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なので、私は城の私達の居住区間の中にある、緊急に作った病室で療養中。




デュークさんが顔を見せる。

毎朝毎晩、へたしたら昼間も。



仕事してるの?って思うけど、意外に仕事人間だから、大丈夫だろう。

もし手を抜いたら、ポポロが黙っていないもの。






今日はお母様が来てくれてた。


「どう?」


ずっと寝ていても辛いので、起きて椅子に座ってる。


「うん、だるい」


そうなんだ。

なんだか、熱くて体が重くて…。


「そんなものよ」


そんなものって、そうなの?

そうだとしたらよ、ハイヒットは5人兄弟だよね?


「お母様って、凄いね?」

「どうして?」

「だって、5人も子供を生んだんだもの」


久し振りに、お母様の入れた紅茶を飲んだ。

懐かしいなぁ。


「そりゃ、最初は何もわからなくて、戸惑ったわよ。けどね、フィーの時は慣れたものだったわ」

「そうなんだ…、けどね、なんだか、だるいし。お腹はズッとジクジク痛いし。もう、辛い…」

「その内に、落ち着くわよ」

「そっか、」


今の私は自分のことで、精一杯だよ。

生まれてくる子供との未来が想像出来てない。


「ねぇ、お母様…」

「どうしたの?」

「生まれたら、可愛いって思えるの?」

「そうね、個人差があるから、なんともいえないけど、ね。けれどもね、可愛いものよ」

「そう?」


よっぽど不安そうな顔をしてるんだろうな。

私の手を握ってくれた。


「ええ。安心なさい。生まれてくる子はね、無条件でフィーのことを愛してくれるわ。だからね、フィーはその子に愛されるだけでいいのよ?」

「そうなの?」

「そうよ。無条件で愛してくれるの。凄いでしょ?」

「うん、凄い!」

「あなたは、陛下と2人でその子を慈しんであげればいいの。1人じゃないのよ?」

「そうだったね」


そうか、無条件で愛してくれるんだ。

気持ちが楽になる。




やっぱり、お母様って、凄いなぁ。






やっと、安静にしてなきゃいけない日々が終って、元の寝室に戻った。

ハイディ先生が進言してくれてたみたいで、デュークさんは、無茶を言わなくなっていた。


それから、毎晩、手を繋いで寝てる。

そりゃ、私の体調の良い時は、…ね。

けど、概ね、我慢してくれてる。

魔物征伐も、デュークさん抜きで行っても大丈夫な規模しか起こらなかったし。





今夜もさ。

手を繋いで、そして、私はデュークさんの綺麗な横顔に見とれている。


「女の子かな?男の子かな?」

「どうだろうか。けど、どっちでもいい」

「そうだね、どっちでも、元気なら、いいね?」

「ああ、そうだ、」


そう言って、起き上がると、私のお腹にキスをして、子に話しかける。


「いいか、お前の母のお腹を貸しているんだぞ?あんまり迷惑かけるな?」

「なに?それ?」

「ちゃんと、言っておかないとな…」

「え?」

「時々は、俺の相手もして欲しいから、な…」


う、うん、わかってるよ。

まったく、もう、可愛いなぁ。






また、それから数ヵ月後の別の日。 

マリ姉ちゃんとグレイス義姉様が来てくれた。


私のお腹は大きくなって、どう見ても妊婦にしか見えなかった。


「フィー、体はどう?」

「うん、落ち着いたよ?」

「少し、大きくなったわね?」


マリ姉ちゃんはそっと私のお腹に手を当てた。


「もう、動いてるんだよ」

「え?もう?」


丁度いいタイミングでボコっと動く。

感動するでしょ?


「わぁ!ねぇ、グレイス義姉様、動くのよ!」

「凄いわね?頑張って教えてくれたのね?」

「そうみたいだわ。さぁ、義姉様も!」


マリ姉ちゃんはグレイス義姉様の手を取って、私のお腹に当てた。

ちゃんと動いた。

この子は、わかっているんだな。

そうだぞ、マリ姉ちゃんもグレイス義姉様も、会えるのを待ってるんだからね?


「まぁ、元気に動かれて…」

「でしょ、グレイス義姉様」


優雅に微笑む義姉様。

さすが、スタッカード公爵夫人だよ。

グレイス義姉様のサロンの評判は、ココまで届いているんだからね。

アンリ兄様の女を見る目は、本物だったんだなぁ。


「はい、きっとお元気なお子がお生まれになりますわ」


あ、少しのトラブルはあった、との報告は受けてますが、ね。

お義姉様大丈夫ですよ。

兄の浮気なんて、私が許しませんからね?

何かあったら言って下さいね、全力で協力いたします!


「初めて動いたのは、いつだったの?」

「それがね、丁度、陛下が側にいた下さった時だったの。私も初めてだったから、ビックリしてしまって、なんか、間抜けてた…」

「お喜びでしたでしょう?」

「うん、」





そう、あれはお昼に、食事をって名目で、デュークさんが仕事を抜けて部屋に来た時。





食事の最中に、ね。

いきなりお腹の中が、グニュンって動いてしまって。


「へ?!」


って、変な声出した私。


「どうした?」

「え?なんか、お腹がグニュウンって動いた…」


控えてたジョゼは教えてくれる。


「それは、お子が動かれたのでは?ハイディ先生がもう直ぐだと仰っていましたから」

「あ、そうか!デュークさん、動いたんだよ!ほら、触って?」


大きな手がそっとお腹に触れた。

その瞬間、グニュって動いた。


「わぁ、カナコ、動いたぞ?」

「うん!動いたね!凄いね?」

「いい子だな。俺達のことが分かるんだな?」

「そう?」

「そうだとも、ちゃんと、知らせてくれてるじゃないか?」

「そう、そうね」


自分が子供みたいに、喜んでくれる。

なんか、嬉しいんだ。


「デュークさんにも知らせるなんて、お父様思いの優しい子だね?」

「そうだな、そう。わかったか?生まれてきたら、父が遊んでやるからな?いい子で生まれろ?」


返事をするように、動いた。


「なんて、利口なんだ。おまえが生まれてくるのが、楽しみだな?」


って、目尻が下がったんだ。

初めてみたよ、そんなデュークさん。


「凄いなぁ。動いたなんてなぁ…」


不思議だよね…。

こんなに毎日一緒にいたのに、初めて見るデュークさんの表情があったなんて。

それを引き出す子供の存在って、凄いわ…。





それからは、デュークさんは毎日毎日、お腹の子に向って喋っている。

すっかり、父の顔だよ。





と、マリ姉ちゃん達に話してた。


「へぇ、そうなの?」


つい、喋っちまう。

だけれども、全部は喋ってないんだからね。


「なんだか、違う部分が出てくる感じなんだ」

「陛下は、とても、お優しいのですね?」

「うん!」


皆が笑顔だ。

そうやって、毎日が過ぎていく。








落ち着いた頃に、私の妊娠が発表された。

なんか、賑やかだった。







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