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オレリアの花輪

作者: 胡子
掲載日:2014/05/10




オレリアの花輪を編んだなら、乙女に捧げるとよい。



「私と共に来てくれませんか。

暁に染まる海を越えて。

太陽が生まれる場所よりもっと先へ」



若者の囁きは蜜のように甘かった。



娘の心は喜びで満たされた。

しかし、娘は心のままに従うことが出来なかった。

若者の瞳に潮よりも濃い苦みが浮かんだ。



「そう答えると、思っていた」



若者は悲しそうに微笑んだ。

娘のあふれる涙を若者の長い指がぬぐった。



「だからこそ、貴女が愛しい」



銀髪の若者は両手で優しく娘の頬を包むと、そっと娘の額に口付けた。





オレリアの花輪を編んだなら、殿方に捧げるとよい。



処女王の墓から見たことのない花が咲いた。



花は年々増えて丘陵を覆った。



やがてその花は処女王の名で呼ばれるようになった。








オレリア。




人として生きることを選んだ貴女を、恨めしいとは思わない。

オレリア。

愛しいひとよ。









神と人が同じ土を踏んでいた時代は去った。



神々は海の彼方、彼等が生まれた場所に帰ったと伝わる。



しかし島の住民は口をそろえて言う。



目に見えなくなっただけ。

いにしえの神々は今もこの島に居る、と。









「一つだけ我が儘を聞いて欲しい。神であるこの躯はここに(とど)まれない。私の魂のかけらをここに置いていこう」








オレリアが咲いたなら、花輪を編むとよい。



さあ、その花輪で恋人のこうべを飾ってごらん。



オレリアは愛の証。

愛し合う二人を守って下さる。



島の者ならみんな知っているさ。



可憐な花。

銀色のオレリア。



オレリアの花輪で結ばれた二人を、神々が守って下さる。






潮風がなつかしい呼び声を運ぶ。






「オレリア」








読んで下さってありがとうございました。


いつかこの題材でもっと長いお話を書いてみたいです。

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