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ファンタジー(10)
「と、とりあえず警察に連絡するね」
母親が部屋を出て行った。
開いていた窓を閉め鍵を掛ける恵怜奈。
窓からの風が吹いてこなくなって少し落ち着いた恵怜奈は
部屋の真ん中に座り込んで頭を抱えた。
「助けて…」
恵怜奈はそう願った。
「王子様助けて…金髪の王子様助けて…」
うわごとのように言葉を繰り返す恵怜奈。
恐ろしい夜の入り口へと
恵怜奈は踏み込んでしまったようだ。
恐ろしい夜はまるで底なし沼のように
恵怜奈を捕えて放さない。
首筋がまた焼けるように熱くなってきた。
恐怖の夜はまだ終わりそうになかった。




