37/202
DNA(1)
日常なんてどこかに吹き飛んでしまったはずの家に
夕飯を作る包丁のトントンと言う音が聞こえる。
恐怖は過ぎ去り
落ち着いた恵怜奈はリビングのソファーに座り
携帯を何となく眺めている。
気分は上の空。
携帯の画面を見ているようで見ていない。
頭の中は魔物への恐怖が常に支配している。
部屋が荒らされたことを考えると怖くなるので
自分の部屋には近づいていない。
メールを打つ手が止まる。
ちょっとため息。
「もうご飯が出来るからお箸とお茶碗並べてくれる?」
母親の声に促され仕方なくお手伝いを始める恵怜奈。




