82/202
魔猫(10)
次第に空から雲が湧きあがり雨がぽつぽつと降り始めた。
ネディは着ていた上着を恵怜奈の頭の上にかけた。
「濡れちゃうよ?」
恵怜奈は心配そうな顔。
「いいんだ」
ネディは厳しい顔をして空を睨む。
雲は渦を巻いて盛り上がっていき
恵怜奈とネディの頭の上を覆っていく。
雲はネディの心の内を表すかのように
厚く黒く唸り上がっていた。
雨は次第に強くなり
ネディの身体を少しずつぬらしていく。
恵怜奈の心に水に垂らした墨汁のように広がっていく不安。
ネディはそんな雲を見つめながらつぶやいた。
「この街のどこかにルシフェルの門が出現したらしい」




