第六十一話
「じゃが、酷い話ですのう」
数日後、イワトのこの一言は、ここにいるほとんどの人の心境だった。
レフィーユは頷いて言う。
「全てゼジが操っていた。
治安部もこの周辺で犯罪を犯すモノも。
まずはゼジが、様々なツールを用いて犯罪を呼びかけ。
そこで行われていた犯罪をゼジは、あたかも予測したかのように指示を出し、オルナに排除させていたのだろう。
実際の排除はオルナ、そして、指示を統括していたのはゼジ。
そうする事で自分の評価を稼いでいたと見ても違いない」
「じゃけど、そんなに上手くいくモンなんですか?」
するとレフィーユは、この意見には強めに頷いて言う。
「意外と上手くいく。
だからこそ、モブを利用したのだろう」
「どういう事ですか?」
「ここのでのモブとはネットで事件を起こそうと先導、集団で事件を起こす。
おかげでオルナ達は解決いたる事が出来なかった」
「それは悪かったな...」
唐突にオルナが入ってきたので、イワトが空気重そうに黙るが、レフィーユはそんな事で怯む事はない。
「別に卑下にしているわけじゃない。
そのモブは、頭、首謀者がいないが故だ。
そうする事で、統一意識を高めていた事が特徴であり。
「心理学に精通していたゼジには、それが出来た」
「それに怒りを買う対象もいた事もあるからな。
周囲の被害も省みない鎮圧活動は全て、お前に降りかかるように計算もされていた。
その証拠に、この地域の人間は、フォード学園治安部のリーダーはオルナだと、逆に驚かれていただろう?」
レフィーユの指摘に、オルナは改めて挨拶するように言う。
「おかげで地域住民には、リーダーが変わる事は何の抵抗も無かったよ。
今は信頼を取り戻すのに、手を焼いている」
「ふっ、苦労は絶えないようだな、新リーダー?」
冷やかされたかと感じたのだろうか、オルナは不機嫌ながら返す。
「先の事件は、こっちの治安部の大多数が関与していたのも痛い。
人員は減って、これでいて事件の量は変わらず。
これが苦労で済んだら、代わってみるか?」
睨み付けていたが、先のイワトの酷い話とは、この事を指していた。
「正義は無くなる事はあるが、悪事とは絶える事はないとは良く言ったモノだな」
改めてレフィーユは、このフォード学園の治安部部室を眺めると、明らかにイワトの『酷い話』は実感できたのか、さすがに言葉を失う。
「だからこそ、レフィーユの治安部の力をこうして借りているのだろう?」
そう言って、オルナは静かに言う。
「こんな状況にもなって私は逃げたら、今度こそジーナに嫌われるような気がするからな。
逃げるつもりはない」
「,,,そうか、では協力はしなければならんな」
するとオルナは、
「しばらくは迷惑を掛ける」
素直に頭を下げた彼女の態度にレフィーユは肩をすくめていると、警報が鳴り響いた。
オルナにレフィーユに視線を送ると、彼女も頷き治安部車両に向かっていた。
周囲もそれに続くように動き出し、レフィーユも乗り込もうとして。
「私が運転しよう」
運転手を追い出した。
移動する間、オルナと二人きりになるとオルナは自然と話に出した。
「魔法使いは、いなくなったそうだな?」




