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魔物(1)
闇。
闇はカオス。
クリームのように纏わりつく夜の闇の中を
1人自転車で走る少女。
はあはあと言う荒い息遣い。
汗。
舗装されていない田舎道を自転車がガタガタと走っていく。
頼りは自転車についているちっちゃいライトひとつ。
他に光はどこを探しても見当たらない。
その時突然ライトが消えた。
豆電球一つの頼りないライトが消えてしまった。
闇はカオス。
そして
纏わりつく漆黒の闇に少女は飲み込まれていった。
「もう…ぼろ自転車め!」
少女の汗が地面に落ちるぽたりと言う音。
制服のリボンが風に揺らめいている。
カバンにデコ風にペンで書かれた
♪恵怜奈♪と言う文字。
なんか田舎っぽい感じの高校生。
ライトが消えてしまって闇の中立ち往生した
恵怜奈って女の子は
一言で言うと田舎っぽい高校生だった。
闇は獣。
闇は魔の住処。
恵怜奈はしょうがなく携帯を開いた。