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しばらくはノンビリと過ごすことを、王に命令された私。




そうだよね、ちょっと脅迫概念に踊らされていた。



「あーーん…」


あ、セーラが泣いている。

あれは、お腹がすいた泣き方かな?


「カナコ様、セーラ様はお腹が空かれたみたいです」


アリエッタがセーラを連れて来てくれた。

よしよし。

私が抱いても愚図っている。

腹が減ったな?


「ありがとう、じゃ、セーラ?お母様のオッパイ飲む?」

「う、う、あーーん」

「そう、一杯飲むのよ?」


子供がオッパイを飲む姿には、癒しの効果があるな。

見ているだけで、満たされる。

セーラは美味しそうに私のオッパイを飲んで、満足したのか、良く笑う。





もう6ヶ月になったんだよ。




ハイハイはもちろん、お座りもするし、なんとか掴まり立ちもしようとする。

それに、デュークさんの後を追う。


仕事に出かけようとすると、ベットの中で立ち上がり、愚図りだす。

ハイハイしている時だと、慌て側まで行ってしがみ付く。

私が抱いている時だと、体を乗り出して、デュークさんに手を伸ばす。


気のせいだろうけど、「ち、ち!」と、片言でデュークさんを呼ぶんだよ。

まだ早いんじゃないかって、私は思うけど、デュークさんは間違いないって言い張るから、折れてあげてる。

とにかく、そのセーラの「ち、ち!」がデュークさんには堪らないみたいだ。

後追いするセーラを抱き上げては、「そんなに父が好きか?おまえは可愛いな?」を連呼するんだ。


「遅れると連絡するか…」

「駄目だよ、デュークさんの仕事が遅れると、みんなに迷惑が掛かるんだから、ね?」

「わかっているが、セーラが、ほら…」


紅葉のような指で頬を触られると、デュークさんは理性を失うんだな。

鬼かもしれないけど、理性を取り戻してもらわないと。


「セーラ、さぁ、お母様の所においで?」


渋々、私にセーラを渡すんだよ。

可愛いなぁ、デュークさん。


「行ってらっしゃいませ」

「わかった」


ちゃんと私にキスをしてくれてから出かけるんだ。

うん、愛されてます。



毎日が、穏やかな日々だ。







ですが、いや、だからこそ、なのか…。







ハイディ先生のお見立てでは、私、第2子を身ごもったらしい。

年子だよ。



デュークさんの目尻がまた一段と下がった。



ベットでスヤスヤと寝ているセーラを見ながら話をしてる私達。


「カナコ、家族だ増えるというのは、嬉しいなぁ」

「うん…、そうだね…」


私があんまり喜んでないように見えたのか、心配そうな声をした。


「どうした?辛いのか?」

「違うわ。体調もいいの。心配しないで?」

「ならいいが…」


優しく頬を撫でてくれる。


「何かあったら、必ず、俺に言うんだぞ?」

「わかってるの。でもね…、」

「どうしたんだ?」

「ようやく慣れたのに、またリズムが変わるのが…、辛いなぁって」


覗き込むように、赤紅の瞳が私を見つめる。


「心配するな、皆が助けてくれるから」

「そうね、そうよね?」

「そうだ、大丈夫だ。周りはおまえの味方しかいない、だろ?」

「うん!」


暗い考えを放逐しよう。

何を考えても、実行しなければ何も変わらないんだから、ね。

うん、どうせ考えるなら明るくて楽しいことにしようっと。




そう思えば気分も軽くなってきた。

やっぱり2回目だ。

気が楽だよ。








で、2人目の女の子が生まれた。

私はその子をベットに寝かせて、その寝顔をみてる。


「カナコ、姫が2人ってのも、いいもんだな?もちろん、2人とも嫁にはやらんぞ?」


そう言って、抱っこしたセーラに妹を見せるデュークさんはすっかりお父様になっていた。

私達は並んで、小さい赤ん坊を見てる。


「セーラ、わかるか?」

「ちー!ちー!」

「そうだ、小さいだろう?可愛いな?」

「か?かわい?」

「そうだ、おまえの妹だぞ?」

「うん!」


うん、はハッキリ言えるセーラは、うん、と言うときは笑顔になる。

セーラはデュークさんに似て、綺麗だ。


「しかし、アリスの瞳も紫紺だな?」


2人目はアリスと名づけたんだ。

私達の姫は、2人とも緑の髪に紫紺の瞳だ。


「そうね、でも、だからっていって魔法が使えるかどうかは、わからないでしょ?」

「そうだな、3歳ぐらいで調べるのがいいな?」

「そうね」


アリスは満腹状態なので、スヤスヤと眠っている。


「カナコ?」

「なに?」


デュークさんの赤紅の瞳は、相変わらず優しい。


「カナコは綺麗だ」

「嬉しい…」

「俺は幸せ者だな。こうやって家族が出来たんだからな、カナコもだろ?」

「うん」


その声を聞いたセーラも、「うん!」と言った。

余りに可愛くて私達はセーラの両頬にキスをした。


「カナコ?」

「え?」


そういって、私にもキスをくれた。


「家族って、いいな。俺はもう孤独ではないんだな?」

「そうね、賑やかな毎日になるわ」


セーラが「ちち、こっち!」とデュークさんを呼んで、頬を触っている。

その感触が堪らないのか、デュークさんの目じりは下がりっぱなしだ。


「カナコ、子供は何人いてもいいな?」


あ、そうだけど、もう少し間隔あけようよ…。

ってか、みんなはそろそろ男の子を期待するんだろう。

まぁ、どっちでも、可愛いことには変わりないです。





そんな毎日が続いて…。





このごろ、サー姉様のことが気になっているんだ。

デュークさんの話によると、ガナッシュのハイヒット商会にいるんだって。

ルミナスには居辛いんだろうか…。



いつの日にか、セーラとアリスに会ってもらいたい。










ちなみにマリ姉ちゃんとアンリ兄様のところには男の子が生まれたんだよ。

ジャック兄ちゃんは、独身のままだけどね。










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