過去 -悲劇-
「「偶然であるべきでした?」」
頭に《?》を浮かべる僕と有に彼女は顔色一つ変えずに言う。
「はい、その日、次元様と私は出会いました。その時は、私は––––」
と、ボードを、手を握り叩いた。
「––––追われていたのです。それも、地球の人でなく、宇宙側の者に……」
「「宇宙側の…」」
と、我のように思ってしまった。
「宇宙側、『惑星・セイバー』と言いますが、彼らが作った試験型アンドロイド、つまり、私が、元『試作 1《トライアル・マニュファクチュア・ワン》』と名乗り、世界の監視をしていて、異物とされた生物、人間を観察すること。その中でも、逸脱していた二人、次元様と剣城さんの研究ということで、偶然を装うことが目的でした。しかし」
「出来なかった、だな」
「…はい。その逸脱している要注意人物の一人、剣城さんが気づいてたのです。それにより、一度失敗に追い込まれました」
そこで一息つき、お茶を、例の『あれ』で出した。和菓子もセットである。
「では、続きを……」
俺たちはお茶をすすりながら聞く。というよりお茶こんなにうまいんだなー……
「……失敗に追い込まれましたが、その時偶然が重なって、私は座標不明の地点に落下、その日そこの探検をしていた次元様に落下、拠点喪失となり、最初はただの接触でした。しかし段々と心は揺れていき」
そこで段々顔を赤くし、クネクネし出した。
「彼に好かれたくて、ご飯を作ったり、家事をしたり、お風呂にだってー」
ドゴッ!×2
「な、何するのよ!いいところを––––」
「逸れてるからだよ!」
「話戻せ!」
「はいはい。えっと、確かお風呂に––––」
ボコボコッ!×2
「––––で、次元様のところにいたことを、剣城さんはすぐに知り、始末しようとしたのを」
「次元が止めた、だろ」
と、頭にできたコブを摩るワンに、俺たちは交代で言った。
「……はい、そうです。幼馴染な関係に救われましたが、その時少しばかり私に修正、自爆系の危険物を外されました。まあ、その時一悶着あり、修理されましたので」
「その一悶着とは?」
「はい。その日に凄腕の宇宙人が同じく落とされ、潜んでいたものが、突っ走りすぎる人でして、まあ、動けないまでの被害で死にました」
「あっさり言われると、君の怖さがまた増える気が…」
「まあ、その後に剣城さんに、とある忠告をされ、私は冷静に判断後、次元様と別れることにしました」
まあ、『とある忠告』は予想つくけど。
「しかし、3日後には宇宙人襲来による都市の壊滅がありました。そして、同時刻に私は、情報を必要とする宇宙人に、私の『データ』の回収に来ました。私は逃げましたが、彼らは武器持ちで、無傷とは行きませんでした。そこへ、通りすがったと言い通す次元様が、剣城さんと一緒に助けてくれました。ですが、私の肉体はもう動けないほどにボロボロでした。そんな私に剣城さんは、あらかじめ用意していたらしく、今の『ディメンション・アシスタンス・ワン』にコアを移し、微調整をしてくれました」
と、お茶を飲む。
「…でしたが、世界崩壊は免れませんでした。その最中に負傷した次元様と一緒に、剣城さんとここに来ました。次元様が回復した頃には行方を眩ましましたが…復活した次元様と、まずは探検をしました。全長がわからなくて嘆きましたが、マニュアルや私を含む『ディメンション・アシスタンス』を残してくれたので、今に至ります」
と、もう一度周りを見たが、やはり時代が違うと思った。
「そして、願いのでかい人を叶えることに––––」
「「ちょっと待てー!!」」
と、手の平を制す。
「…何か?」
「『なにか?』じゃねーよ!」
「なんでそうなった!なぜ終着点そこ!?」
するとあっさり、
「次元様の思いつきです♡」
ハアァァァァァァァァァ!?
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「では、脱線の脱線を戻しますが、ここで『魔獣』を倒してもらいます」
「まあ、対価はないとなあ」
と、戦闘準備をした。
「武器、防具、魔具は持参でお願いします。危険と思うまでは止めませんので、悪しからず」
「はいはい。んじゃ、行きますか、有君」
「ああ、いつでもどうぞ、星輝」
「星でいいよ」
「じゃあ、おれは有でいい」
と、いつの間にかキツイ壁は消えていた。
「『次元斬』、ジェネレート!」
「来い!『次元壁』!」
と、星輝は剣、俺は盾が出てきた。
「君の盾、頑丈そうだね!」
星輝は褒める。
「そっちの剣もなかなか!」
有も照れ隠しに褒める。
「…盾と剣じゃ、いい勝負にすらなってないわよ……」
と、ため息まじりにワンは『ジェネレート・システム』を発動させるつもりだ。
「では、行きますよ。レッツ・トライ!」
パン!…
あれ?一回だけ?
……パン!
なんか遅いなあ
………パン!
よし!スタート!!
と思ったが、
「ガルアァァァァァ!!」
これをツッコまない方がおかしい。
「「なんだ、この––––」」
では恒例のツッコミ、
「バカデカイのは!?」「強過ぎそうな魔物は!?」
……まあ、ツッコミの場所は、違う時だってある。
「あれは『リザード』と言いまして、トカゲに近い形であるのが特徴です。あれは、その中でも特にデカイとされ、全次元の中でもこれ以上はいません。まあ、死なない程度に努力してください」
「グアァァァァァ!!」
「でも」
「あれは流石に」
「「無いわァァァァ!!」」