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『アシカ作戦』で使われるはずだった戦車

 皆の怒りの気配が分かったのか、フェルゲンハウワー中尉がたじろぐ。

 こうなる事を読んでいたらしいディートリッヒ大佐が、彼をかばうように前に出た。そして、皆をなだめるように手を上げる。

 今にも殴りかかりそうだった陸軍の将兵は、それで辛うじて引き下がった。

 「わかる。君たちの気持ちはわかる。だが、私に免じて信じて欲しいのだが、諸君を馬鹿にするつもりは、全くないのだ。話の続きをさせてほしい」

 ディートリッヒ大佐の背後に隠れるようにしていた、フェルゲンハウワー中尉が再び前に出る。

 「え……あ……」

 と、声が震えていないかどうか確かめ、フェルゲンハウワー中尉は咳払いをひとつして、言葉を続ける。

 「話は過去にさかのぼります。英国への本土進攻計画があり、その作戦のひとつに水中から機甲師団を突入させるというプランが存在しました。Ⅲ号戦車とⅣ号戦車を使ったその作戦は『アシカ作戦』といいまして、水密加工された戦車に、十五メートルほど伸長するシュノーケルを付けて吸排気を行い、水中から戦車を英国に上陸させようというものです」

 そこで言葉を切り、フェルゲンハウワー中尉は一同を見回した。

 話を聞く将兵の険しい顔つきに、腰が引けそうになっていたが、固唾をのんで、説明を続ける。

 「英国本土上陸作戦が頓挫したことによって『アシカ作戦』は、中止となりましたが、露国攻略の初期の奇襲作戦であります『バルバロッサ作戦』では、渡河戦の要として水密加工された戦車が投入され、戦果をあげました。つまり、水陸のあいのこの戦車は実践兵器として稼働していたのです」


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