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それはさておき、ダンスの話しよう。




ルミナスのそれは日本の社交ダンスと同じだ。

男女が優雅に踊る…。

クルクル踊るんだ。



同じなんだよ、わかる?

無理、絶対無理!


しかも拒まないリリさんはダンスは天才的にお上手だったそうだ。


はぁ、何を言ってるんだ?

同じ体で同じ筋肉を持っていれば出来るだろう?


などど思った、そこのあなた! 


これが無理なんです。

悲しいくらいに運動オンチの私には、何と言う苦行だろうか。

どこに同じ筋肉があるんだってくらいに体が動かない。

きっと、筋肉を動かすことに思考が関連しているんだと思うのよ。

リリさんは意識してなくてもリズムに乗って体を動かすことが出来る人。


けど、私は、壊滅的に出来ない人間なんだよぉ~~!   


しかも先生がチョー厳しい。 

あああああ!


もう!!!!

いや~~~~~!!!!



「カナァコ!違うっていってるでしょ?」

 

この国にもオカマはいる。

しかもオカマの振付師、いや、ダンスの先生っているんだ。

そんでもってテンプレか?ってくらいに派手な衣装。

ピンク、ショッキングピンク!

なんだよ、頭に羽なんか付けてさ。

鶏かよ?山鳥かよ?孔雀かよ?


なのに体のキレはキレッキレですよ。

なんなんだ!


「先生、難しいです!」

「この位は基礎!いい?基礎よぉ!」


基礎がなんだ?

焼いたら食べられるのか?

こっちは腹が減ってんだよ!

あああ、自分にイライラするわ…。

わかってます、オンチな私がいけないんです。


「しかし、先生、この運動オンチの私には、一体何がなんだか…」


ヨッシー先生は頭を抱えてジョゼに訴える。


「ジョゼ、この方を1ヶ月でリリフィーヌ様並みにするなど、無謀です!無理です!」

「ヨッシー、それでもやって下さい。これがアナタの仕事です。陛下も期待しております」

「いやぁんー。陛下の名前を出されると、もう…」


ヨッシー先生の好みはデュークさんだそうです。

再び頭を抱えると私を睨みます。

ああ、ヨッシー先生。

先生まで睨まないでください。

睨むのはデュークさんだけにして…。


「カナコ、今日から毎日、よ?いい、必ず通いなさい!」

「へー…」


クタクタな私は返事も出来ません。


「さぁ、もう一度。こんな基礎のステップぐらい1時間もあれば覚える筈よ!さぁ、さぁ!」

「せんせ、い…、もう…」

「あああああ、情けない!ほら!」


さずがオカマな先生です。

私を引きずって立たせます。


「いい?やるの!」

「はい…」


右足出す、左足出す、出した足を下げて、右足下げる。


これは出来る。


左足下げて下げて、右足下げて下げて、って…!


イタァ…。

自分で自分の足を踏んだよ…。


「下げすぎよぉ!もっと優雅にもっと可憐に!こうよ!」


先生、さずがです。お上手です。

とっても優雅です。

さすが先生です、オカマだって思ってすみません。


「カナコ!やんなさい!」

「はい!」


足元見てないとわかりません。


「何してるの?背筋を伸ばして、相手を見つめて、ニッコリと笑うのよ!優雅に踊るの!」

「けど、見ないと…」

「下向いて踊るダンスがどこにありますか!さぁ、前を向いて!」


自分の人生の前なら、ようやく見つめるようになったんですが…。


ダンスは…、まだ不安ですよ。

しかもヒールが高いんです。

ペッタンコ靴しか履いてなかった私には、もうなにがなんだか…。




それでも、それでも。




みっちり4時間。

初歩のステップ、教わりました。

覚えたの1個だけ…。


先生の肩がゼイゼイと揺れております。

あ、目が据わってる。


「カナコ、私は負けないわ!必ずアナタをルミナスで一番の踊り手にしてみせる!いいわね?」


なんか、スポ根の漫画のようです。

すっかりヨッシー先生は嵌っております。

それは、うつるたぐいのものなのですね…。

段々と私もその熱にやられそうですよ…。


そうなんです、私感化されやすいタイプなんです。


ヨッシー先生は私がカナコである、と言うことを受け入れてくれました。

その上でリリさんの様に優雅なダンスを踊れるようにしてくれると誓ってくれます。

それだけで目頭が熱くなってしまいます。


日本での人生において、こんなに熱く私に関わってくれた人などいなかった。

いなかったんであります。


自分とちゃんと向き合って怒ってくれる人がいる。

なんて、ありがたいんだろう。

うん、そうだ。

その想いに応えるのが礼儀ってもんだ。

そうだ、礼儀礼節だよ!


先生のキラキラ光る瞳に当てられた私も変なスイッチが入ったみたいです。


「先生ぃ!私ぃ!頑張りますぅ!」


涙流してヨッシー先生に抱きつきました。


「カナコ!くじけちゃだめよ!」

「はいぃ!」


私達は今、熱い絆で結ばれた師弟です!

先生、私負けません!

自分に負けません!




側で見ていたジョゼ?

笑ってませんか?大丈夫ですか?




そんな熱い先生と別れ、いつもの部屋に戻ります。


あ、デュークさん、まだ戻ってない。

ちょっとホッとして、なんだか寂しい…、なんてね。


とにかく夕飯も食べられないくらいに疲れ果てた私です。


「カナコ様、お食事は?」

「いらない…」

「お疲れですね?」

「うん、もう、寝たい」

「畏まりました」


見かねたジョゼが魔法でスッキリさせてくれました。

気持ちいい。

なんで、自分でやるよりも気持ちいいの?


「ジョゼも魔法が使えるの?」

「生活魔法と治療魔法ですが、使えますよ。いつでも仰って下さい」

「そっか、わかった」


そんでもって、寝室に向かった。

ベットになだれ込む。

思ってたけど、このベットの硬さ丁度いいんだよね。

体が沈みこまなくて目覚めがいいんだ。

さすが王様が寝るベットだよ。


ああ、まぶたが重い。

ここんとこ、夜中寝れてないから眠いんだ…。


「では、カナコ様。お休みなさいませ」

「う、ん…」




空腹よりも眠気が勝つなんて、日本にいたらなかったことです。

こうやって、ルミナスに慣れていくのかな?







お母さん、ごめんね、ルミナスも楽しいいよ…。






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