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翌朝を抱き合ったままで迎えたんだ。




なのに…。




私達は互いに魔法を掛け合うと、深いキスをしてしまうと言う、訳の分からないことをやっちゃって、えーと、ですね。

また、感じ合ってしまったんだ。

とても深く、とても敏感に。

だって、デュークさんが足りてないって、言うから…。

あ、私も足りてはいなかったけどね。


いやー、ね。

今日は皆がお休みの日だったなんて、忘れてたよ。





だから、居間に行ったのは遅い時間になってしまった。

子供達が、なんかションボリとしてそこにいた。


「ちちうえ?」


ルイは不安そうに、デュークさんを呼んだ。


「ルイ、おはよう」


デュークさんのその声は落ち着きと思いやりに満ちていた。

そう、いつもの王として落ち着きと父としての思いやりに満ちた声だったんだ。

敏感なルイには伝わったみたいだ。

パッと顔が明るくなって、嬉しそうにデュークさんを見て、それから…。


「はい!」


そう言ってデュークさんの所に元気に行って飛びついた。

デュークさんはルイを軽々と抱き上げて、髪をクシャクシャに撫でている。

ルイはデュークさんに抱いてもらって嬉しそうだ。

そんな2人を見て、セーラが私を呼んだ。


「お母様?」


不安げな声だった。


「おはよう、セーラ。どうしたの?」


私の声に安心したのか、急に大きな声を出した。


「お父様!」

「なんだ?」


セーラが怒ってる。


「やっと仲直りしたのね!」


そんな、怒らなくても…って思うけど、今回は長かったからね。

子供達もずっと不安だったんだ。

良く我慢してくれたね、ごめんね…。


「セーラ?」

「ずーっと仲直りしてくださらなかったから、心配してたのよ!」


アリスまで加わる。


「そうよ!私達、心配してたんだから!」

「どんなに心配してたか、お父様もお母様も、全然分かってないんだから!」


デュークさんと私は顔を見合わせた。

2人は同時に泣きそうな声で、私達に抗議した。


「「喧嘩なんて、もうしないで!」」


そして、泣き出してしまうんだよ。

ああ、ごめんね。

本当にごめん。


「とっても心配したんだから!」

「そう!」


なんか、もらい泣きしそう…。


「セーラ、アリス。ごめんなさいね。心配掛けてしまって。けどね、お父様と仲直りしたわ」

「すまなかった、もう喧嘩はしない。お前達に約束するぞ?」


アリスがそれでも言うんだ。


「だって、ルイが可哀想なの!ルイは、自分のせいで喧嘩してるって思ってるんだから!」

「え?ルイ?」


私の声に、デュークさんに抱かれたルイがちょっと困ったような顔をした。


「ルイ、言ってみろ?」

「だって、ちちうえのいないとき、けいこ、やすんだでしょ?」

「そうだったな…」

「だから、ちちうえ、怒って、ははうえと、ケンカしたでしょ?」


なんで、知ってる?

あれは確か子供達が寝室に行ってからのことだった筈。


「私たち、すぐに寝なかったの」

「聞いてしまったの」


ああ、幕は子供達も入れるからな。

あのドアに耳でもつければ聞こえたかも知れない。


「そしたら、お父様とお母様が喧嘩を始めてしまって…」

「ルイが泣き出して、部屋にもどってからも、泣き止まなくって。自分が悪いって言って、ずーと泣いたの」


おいおい、気づいてなかったよ。

そんでもって、ルイがデュークさんに言うんだ。

健気に言うんだよ。


「ちちうえ、おれ、けいこ、いっぱいしたよ?たいちょうも、ホメてくれたよ?」

「どれ、手を見せてみろ?」


ルイはデュークさんに手の平を見せた。

ちっちゃい手に、マメが出来てる…。

なんて子なんだ。

ルイはやっぱり、王になる子だ。


「よく頑張ったな。ルイ、偉いな?」

「うん!ちちうえ、おれ、王様になれる?」

「ああ、なれるぞ」


ごしごしとデュークさんがルイの頭を撫でた。


「うん!おれ、王様になる!」


私は娘達の手を握った。


「セーラ、アリス。ごめんなさいね。心配掛けてしまって…」

「「お母様!」」


2人は抱きついてきた。

私は2人を抱え込んだよ、なんて可愛い子供達だろうか…。


「もう、喧嘩しないでね?」

「約束よ?」


私達は顔を見合わせて、苦笑いした。


「そうだな?」

「そうね?」


もう2人だけの問題じゃなかったんだ。

今日は私達の方が子供だ。


デュークさんはルイを下ろすと、膝立てをして、娘達を呼んだ。


「俺の可愛い姫達、さぁ、おいで」

「お父様!」

「馬鹿!」


おいおい、父に馬鹿とは…。

マリ姉ちゃんの血がここにも流れてるんだなぁ…。


なんて感心してる場合じゃない。


「よしよし、いい子だ」


デュークさんは2人を抱きしめてる。


「ははうえ!」


私は側に来たルイを抱きしめた。


「ルイ、いい子ね?私の自慢の息子だわ」

「ほんと?」

「ええ、ルイ、大好きよ」

「おれも!」


可愛いよ、可愛すぎる…。


「よし!」


どうした、デューク?

大きい声を出して、急に立ち上がって。


「今日は、これから出掛けるぞ!」

「「「わーい!」」」


子供達は大喜びだ。

そうだよね、ここ2ヶ月はバタバタしてて、家族で何処にも行かなかったんだ。

ごめんね、子供達。


「お父様、どこにいくの?」

「どこがいい?」

「「「丘の上!」」」


子供達はあの場所が大好きだ。


「なら、泊まりだな。外でご飯を食べて、遊んで、丘から星を見よう」

「わーい!」

「「素敵!」」


泊まりって?

仕事、あるでしょ?


「けど、デュークさん、仕事が…」

「調整してくるさ」

「大丈夫?」

「任せろ」


子供達は浮かれている。


「よし、じゃ、テッドに言って用意して貰うんだ。いいな?」

「「「わーい!」」」


はいはい、じゃ、準備しますよ。




アリエッタとエミィが、急いで外出の準備を始める。

エイミィがテッドに伝えてくれた。

慌てていたが、飛び切りの豪華弁当を作ります、と言ってくれたそうだ。

夕食も朝食も頼んだよ?


私は、子供達の準備を子供達とアリエッタと共に始める。

デュークさんが仕事の調整を終えて帰ってきたら、出発だ。





風の様な速さでデュークさんは宮殿に戻ってきた。

玄関には、私達家族の馬車が泊まっている。

馬車は家族全員が乗れる大きさだ。


皆でお出掛けさ。





良かった。

また、仲良しの家族に戻れた。

しかも、以前よりも、もっと仲良しになったんだ。







やっぱり私達家族は素敵で楽しい。








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