元『黒江家』
僕は、気づくとよくわからない部屋にいた。
壁は白く、
直径1mぐらいの机があり、
シンプルな椅子が一つ、
シンプルなベッド、
無地の扉しかなかった。
ガチャッ!
ギイィィィィィ! という音がし、扉は開く。
「…………………。」
「…………………。」
「………どっ、どちら様ですか?」
「何言ってんだよ、ホシ!お前そんなボケが言えるようなやつじゃないだろう…ああ、お前も寝ぼけることはあるか」
と、たんたんと話を進める男に、不思議と前からあっているような気がしてきて…
「…って、何で僕の名前を知っているのさ!」
「お前、今日は変だぞ…俺はお前の兄、『アカサカ スバル』だぞ。寝ぼけるにも限度があるぞ」
そこでようやく頭が冴えてきて、あのことを思い出した。
「そうでした、チュートリアル最後に、注意事項がありました」
と、ワン は言う。
「差し障りのないように、二人の体格と名前を知っている人たちに、記憶の改ざんがしてあります」
「おいおい、それって意味あるのか?」
と、クロがもっともな意見を言う。
「はい、もちろん。だって、もし、ある日突然消えたら大変ですもの、世界的に。でも、流石に『生贄』は必要ですので、一石二鳥な方法で解決させました」
「それは…」
「それは…あなた方の代わりのコピー体です!」
「「コピー体!?」」
あまりにすごくて、大声で言ってしまった。
「はい。流石に何もなく別の世界には行けないので、『生贄』兼『ナビゲート』にしました」
「いやいや、そいつ自体がなればいいのでは…」
「いいえ、そうもいきません。家族にばれやすいので」
「「ふ〜ん」」
なるほど、そういうことか。
ーつまり、あいつも苦労してるのか、と思ってしまう。
「なに、ボケっとしているんだよ。せっかくの休暇なんだから、はやく下に来いよな!」
と、『スバル』という兄は出て行った。
そういえば、こんなものを書いてもらっていたな、と思い出しずつポケットから紙を一枚出した。
《家族構成
黒江家
隆作=父(42)
智恵=母(?)
昴=兄(21)
十年前に両方の祖父母 他界》
以上だった。十年前に何があったのかは気になるが、それもすぐ説明された。
《十年前、宇宙人襲来
五年前、能力開花》
ちょうど僕と同じ年に来たことは気にならないことにした。
「お〜い、早くしろ〜」
まずは、情報収集からだ。
「は〜い、今行きま〜す!」