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ジョゼと2人だ。

毎日の事なのに、なんでかぎこちない。


当たり前だよね。




私は、ジョゼを見た。


目元の皺が増えたよね。

ジョゼも年を取ったんだ…。

そりゃそうだ。

リリさんの中にいた時から19年と少しも経った。


ジョゼは私の両親よりも、少し年上なんだから、仕方が無いよね。


お互いに、何から話していいのか分からなかった。

だから、私から切り出した。


「ねぇ、ジョゼ?」

「はい、なんでしょうか?」

「初めて会った時のこと、覚えてる?」


大きく頷いたジョゼ。


「もちろんです。あの時のカナコ様は不安なのを隠して、無理に明るく振舞っておられました」

「そうだった?お腹が空いていただけだよ?」

「いいえ、私にも、色々と気遣ってくださいましたよ?」

「そうだったかな…」


あの時の私、結構好き放題してたと思うんだけどなぁ。

でなきゃ、デュークさんと喧嘩なんてしないよね。

昔のことだ、美化されてんだろうな。


「そうでしたよ。一生懸命に生きるカナコ様のお姿に、ジョゼは心打たれたのですから」

「けどね、それはね、ジョゼが助けてくれたからだよ?ジョゼがいなかったら、私、デュークさんと喧嘩したままで、城を飛び出て、ルミナスで1人で暮らしていたと思う」

「カナコ様…」


そうだよ。

何も分からないまま、城下街でね。

きっと学院の小間使いなんかしてたんだと思うよ。

リリさんの風貌で…。


それはそれで、問題あったろうけどね。


「それに、私がハイヒットの家に生まれ変わっても、ジョゼはちゃんと私を見つけてくれて、いつも、側で…、側にいてくれた。デュークさんはジョゼは身内だからって言うけれど、身内よりも近いんだよ。私にとって、ジョゼはジョゼなんだ。誰も代わりがいないんだ。だから、いなくなるのは、なしにしてね?」

「…、カナコ様…」

「ザックと2人でどこへ行っても構わないよ。けど、時々はここに戻ってきて、顔を見せて?私の話を聞いて?」

「はい、必ず…」

「…、うん」


涙が止まらない。

泣いちゃ駄目だろう?

永遠の別れじゃないんだから。


「ジョゼは、…、幸せ者です。カナコ様に、こんなに思って頂いて…」


背の高いジョゼの両手を握って、私も涙を拭かないで喋る。


「当たり前だよ、ジョゼと一緒に生きてきたんだもの。ジョゼが守ってくれていたんだもの。私の方こそ、ジョゼに何もしてあげられてないんだから…」

「いいえ、カナコ様。沢山の時を頂きました。沢山の幸せを頂きました。ジョゼはカナコ様と出会えて、幸せだったんですよ?」

「ほんと?」

「ええ、カナコ様が亡くなって、胸にポッカリ穴が開いたように感じられて何も出来なかったくらいです。けれど、陛下に、カナコ様が生きているから探して欲しいと頼まれた時、必ず探すと思えたんです。ジョゼもカナコ様に会いたかったんです」

「ジョゼ…」

「こうして、この年までご一緒できて、姫様達とも時を過ごせて…。カナコ様、ありがとうございました」

「ジョゼ!」


私はジョゼに抱きついた。

そして、願いを、また、口にする。


「本当は、行っちゃ嫌なんだ、嫌なんだよ?けど、ジョゼの人生を私に縛る権利なんて、ない。わかってる。だから、せめて、時々はここに来るって約束してね?」

「もちろんです、約束いたします」

「わかった。じゃ、もう泣かない」

「はい、私もそうします」


私は、ジョゼから離れて、涙顔を魔法で消した。


「ちょっと待ってて」


さっきデュークさんが持ってきてくれた書状を持ってくる。

これを作るために、執務室に行ってくれたんだ。

私の我が侭聞いてくれて、嬉しい。


ジョゼの側に行った。

そして、ちょっとの威厳を持って、ジョゼを任命したんだ。


「ジョゼ・リトルホルダー、そなたを侍従長補佐として、この私に使える事を命じます」


私は書状をジョゼに渡す。

それは、王名義でのジョゼへの委任状だ。

驚いたような顔のジョゼだ。


「カナコ様?」

「陛下とも相談いたした上での結論です。補佐なのですから、時々ここに来て、皆の働きを見てください。いいですね?」


私の決意が固いことぐらい、ジョゼには分かっている。

だから、ジョゼは、優雅に臣下の礼をとり、答えた。


「畏まりました。ジョゼ・リトルホルダー、補佐の役目、お引き受けいたします」

「よろしい」


これで、安心した。

侍従長補佐なんて、ジョゼのために作った役職だ。

役があれば、お給料を支払える。

心配しないで旅をして欲しいんだ。


「後日、ザックと一緒に改めて、挨拶に参ります」

「うん、わかったよ」


私は、ジョゼを笑顔で送り出したかったんだ。

ちゃんと出来てるよね?


「お別れじゃないからね、約束だよ?」

「はい」


大切そうに書状をしまう。


「お茶を」

「ええ、お願い」


ジョゼのお茶を飲むのも、これが最後。

明日からはエイミィとアリエッタが侍女の中心になって、私達家族を支えるんだ。


ジョゼのお茶は優しくて温かい。

私達はゆっくりとお茶を楽しんだ。


「ところで、姫様達へのもう一つのお土産は、なんだったんでしょう?」

「ボールだよ。ゴムのボール」

「まぁ、街の子供達がよく遊んでいる?」

「そう、今ごろ、庭ではしゃいでるわ。見に行く?」

「拝見したいです」

「うん、じゃ庭へ行こう」


私達は庭にでた。


「おとうさま!じょうず!」


そこで、見たのは…、毬突きをしてるデュークさんだった…。


「そうか?」

「じょうず!」

「おとうちゃま、すごい!」


娘の煽てに乗せられて、嬉しそうなデュークさん。

もうはやルミナスの王の威厳すらない…。








いろいろと、門外不出が多くなるなぁ…。







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