あれは…」


なんだ?


「うん?教えて?」


ジョゼが言葉を濁した。

で、諦めたように話してくれた。


「あの時は、まっずぐに城にお戻りにはなりませんでした」

「へ?」

「征伐自体は3日で終わり、次の日は悦楽の館へ」


なんて名前なんだ。

それだけで全てが分かるじゃないか…。

つまり、そう言う店なんだね?


「凄い名前だ…」

「本当ですね。しかし、それでも陛下はお気が静まらずにお疲れのご様子でした」

「ちなみに、悦楽の館では1日中?」

「その様でしたね」


ふーん、だからあの日、酔いつぶれて何もしないで寝たんだ。

紳士というよりも、疲れて出来なかった、ってことかしら?


「しかし、やはり娼館では、なかなか難しいのでしょう」

「どういう意味?」

「そこは、気持ちが通じ合っている女性との方が、回復の度合いが違いますから」

「そ、そうなの…」


なるほど、愛し合ってる人とする方が、一気に魔量が回復するんだ。

だから、リリさんにこだわる訳か。


「じゃ、この間は、直ぐに帰ってきたの?」

「当然でございましょう?カナコ様に強い魔法を掛けてしまって、動揺なさっていたのですよ?」

「え?」

「一時も早く、カナコ様の元に帰りたかったのですよ、陛下は」


何言ってんだ、この人は。

私の元じゃなく、リリさんの体の元にだろう?

間違うなよ、迷惑だ。


って、ジョゼに言っても仕方がない。


けど、惨めにさせるな。

いや、惨めなんかじゃない!断じて違う…。

…、ふん…。


「…、そうなんだ」

「はい」


そう言って、真剣な目で私を見る。


「なので、今晩は陛下をお待ち下さい」

「けどさ、今日は眠いよ。寝てもいいでしょ?明日、顔見て仲直りするから」

「カナコ様?」

「お願い!」

「仕方ありませんね」

「だから、スリープ掛けて?」

「分かりました。では、お休みなさいませ」

「うん」


ジョゼがスリープを掛けてくれた。

これでステップを忘れずにすむ、なんて思った瞬間、眠ってしまった。







「起きろ」


あ、覚えのある声だ。


「あ、デュークさん、お久しぶりです」

「お久しぶりって…」

「え?」

「いや、いい…」


デュークさんは間抜けた顔をしてる。

え、なに?やっぱり、毎晩隣で寝てたの?

気づかなかった。

だって、朝になるといなかったじゃん。


あ、けど、誰かがいた形跡はあったな…。

疲れてて考えることを放棄してたんだよ。

気づかなかくてゴメン。


って、謝ることもないか…。


「あ、今日はリリさんのお兄さんが来る日ですよね?」

「そうだ」

「私、デュークさんとワルツを踊らなくてはいけないって聞きました」

「その通りだ」

「よろしくお願いします」

「踊れるようになったか?」

「ヨッシー先生は大丈夫だと、いってくれました」

「彼が言うなら大丈夫だろう」


と言ったくせに、さ。

マジマジと私を値踏みするような目線は止めて欲しい。


「立て」

「へ?」

「間抜けな顔はやめろ。どれだけ踊れるかみてやる」

「はい、…」


朝から試験かよ…。


「音楽がありませんが?」

「必要ない」

「そうですか…」


差し出された手を掴み、ステップを踏んだ。



踊りやすかった。

デュークさんは常に先を読んで私を導いてくれる。

ヨッシー先生よりも、踊りやすかった。


おそらく、曲が終わるくらいの時間だ。


私達は止まった。

息が上がる。


「頑張ったな」


そう言ったデュークさんは頭を撫でてくれた。

そんなこと、してくれるなんて思わなかった。


だから、チョードキドキしてるんだ。


相変わらず、卑怯だ。

惚れるだろ?

辛くさせるなよ…、お願いだから…。


「今日は俺がサラサラにしてやる」


なんだよ、笑顔だなんて、まったくもって、卑怯だ。

けど、デュークさんに魔法を掛けられるの初めて、じゃないな、2度目だ。


サラン!


気持ちいい。え?ジョゼよりも気持ちいい。

なんでだろう?


「カナコ、」

「はい?」

「俺をサラサラにしてくれ」

「いいですよ?」


してくれた御礼だ。

サラーン!どうだ?


「うん。いい気持ちだ」

「良かった」

「来い」


は?

いきなり腕をつかまれて、顎を取られた。


「なに?」

「黙って受け入れろ」


キスされた。

やだ、体が熱くなった。

腰が…、なんだ、熱いよ…。


「今日は俺の妻だ。いいか、忘れるな?」


どうしよう、惚れてまうやろ…。


「堂々としてろ。外見はリリでも中身はカナコだ。それでいい」

「デュークさん、意味わからないよ?」

「分からなくて、いい」


用意された服に着替えた。






何度でも、言います。

こんな、フリフリは、嫌です。






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