プロローグ
更新が遅いと思いますが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。
その惑星には一つの巨大な大陸とその周囲に僅かに存在する極々小さな島が海に点在する非常にシンプルな世界があった。
遥かな高みの視点から世界を見下ろすと、八角形の形をした巨大な大陸が一つ海の上に浮かび上がる。
その大陸には東西南北に十字に走る雄大な河が流れていた。
大陸の名を「結晶八角形」(クリスタルオクタゴン)。大陸を4つに分断する河の名を「十字河」(クロスリバー)といった。
東十字河中央戦域
光が瞬く−−
轟く破砕の旋律、吹き荒れる衝撃波。
その戦場の大地は魔法銀でできていた。
一般的な拳銃、刃物程度では表面に掠り傷一つつけることの出来ない強度を誇る素材である。
しかし、そんな強度を持つはずのその大地には、現在進行形で無数の亀裂、えぐれ、砕けた破片が瞬く間に増えていた。
戦場の中心地点とおぼしき場所には、広範囲に渡って砂煙が立ち込めていて状況を見通せない。
と、沈む夕日の光が差し込み砂煙の中に二つの人型の影を浮かび上がらせた。人の形をしているとはいえ、その影の大きさ(サイズ)は人間とは掛け離れていた。
全高はおおよそ7〜10m程、巨人と見紛うその影の正体は、この世界に於ける戦争の主力人型戦闘兵器。
「戦を視る者」(ウォー・ウォッチ)と呼ばれる人の造りし機械と魔術の結晶であった。
しかし、この世界に於ける一般的な「戦を視る者」の基本サイズは5・6mが標準であったが、現在対峙する両機はそれぞれにその標準の枠に入っていなかった。
東十字河中央部に東に真っ直ぐ伸びる幅3km程の魔法銀十字路の大地が、河川を中央で半分にわかつように伸びている。この大地は空から見下ろすと十字河の中に小さな十字架が浮かんでいるかのように見えた。
その北側に位置する機体は、通称を「破壊を視る者」(デストロイ・ウォッチ)と呼び、全高は10m。特徴的なのは全身が輝く金色と漆黒の黒との二色で構成されている事。また、肩当て部分の装甲が上に少し盛り上がる形から両手をすっぽりと覆うほどの長さを持つ事。背面には六対の羽を持ち、あまつさえ竜の尻尾にも見える尾を持っていた。足の爪先部分には三本の鈎爪、踵にも一本の鈎爪を持ち、人型ではあるもののどこか獣の様な威圧感を見る者に放っていた。
一方、南側に立つ機体の通称は「流星を視る者」(シューティング・ウォッチ)と呼ばれ、全高は7m。白いカラーリングに所々銀色が散りばめられた流線型の装甲を持っていた。
全体が非常にスマートで目に見える武装は腰周りにある二丁の連射がきく小銃と現在両手に持っている二本のレーザーソード。
運動性能を極限まで高めたこの機体は装甲が完全に飾り(紙)だった。
−−−戦況が動き出す−−−
粉塵を円形に貫いて二条の閃光が「破壊を視る者」から放たれる。相手機体の胸部を狙って放たれた攻撃はしかし、空気を裂くだけに終わる。
瞬時に右に小さく跳躍して閃光を回避した「流星を視る者」は、着地と同時に左右の手を神速で閃かせた。
左手は下段から上段へ、右手は右斜め上段から袈裟斬けに左斜め下段へとそれぞれが動く。その斬線上ではワイヤーの先端に短剣が装着された武器が合計3本。空中で短剣部分を中心から見事に真っ二つに分断させられていた。
「今のをあっさり回避するとか・・・確実に回避後の死角から飛来させたはずなんですけど。更に跳ねて避けるでもなく斬り払うとか・・・・・・本当に人間ですか?」
操縦席で愚痴りながらも頭部、両肩上部、更には胴体下部から次々と追い撃ちの弾幕を張る「破壊を視る者」の操縦者。
その悉くを異常な反応速度でもって回避。時には、ビーム兵器すらも剣で弾くという離れ業を軽々とこなしながら被弾を許さない「流星を視る者」。
「あの機体・・・どれだけ武器を持ってるの?報告は聴いてたし、戦闘映像も見てたけど・・・・・・うん。やっぱり異常」
操縦席で至極冷静に全周囲を警戒、「体」を回避と対処に動かしつつ分析を零す「流星を視る者」の操縦者。
両陣営の史上最強戦力の初衝突は、互いに決定打を与えることなく日が沈み、さらに激しさを増しながら暗闇の戦いへと移行していった・・・。
まだキャラの名前すらでていない(苦笑)
プロローグ終了です。