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もう直ぐ、春だ。


私は、カーテンを選んでいるんだ。




「では、この窓のカーテンは明るい黄色のこの色に、致しますか?」

「そうね、そうして」

「畏まりました」


私とジョゼは内装から装飾までの全てを変えるべく、頭を悩ませている。

穏やかではあるけれど、華やかな色彩が欲しい。

この際だから、椅子もテーブルも変える事にしたんだ。


「この部屋って、使ってたの?」

「いいえ、長い間、誰も入れてはいませんでしたね」

「開かずの間だったんだ?」

「そうですね」


使う気がしなかったんだろうな。

だって、思い出が溢れてるんだもの。 


「けれども、カナコ様もお忙しくなって…」 


まったくだよ。

魔物征伐に、米の生産、トーフ製品の開発、カフェの準備…。


いつの間に、こんな事になったんだ?



けれども、私の野望は留まらない。


海のものが気になる。

魚や貝は、ルミナスでも普通に食べられているけど、海草は食べられていない。


けど、私は食べたい。

ワカメ、昆布、モズク。

鰹節も何とかしないと。


マサが居てくれて、助かる。

私にわからないことも、マサが知ってるからね。

マサに頼めば、考えてくれるから。


取り敢えずは、身の回りからだ。


「とにかく、今は模様替えだけを考えるわ」

「そうしましょう」


そう、デュークさんがくつろげる部屋にしたいんだ。

この部屋に入っただけで、気持ちが明るくなるようにね。

いつかは専門の人も入れるかもしれないけど、今は私が選びたい。

だから、頭を捻りまくった。


「これで、いいよね?」

「そうですね、抜けはないと思いますよ?」

「じゃ、後はジョゼにお任せするわ。よろしくね?」

「はい、お任せ下さい」


はぁ、一つ片付いた。





別の日だ。



今日はマリ姉ちゃん達と一緒にテッドの試作を試食する日なんだ。


色々と考えたよ。

パスタ、ハンバーグ、グラタン、揚げだし豆腐、野菜と合えたサラダなんか。

デザートもある、オカラを使ってのクッキー、ケーキ、後、豆腐のムースや、お団子。

揚げも完成させた。

煮浸し、コンソメ味だけどね。お稲荷さん!ワンダフル!


テッドには、本当に頭が下がる。

私のつたない知識で、逆に迷惑かけることもあるのに、次々にこなしてくれた。


集まったのは、お母様、マリ姉ちゃん、私。後はジャック兄ちゃんとカルロス義兄様。

サー姉様にも声を掛けたのに、用事があるって言うんだ。

残念だよ。

だって、サー姉様だけなんだ、私がデュークさんのところに行ってから会ってないのはね。

一度も会いに来てくれないんだ。

そんなに仕事が忙しいんだろうか?

一度、ザックに釘を刺さないといけないかな?


試食会の方は順調に進む。

けれども、量が多いから食べきれない。

なので、女性陣が残したものを、男性陣が引き受けてくれた。

感想が飛び交う。


「味はいいけど、盛り付けがね…」

「そこはこれからの課題だね?」

「一つのお皿に少しづつ盛り付けるのは?可愛いよ?」

「そうね、お皿とかも可愛くしたら、どう?」

「それ、いい!」

「あら、それなら、馴染みの工房に作らせればいいじゃない?」


なに?お母様、ハイヒットは工房まで馴染みがあるんですか?


「そうするわ、カルロス、いいでしょう?」

「いいよ。マリーの好きにするといい」

「あ~あ、ご馳走様ですこと」


私の言葉に、マリ姉ちゃんは反論する。


「フィーに言われたくないわ。ねぇ、お母様、フィーたら、惚気てばかりなのよ?ねぇ、ジョゼさん?」

「まぁ?」

「そうですね、フィー様1人でも惚気ますが、お2人が揃うと、加速しますね」

「ちょっと、ジョゼ!内緒!」

「そうでした。最重要機密という事で、お願いします」


最重要機密に、私達は笑ってしまった。


「けれども、安心したわ」

「お母様?」

「フィーに久しぶりに会ったけど、綺麗になったじゃない?大切にして頂いているのね?」

「うん、そうかな?けど、良くしてくれてるよ」


顔が赤い。

そりゃ、そうでしょ?

だて、それって、そういうことだよね?え?違う?


「ヴィクトリア様、それはもう、陛下はフィー様のことを大切にしていらっしゃいます」

「でしょうね」

「けど、どうして?どうして、わかるの?」

「そうね、エリフィーヌっていう花は今が満開ね。きっと、満開のままで、これからも咲き誇るでしょう」


え?そう?嬉しいけどね。


「ありがとう、お母様」

「ねぇ、お母様?」

「なに?マリー?」

「私もフィーに負けないくらいに大切にしてもらっているわ?」

「知ってるわよ。けどね、マリーの花が咲くには、もう少し時間が必要ね」

「そう?」

「けど、大丈夫よ。カルロスとならば、フィーに負けないくらいに幸せになるから、でしょ?カルロス?」

「陛下には叶いませんが、私はマリーの為ならばなんでもしますよ」


わぁ!惚気だ。


「カルロス義兄様、ご馳走様です」

「フィー様、どういたしまして」


私達の惚気合戦を優しく見守っていたお母様がつぶやく。


「結婚って良いものでしょ?独りを貫く神経がわからないわ…」


その毒舌が炸裂だ。

ジャック兄ちゃんは苦笑い。


「母上、それは、私へのプレッシャーですか?」

「あら、気づいたの?」

「ご心配なく。その内に」

「今すぐでもいいのよ?」

「私より、サー姉様でしょう?」


急に、お母様とマリ姉ちゃんのテンションが下がった。


「サーシャはね…」

「どうしたの?」

「最近は家を出てしまって、手紙の返事もよこさないし、ちょっと心配してるのよ」

「トーフもね、そんなもの、食べたくないって。口にしようともしないし、ね、お母様?」


え?そうなの?

お母様も頷いた。


「どうして?」


お母様が答えた。


「マリーとフィーが華やか過ぎるのね。眩しいのよ、きっと」

「サー姉様が?」


マリ姉ちゃんも言葉を続けた。


「フィー、私達でどうにかできることじゃないわ。サー姉様が自分で解決しないと駄目だと思うの」

「けど、…」

「時間が解決してくれるでしょう、大丈夫よ」

「なら、わかった」


サー姉様が?

どうしたんだろうか?






なんだか、嫌な予感がしたけど、気づかない振りをした。





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