問題点の洗い出し
ドックに戻り、操縦手以外の乗組員を解散させる。
操縦手には、今回のテスト航行の所見について述べてもらわなければならない。
P-07の操縦手コンラート・ベーア曹長は、視界の極端な悪さを指摘した。観測フラッペの狭い隙間からでは、ロクに外の様子がわからないので、岩礁地帯は恐ろしくて操縦は出来ないと言っていた。
P-08の操縦手アウグスト・ベックマン上等兵は、高速航行時の横滑りを指摘した。ペンギンのパドルによって、速度が上がるにつれ揺れは減少する傾向があったが、今度は少しの舵取りで左右にブレるらしいのだ。
「垂直軸方向にも安定翼があった方がいいということだな」
というエーリッヒ・バウマン大尉の言葉に、アウグスト・ベックマン上等兵が同意する。
エーリッヒ・バウマン大尉が自身で指摘したのが『居住性』だった。
ペンギンの中身は戦車なので、内部で生活するという発想で機体が作られていないのだ。
陸上を走る戦車なら、降りれば手足は伸ばせるが、海上ではそうはいかない。手足を伸ばすスペースどころか、トイレもギャレー(厨房)も寝床もない。これで、何日も航海することを考えると、確かに息が詰まる。




