第六十二話
「登校はしているのだがな…」
レフぃーユは、そこまでつぶやくだけにしていると、オルナも察したのか、こう問いかける。
「魔法使いとして、行動はしていない?」
「そうだ」
そして、車内は静かになり。
しばらくして、その沈黙を破ったのはオルナだった。
「立ち直ってくれるといいな?」
励ましだった。
だが、運転している彼女の表情は少し険しかった。
「言ってみれば今回は復讐沙汰、だからな。
心の整理とは、簡単には言えるが、簡単には付く話ではない」
そうして、再び静かになろうとしたのを感じ取ったのかレフィーユは、思いつくように聞いてみた。
「だか、それに関しては、お前も同じ事が言えたはずだ。
そのお前の心の強さには感心出来るモノがある。
良く立ち直れたな?」
「それこそ、アラバのおかげだ」
意外な答えが返って来たので、レフィーユは少し驚くが、オルナはこうも付け加えた。
「そして、アイツの所為だ」
一瞬、悪意を発した自分に感づいたオルナは少し自粛の意味を込めながら、肩をすくめて言う。
「勘違いするな。悪い意味じゃない。
とりあえずさ。
全てが終わった事を、ジーナに報告しようと墓前に行ったらさ。
私の前に誰かが来ていたみたいで、花が備えてあったんだ。
前から、命日とかに時折、
いつも花やら、掃除がされてある事があったんだ」
「…もしかして、アラバが?」
「多分な。
昔から、掃除の仕方には同じ癖があるみたいだからな。
私の後にレフィーユ、お前も来た事があっただろう。
それもあって、今になってわかったんだ」
「相変わらず私に何も言わず、平然とそんな事をやってのける男だ。
だが、それが原因だと言うのは、少し分かり辛いな?」
「私はゼジに記憶を封印されていたとはいえ、今までアイツの存在すら知らなかったんだぞ?
そして、ああやって、時折、献花、掃除された墓を見る度に、私の周りには、まだ味方がいるのだと思い込んだ。
周囲も見ているんだと、信じ込んだ。
理由はとにかく、原因にはなるだろう?」
「ふっ、なるほどそれならアイツの所為だな」
彼女の笑みに、オルナは促されるように、こうも付け加える。
「だから、立ち上がろうと思ったんだ。
『駄目なまま、終わったら、駄目だ』」
そこにジーナがいたような気がしたので、一瞬、レフィーユは息を呑んだ。
だが、オルナは気づく事はなく話を続ける。
「だからさ、魔法使いとしてのアイツに会いたいんだ」
「魔法使いとしてか、直接会えば良いだろう?」
「いや、立ち上がってほしいんだ。
アイツは私を助けた。
その姿を、もう一度、見たいんだ。
だから、いつかで良いんだ。
お前とアイツの話も聞かせろよ?」
あえてだろうか、オルナの最後の一行に少し強めに感じた。
「やはり調べているのだな?」
「調べていたからこそ、アイツは悪役だった…。
だから、いつかで良い…」
その問いに、レフィーユは大きく息をすって、
「すまない…」
それしか言う事はなかった。
そんな空気を一蹴したのは、通信が入ったからだった。
運転中のレフィーユはとる事は出来なかったが、オルナは驚いて見せた。
「どうした?」




