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魔物(7)
「L'as-tu jamais entendu chanter?」
かすれた恵怜奈の意識の中
まるで呪文の様な言葉が聞こえる。
自分はどうなってしまったんだろうか?
化け物に食われて死んでしまったのだろうか?
なにも分からない。
でもこの呪文の様な言葉を聞いてなんだか安らかな気分になる恵怜奈。
「Quel est le nom de votre fille?」
また呪文の様な言葉が聞こえる。
張りのある青年の声。
「きれいな声…」
そう思った瞬間恵怜奈は地面にたたきつけられた。