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ルミナスも少しづつ変わり始めている。




キッカケは、魔物が減ったこと。

これは新しく学院長になったグランガの説だけれども、この世界の魔量は無限にあるのではなくて、有限らしい。

だから、頻繁に征伐が行われれば、魔物は発生しにくくなるらしいんだ。


それで、魔物が減った。


となると、地上での生活を求める者が増えてきている。

この4年でルミナスの城下街は倍の大きさになっているんだ。

ハイヒットの家もいつの間にか城下街に吸収されている。




旧街と新街。


旧街には貴族や昔からの人間が多く集まっている。

新街は東西南北に分かれて、旧街を囲んでいる。

新しく地下から来た人達が多い。


当然、問題も発生している。

行き違いによる喧嘩や、マナーの違いだ。 


だから、自衛団も警察になった。

そして、交番をね、あちらこちらに作ったんだ。

街の寄り合い所も兼ねているから、揉め事が起きてもスムーズに解決するようになった。

コミニュケーションって、大切だよね。





そんな中で、私が心配してるのは、王家の存在の位置づけだ。


今までは、魔物征伐が王家の絶対的な仕事であり、そこにルミナスの民は服従していた。

ところが、魔物が少なくなり征伐も3ヶ月に一度程度になった今、民の関心事は日常の生活になっている。

島国という関係で、こちらから領土を拡大しなければ、軍はそんなに多く要らなくってくるんだよね。


簡単にいうと、平和になったらなったで問題は多いってことだ。

王族が支配する必要があるのか、という声が大きくなるのが、怖いね。

デュークさんは心配するな、って言うんだけど、子供達がいるから、心配だ。


最近では覚えている限りの、海外ドラマや日本のドラマの王族ものを思い出してる。

子供達には「ノブレス・オブリージュ」を教え込んでる。

私的直訳は、王族には民に使える義務がある、なんだけね。



平たく言えば、人気取りかもしれない。


けど、そういうのって大事じゃん。

豊臣秀吉が今でも大阪の人に愛されているのを知っていたからね。




あと、マサとの意見が一致してるのは、急激な変化を起こさないってこと。

そんな事したら、仕組み自体が変動する。

私達が存在しているのは、そんな事を起こす為じゃない。

ルミナスが平和で安定する為にいるんだから。


時々、デュークさんとポポロ、アンリ兄様、マサの5人でそんなことを話してる。

私たちのいたニホンのことを伝えて、ルミナスをどうして行くかを考えるきっかけになると良いと思ってね。


法の整備も始まって、王が刑罰を決めることが少なくなったんだ。

けど、決定権は王にあるけどね。




ハイヒットの兄弟達も忙しい。




海の地図は結構な利益をサー姉様とダグラルさんにもたらした。

ガナッシュに大きな屋敷を建てたって聞いた。

海の女神と呼ばれるようになったサー姉様は、時々、城に上がる。

そんな時、ダグラルさんは大陸特有の黒い肌で、エネルギッシュに弁を奮う。

そのダグラルさんのもたらす情報はルミナスにとって有益なことが多いらしいよ。

それに姉様にベタ惚れだ。

そんなに仲が良いのに、なんで結婚しないのかって聞いたら、意外なことが分かったんだ。

ダグラルさんには故郷に奥さんと子供がいるらしい。

そちらに戻ると言っても、今のルミナスの船では難しい。

かなりの長い航海になるからもっと規模の大きい船が必要になるんだって。

それなら、そっちはそっちで、姉様とこちらで結婚しても良いんじゃないかって思うけど、2人で話し合って決めたんだって。

2人が良いならそれでいいんだと思う。




アンリ兄様はポポロと一緒に王のために日夜忙しくしてくれている。

グレイス姉様と1人息子のエディとで、お爺様の亡くなったスタッカードの家を守っているんだ。



ジャック兄ちゃんは、食品研究所を辞めて、結局、学院に戻ったんだ。

学院長のグランガとは仲が良いらしくて、頼まれて戻って行った。

そっちの方が、合ってるよ。

けど、マサとは続いている。

当然、結婚は認められていないけど、迫害されることもないから、いいんだろうね。



マリ姉ちゃんは、カフェ・マリーを基盤に、外食産業を興してる。

その規模は、かなりみたいだ。

娘達も何かあると、カフェ・マリーに行きたいって、五月蝿い。

カルロス義兄様はしっかりとハイヒットを守ってくれてる。



お父様とお母様は、旅行ばかりしてる。

ガナッシュに行ったかと思えば、城に来るし、アルホートにも行ってる。

楽しそうだ。

あれだけ拒んでいたダグラルさんの船に乗って、何処へでも行くんだから凄いよ。

お母様は吹っ切れてからが凄かった。

ハイヒットに家にいるよりも、旅行してる方が長い。


「フィー、外の世界って、広いわよ!」


って、城に来てお喋りしていくんだ。

良い事だよ。



あ、お爺様は大往生だった。

ルイの誕生を見届けて、半年。

みんなが見守る中での別れだった。

お母様に確認したら、71歳だって!

ありえない人だった。

けど、これからも現れることのない位に型破りな人だった。







朝だ。

私達家族の毎日の光景。


家族で朝食のテーブルを囲んでいる。


「でね、今度、その絵を描いて、先生に見せるの」

「そうか。けどな、アリス。先生に見せる前に父に見せてくれないのか?」

「え?見せなきゃ駄目?」

「見たいなぁ、父の自慢のアリスは、見せてくれるだろう?」

「もう、仕方ないわ。お父様の我が侭は今に始まったことじゃないもの…」


と、デュークさんとアリスの話し声が聞こえてる。

こっちではルイがお皿を前に固まっている。


「ははうえ、おれ、これ、きらい…」

「駄目よ、ルイ!王様はね、好き嫌いしちゃ駄目なのよ!」

「セーラ、そんなに強く言わないくっても、ね?」

「お母様!どうして、そんなにルイに甘いの?いいの?そんなことで?」

「え、…、セーラ、けどね…」

「セーラ姉さま、おれ、食べるから。ちゃんと食べるから、ははうえを怒らないで?」

「もう!なに?私が悪いの?」


あ、かなり拙い。


「ううん、お母様が悪かったわ。セーラの言う通りよ。私、ルイに甘いのよね…、反省するわ」

「姉さま、すききらい、しないよ?ごめんないさい」


セーラはようやく機嫌を直す。


「お2人とも、分かって頂けて良かったわ。ルイ?ちゃんと食べるのよ?お母様、ちゃんとルイにも厳しく躾てね?」

「「はい」」


賑やかな食卓だ。



デュークさんは嬉しそうだ。

だってね、家族で一緒にご飯を食べてるだけなんだよ?

けどね、そんな毎日が夢見たいなんだって。





ふと、夜になって、こう言うんだ。





「朝は必ず子供達と食事が出来るだろう?」

「そうね」

「ルイくらいの年から、俺はずっと独りで食事をしてきたんだ」

「そうなの?寂しくなかった?」

「その生活しか知らなかったからな、寂しくは無かった。けどな」

「うん?」

「今は毎朝起きるのが待ち遠しい。あの賑やかな子供達の声を聞いて、話をして、…。俺はなんて幸せ者なんだろうなって思う」

「そうね、私もね、そう」

「カナコ、みんなお前が与えてくれたんだ」

「デュークさん?」

「ありがとう、な」


そんなの、私も同じなんだよ。

本当に、幸せだね?






家族って、いいね。







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