表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
169/192

169

しばらくして、私付きの侍女に新しい女性が2人入って来た。

前にいた侍女が結婚して、遠方に嫁いだからだ。


王妃の侍女をしていた、って経歴は結婚の際に有利らしい。

だから、侍女志望が多過ぎて参っている。

自分の経歴に有利だからって侍女になりたいなんてね、困るんだ。

一生懸命に働いてくれた結果が、玉の輿なだけでね、別にここはそんな為の施設じゃないんだよ。


そこを勘違いする人間が増えてきて、大変だ。


だいたい、デニファは良く働いてくれたんだ。

それはアリエッタもエイミィも知っている。

だから、私は彼女の輿入れの際にドレスと食器を持たせたんだ。


それがだ、なんでだ?

王妃の侍女になると辞める時にドレスと宝石がもらえる、って噂になるんだ?

いい加減にして欲しい。





あ、話が逸れた。 





最近はこんなのが多くなって困ってるんだよ。

人口が多くなったせいもあるんだろうな。

なんか、地下から出てきた人達はハイになっている気がする。

テンションが高いんだよ。


「カナコ様?」 

「あ、そうね…」


目の前に新しく入った侍女達がいるんだ。

そうだった、挨拶に来ているんだった。


「慣れないうちは大変かもしれないけど、お願いね?」

「はい!」

「はい…」


2人は丁寧な礼をした。

正直、作法としてはマダマダなんだけど、一応は様になっている。

これを完璧にさせるのが、一苦労なんだとか。

エイミィがボヤいていた。


また、地下から上がってきた人の話になるけど、エイミィが注意しても聞かないらしい。

何故そうするのか?を理解するまでやってくれないんだとか。

まぁ、その考えもわかるけど、一応はお給金出すんだからちゃんと覚えてやって欲しいんだよな。


その点、ハイヒットの母は五月蝿かった。

私達3姉妹には特にだ。

『女性は物腰の優雅さが全て』がモットーな人だから、歩き方から座り方、礼の仕方に食事の作法。

王家のものよりは、格段に優しいんだろうけど、恥をかかないように徹底的に仕込まれた。

だから、こんな私でもなんとか王妃が務まっているんだと、感謝しているんだ。


とにかく、彼女たちをエイミィに任せる事にした。


「エイミィ、貴女に任せするわ」


新人の彼女達は知らないけど、エイミィが1ヶ月程彼女達を監視することになっている。

そうしてから、本当の配属が決まる。

そうしないといい加減な気持ちで仕事をする人間が紛れるからだよ。

私はエイミィとアリエッタには完全な信頼を置いているから、彼女達の判断を信頼している。


「畏まりました、カナコ様」


エイミィが2人の新人を連れて出て行く。


しかし、だ。

なんか、1人だけ、違和感のある新人だったな。

変な目つきをしてたわ…。

睨まれているというか…、睨まれてたわね。


まぁ、気のせいにしておこう。

気にしたら駄目だからね。

色々とやられてしまうんだ。


それに、だよ。

気にする事はそれ以外にあるんだ。


最近、デュークさんの帰りが遅いから。

城にはいるんだけど、王宮に帰るのが遅いんだ。


基本的に国の政には関わらない私なので、遅くなるときは忙しいんだと認識するだけだ。

夫の仕事には関知しないことにしてる。

視察とか、私も働かなくてはいけない時は、簡単にレクチャーを受ける。

頂いた仕事は全力で頑張るよ。

けど、基本は政には関わらない。


その内に解決したら、いつもの様に家族で一緒に食事が出来るからね。


今回も、そのつもりでいるんだけど、うーん。

なんだろう、か。

不安が私の側から離れない。


キスを拒まれたことが、蟠りになっているんだ、きっとね。

それに、夜も、全然だ。

いないことが多いから、仕方ないんだけどね…。








それから、約1週間後のこと。





私はとある噂に驚いていた。


「え?」

「それが、そういう噂が…」


アリエッタが言ったことに、驚く。


「噂なのです、けれども、」

「みんなが知ってるのね?」

「はい」


それは、ポポロのことだ。

色んな人の個人的な陳情を聞く代わりに、賄賂を要求しているって噂が城を駆け巡っているらしい。

あの、ポポロが?


「ですが、私達は本当の事だとは思えないのです」


エイミィもそう告げる。


「そうよね」


私達3人は時々こうやって3者会談を行う。

互いの意思疎通を図るためにだけどね。

侍女が大勢になってくると、輪を乱す人間が紛れ込む。

そうなると、宮殿の安全が脅かされるものね。


「とにかく、そんな噂には、振り回されないようにしましょう?いい?」

「「畏まりました」」


エイミィもアリエッタも、思慮深い人間だ。

話をちゃんとコントロール出来る。

任せておけば、いい。






けれども、なんか、釈然としない。

だから、私はアンリ兄様に相談した。


だって、ポポロは私達夫婦の恩人と言ってもいいんだよ。

それに今まではそんな事した事もないんだ。

むしろ嫌っていたじゃないか…。

なんか変だよ。


「兄様、ポポロの噂、聞いた?」

「あ、賄賂を受け取るって話か?」

「そう。ねぇ、ポポロが、そんなことする筈ないわよね?」


アンリ兄様の目が泳いだ。

何故ここで、泳ぐ?


「そうだな…」


どういうことだろうか?

問題が起こっているんだろうか?


「変よ?」

「何がだい?」

「お兄様、何か隠してるわ。そうよね?」

「何も、隠してなんかないよ」


そう言ってるのに、挙動が不審だ。

思い切って兄様に聞いてみた。


「ねぇ、どんな事件があったの?」


ちょっと、戸惑う感じが伝わる。


「事件?事件なんてないよ?」

「ほんと?」

「どうしたんだい?」

「最近ね、あまりにもお帰りが遅いのよ。子供達とも話せてないの」

「そうだろうね、」


とアンリ兄様が言ってくれた。

なんだ?そうだろうね?

変じゃない?


「もう時期にかたが付くよ」

「時期に?変じゃない?さっき事件は起きてないって言ったわ?」

「あ、もちろんだよ。そうではなく、忙しい事がだよ?」

「そう?けどね、宮殿にも御戻りになられない日が多くなってるわ」

「フィー、あんまり、心配して陛下を困らせるなよ」


え?意味が分からない。


「どういう意味?私、デュークさんを困らせてるの?」

「い、いや、漠然とした一般論だよ。気にするな」

「そうなの?」

「ああ、フィーは王妃なんだ。ドンとしてればいいんだよ?分かったかい?」

「ええ…」






けど、なんか納得できないのは、何故?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ