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外での食事。

ここに来てから、初めてだ。




喋りながらで、楽しい。


「デュークさん?」

「なんだ?」

「ここへは、リリさんとは来たこと、あるんですか?」


俯くなよ、聞いてゴメン。


「ないんですか…」

「ああ、ない」

「来たかったんですか?」

「そうだな、一度は見せたかった」

「そうですよね、綺麗ですもん」

「カナコは、ココに来て良かったか?」


当然! 


「はい!だって、見てくださいよ、この景色。最高です。食事もワインも美味しくなりますよ?」

「ここ、って、まぁ、そうだな、良かったな」  


違うの、ここって、何処? 

まぁ、いいか。

デュークさんもいいっていったしな。


「はい。けど、デュークさんは、リリさんと来たかったんでしょ?」

「…、ああ、そうだった」

「まだ他に行きたかった場所とか、あるんですか?」

「どうだろう…、あいつは城の中とその周りの場所が好きだったから…」


あ、拒まない人だもんね。  


「寂しくなかったんですか?デュークさんは?」

「それでいいから、と、結婚した」

「惚れてたんですね?」

「そうだな、愛してたな。不思議だ、今思うと」

「不思議?」


デュークさんは遠くを見る。


「リリがいなくなったら、と考えただけで耐えられなかったんだ…。なのに、俺はカナコとこうして笑っている」

「そうですね」

「不思議だ」


そうだな、うん、不思議だ。

私も帰りたかった筈なのに、ルミナスが好きになっている。

まだ、全部を知らないけどね。


「けど、いつかリリさんが戻ってくるかもしれませんよ?その時は我慢しないで連れて行ってあげないと?」

「リリが戻る時は、カナコがいなくなる時だ」

「そりゃ、そうですよ。この体は一つですから」

「…」


黙り込んだぞ?

やっぱりリリさんが恋しいか?


「じゃ、リリさんが戻ってきた時の練習でもしますか?」


少しは強引に引っ張らないと、舐められるよ?

って、か、舐められてたんじゃないか?


「いいのか、それで?」

「いいですよ?」

「おまえ、本当に馬鹿だな?」

「馬鹿?なんと、馬鹿って、なんですか?」

「なんにも、わかってないじゃないか!」


はぁ~~~!

なんだんだ?人を馬鹿って!


「せっかくリリさんモードで練習台になってあげようとしたのに!もう、やりませんよ?」

「黙れ!」


え???ドンって??

急に押し倒して、え?

私は押し倒されて、仰向けになってしまったよ!



壁ドンならぬ、地面ドン?



「リリになるんだろ?リリになれよ!」

「…、デューク…」

「手加減はしない」


意味が、わからない。

けど、デュークさんの唇が私に重なった。

それも、激しく、だ。

思わず顔を左右に振って、デュークさんの唇から逃げる。


「や、やめて!」


準備が、心の準備が!


「黙れ、止めない」

「そんな、卑怯ですよ?私はっ!」


まただ、口を塞がれた。



あ、あ、息が出来ないよ!



離せ!




あ、指から何かがでた、雷か?

サンダー、ぶっ放したぞ…、私。




御者さんが走ってきた。


「陛下!幕が破れました!」

「慌てるな、大丈夫だ!」


デュークさんは私から離れた。


「カナコ伏せてろ!」

「なに?何が起こるの?」

「おまえが雷を放ったから、幕が破れた。もう一度張るのに時間がかかる」

「ごめんなさい…」

「いい、最悪は魔物がココを嗅ぎ付けることだ」

「魔物?来るの?」


デュークさんは空を見上げた。


「来る」


マジか?


急に空が濁った。

その濁りが段々と固まりになって、えええ???


魔物になった。

なってしまったんだ。



うそ?



「え?魔物って空から現れるの?」

「そういう時もある」

「落ちるの?」

「降りてくる」


あ、ホントだ。

2匹、降りてきた。


こいつら、見たことある。

テレビゲームの中で…。


あ、デュークさん、弱点しってるかもしれません。


「馬鹿、伏せろ!」


動けなかった。

だって、テレビで見てたけど、こんなに大きくなかった。

化け物だ。


怖い…。


「怖い…」

「だから、見るな」

「けど、こっちに来る…」


向ってきた。

ドスン、ドスンと、一つ目の、頭に角が一本の大男が、斧振り上げて来た。


大男が2匹。


「嫌だぁ!」


私は、思わず指を振った。




ドドドドォーーーーーーン




雷が、落ちた。


「か、カナコ?」

「デュークさん!」

「大丈夫だ。もう、いない」

「え?」

「おまえの雷で燃え尽きてしまった」


焦げた臭いがする。

あ、私ですか?

私がやったんですか?


「陛下!い、今のは…」


御者さん達が震えてる。

私も震えてるよ、自分が怖い。


「大丈夫だ、幕は?」

「まだ、時間が…」

「そうか、急いで宮殿に戻ろう。大丈夫か?」

「はい、では用意を」

「このままでいい、時間が惜しい」

「御意」


デュークさんは私を抱き上げた。


「帰るぞ」

「…」


言葉が出ない。

ザックの言ったのは正しかったんだ。




私は、化け物だ。




馬車は凄い勢いで走ったけれど、安全なところに来たのか、ゆっくりになった。

向かいに座ったデュークさんはズッと私の手を握っている。

震えが止まらない。


「カナコ、もう大丈夫だ」

「デュークさん、私、化け物なんだ?」

「おまえはカナコだ」

「違う!あんなの、化け物しかできないよ?あんな大きな魔物が2匹だよ?一瞬で焦げるんだよ?」

「落ち着け」

「デュークさんだって、最初の日にいったじゃん。おまえ化け物かって!ザックだって、いった。化け物って。なんで?ちょっと指を振っただけだよ?なんで?私、やっぱり化け物なんだよ!」

「騒ぐな、落ち着け」

「落ち着く?無理だよ、無理。御者さんたちも震えてたじゃん。私も、自分が怖いよ!化け物だもん!あんなデカイ魔物を、私が、私が!」


急にデュークさんが隣に座った。


「カナコ、力を抜け」

「え?」


キスされた。

優しいキスだった。

言われた通りに、力が抜けた。


「寝ろ」


デュークさんが、何か魔法を私にかけた。






そういえば、スリープって魔法あったなぁ、なんて思いながら私は意識を失った。





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