192 遅いよ。
遅いよ。
私は、待っているんだ。
(そんなに、待ち遠しいんだ?)
当たり前でしょ?
神もどきが苦笑いしてやがる。
(神もどきは止めてくれよ。これでも、けっこうなベテランになったんだから)
ふん、何がベテランよ?
(怒らないでよ?私頑張ったと思うけど?)
まぁね、特例で認めさせたのは、感謝してる。
(だろう?もっと感謝してくれてもいいんだけどね)
嫌よ。
(強情だね…、ここに暮らしていて長いのに、まだ自我を持っていられるなんて。君しかいないよ)
だって、デュークさんが来るんだもの…。
(良かったね)
うん、ありがとう。
私は素直になった。
ここは死んだ人間がやってくる場所。
しばらくはここで暮らして、生前の自我が柔らかくなるを待つそうだ。
私は断固拒否した。
そんなことをしたら、デュークさんとの約束が果たせない。
徹底抗戦だった。
たまにそういう人がいるらしく、揉めたけど特例でデュークさんが来るまでここにいても良いことになったんだ。
但し、が付いてるけどね。
そんなに甘くないらしい。
あ、!
(来たね…)
光が一つ。
現れる。
最初はボンヤリとしてるけど、段々とはっきりしてきた。
私は見ている。
現れる瞬間を。
手が震えている。
ううん、体が震えているんだ。
(か、カナコ?)
デュークさん!デュークさん!デュークさん!
飛びついた。
間違いない、デュークさんだ!
(待たせたな?)
遅いよ!
(すまなかった、けど、子供達を見届けてきたぞ?)
うん、ありがとう。みんな良い子に育ったね。
(ああ、カナコ?)
うん?なあに?
(カナコは光になっても綺麗だな?)
嬉しい!
(愛してるよ)
うん、愛してる
久し振りのキスだ。
やっぱりデュークさんのキスは溶ける。
(あー、すみませんね?)
邪魔しないで!
(誰だ、おまえ?)
神もどきよ。
(おまえが、神もどきか?)
(あの、もう、もどきではなく、神なんです)
五月蝿い。
(えっと、約束は?)
わかってる。1日くれるんだよね?
(はい、1日だけです)
(何の事だ?)
(お2人が一緒にいられるのが、ってことですよ)
ごめんなさい。決まりがあるんだって。
(そうか…、これから俺は、どうなるんだ?)
(はい、どんな人間であれ死んだ人間は、一旦、ここに光となって現れます。それは次の生へと移るため準備なのです。なので、ここに留まれるのは、そうですね、人間の長さで言うと、1ヶ月程度。その後は次の生へのために、次の場所へ移ります)
(移るとどうなるんだ?)
(本来の光の記憶が戻る代わりに、これまでの記憶が薄くなり、いずれはなくなります)
(俺は俺の記憶をなくすのか?)
(はい、それが定めです)
そんなの嫌だから、デュークさんが来るまでここにいさせてもらったの。けど、もう、限界だから…。
そうなんだ。
ここに長くいるために、少々取引もした。
神の部下になって、色々と仕事もしてきたんだ。
まぁ、取引材料に次世のレベルが少しハードになることも認めたけど。
(カナコ、ありがとう、な)
デュークさん?
(今日1日は、俺達は、何をしてもいいんだな?)
(いいですよ、問題ありません)
(なら、いい)
デュークさん?いいの?
(1日を一緒に過ごそう。そして、俺も一緒に次に移る)
(いやー、それは…)
(なんだ?)
(来たばかりの方には、結構、キツイですよ?)
(構わない、記憶が薄れるなら、一緒に薄れればいい。そうだろう?カナコ?)
デュークさん、ほんと?
(今までが奇跡だったんだ。これからは受け入れるだけだ。それでいい)
うん!
(まぁ、本人がいいのならね。じゃ、手続きをしてきましょう。それでは、ごゆっくり)
ごゆっくりって言われたって、1日しかない。
私はデュークさんを抱きしめた。
いや、抱きしめると言うよりは、光の中に取り込んだって感じ。
でも、気持ちいいんだ。
(素晴らしいな…)
感じてくれてる?
(ああ、最高だ)
良かった。
(カナコも感じてるのか?)
もちろんだよ、デュークさんを感じてるよ。
(そうか)
それから、私達は話を続けた。
子供たちのこと、私達の思い出。周りのこと、ルミナスのこと。
1日はあっという間に過ぎた。
そして、始まるんだ。
私は無言になった。
(どうした?)
始まったの…。
意識がまた吸い上げられる。
もう一段高いところに上がるんだ。
感じる?上がるんだよ?
(ああ、俺にも始まった)
ねぇ、デュークさん、会えて嬉しかった。
(カナコ、これからも俺の女はカナコだけだからな?)
うん。わたしもだよ?きっとね、薄れても、どこかに引っかかって、残るよ
(そうだな、)
デュークさんの匂い、覚えているといいな。
(俺はカナコの全てを覚えていたい)
嬉しい、けど、忘れても責めないよ。
(愛してる、カナコ)
私も、愛してる。
最後のキスを交わした。
とても、深くで優しいキスだった。
(じゃ、行こうか?)
うん、一緒に行こう?
(ああ、俺達は、一緒だ)
デュークさんは手を握ってくれた。
私達は、上に行く。
意識が変わっていく。
けど。
怖くなかった。
だって、デュークさんが側にいるから。
いつだって、デュークさんの手は大きくて温かいから。
いつだって、安心するんだ。
いつだって、。
いつだっ、、て、、、。
いつだって、だ、、、よ、、、、。
雷に打たれたら、魔法使いになっていました。 完
終りました。完結しました。
長丁場でしたが、なんとか毎日更新も貫徹できて安心してます。
平均にすると毎日およそ1700PV。ありがたいことです。本当に毎日の励みになっていました。
今はちょっとの終ったという安心感といっぱいの虚脱感です。ここまでカナコと一緒に時間を過ごすとは思っていませんでした。最近では自分の口調までカナコに似てきた気がして、ちょっとヤバイくらいです。しばらくはリハビリです(苦笑)
このシリーズに関してはこれで終わりになりそうです。
次回のお話は少し先になりそうな感じですが、出来あがりましたらお知らせ致します。
本当にありがとうございました。




