36/202
ファンタジー(17)
荒れ果てた部屋の中
立ち尽くす恵怜奈を月明かりが照らしている。
恵怜奈の長くのびる影をじっと見つめるジネディーヌ。
その時ジネディーヌは感じた。
恵怜奈の背後に強大な魔が潜んでいることに。
「赤い…瞳…」
ジネディーヌがそうつぶやくと
恵怜奈の黒い影が長くのびていく。
呪われた悪魔の血が
恵怜奈を今まさに覆い尽くそうとしていくのを
ジネディーヌは察知した。
恵怜奈はなにも気が付かず無表情で立ち付くしているが
背後に伸びた黒い影が恵怜奈をあざ笑うかのように取り囲んでいく。
「何か対策をしなければ…僕はこの人を守らなければいかない」
ジネディーヌはそうつぶやく。
だが恵怜奈を覆い尽くそうとしている影は突然消えた。
恵怜奈を覆い尽くそうとしていた悪魔の血統は
銀髪をなびかせどこかへ行ってしまったようだ。
黒い影は恵怜奈を弄ぶのを楽しんでいるのだろうか?
そして恵怜奈は震えるばかり。
ジネディーヌは静かに目をつぶった。
悲劇は繰り返してはいけない。絶対に。
その思いを胸に秘めて
ジネディーヌは恵怜奈の部屋から出て行った。




