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第五十九話

 「アラバ!!」


 動向を見守るしかないくらい、それほどゼジは素早かったので、イワトは名前を叫ぶ。


 「くっ」


 そして、ゼジはアラバの右腕を締め上げ、勝ち誇るように東方術で剣を作り上げ、アラバの喉元に突きつけ。


 「どうなるか、わかりますね?」


 ようやく笑顔になるゼジを、レフィーユはため息をついていた。


 「『そういう事をする』という事は、お前は罪を認めると言うのだな?」


 「これ以上、私がどう言い逃れをすれば見逃してくれるのです?


 だったら、私はこうしてこうするしかないでしょう?」


 「これ以上は、お前を無様をするだけだ」 


 「これまでの努力を無駄にしろと言うのですか!!」


 ゼジは叫んで、レフィーユに刀を突きつけた。


 だが、それが一瞬、スキが出来たのかと思ったゼジは、慌ててアラバに刀を突きつけ直して、冷静になる。


 「私はね、努力を積み重ねてきましたのです。


 ここにいる誰よりも…」


 アラバを締め上げて、興奮気味に聞いて来た、


 「アラバさん、貴方、努力をしたことがありますか?」


 アラバは口を開こうとするが、ゼジは締め上げて言う。


 「無いでしょうね!!


 貴方が努力したというのは、テスト前くらいなんじゃないです?


 でも、私はね。


 違うのです!!


 一を聞かれたら、十答えるほどの努力。


 十聞かれて、一つの明細な答えを出すよう。


 与えられた地位に、周囲の期待に答えてきた!!


 ですが…、その努力が、才能に負ける苦しみがわかりますか?」


 「オルナさんの事ですか…」


 「あの姉妹ぃ…」


 ゼジは叫び、アラバは腕を極められ顔を歪ませた。


 「あの姉妹が、順風な私の人生を狂わせた!!


 始まりは、武道大会に始まり。


 挙句の果てには、いつも落ちているインテリの合格者にまで、彼女の妹の名前が…。


 あの姉妹は、どこまで私の邪魔を…すれば…」


 ゼジの憎悪が高まり、アラバは顔を歪めながら聞いた。


 「…どうしてジーナさんの事はわかったのですか?


 その手の合格者というのは基本的に、マスコミなどの目を避けるために、名前は伏せられているはずでしょう?」


 「努力の結果です。


 私はね、インテリのテストに合格するために、人の心理学を学びました。


 そして、インテリの人達と面識があるのです。


 そんな中の会話にあったのです。


 『キミの町に合格者がいると聞いたが、キミは知らなかったのかい?』


 直感しましたね。


 時間は掛かりませんでしたよ。


 あの単純バカ(オルナ)には、姉妹がいた事が。


 シラナカッタノカイ、シラナカッタノカイ、シラナカッタノカイ!!


 天才(ジーナ)どもは、いつも私を見下す!!」


 自己の憤慨を抑えきれなくなり、地団駄を踏むような雰囲気に、イワトがアラバに『大丈夫か?』視線を送る。


 それを見たアラバは、頷いた動作のまま、ゼジに聞く。


 「そして、貴方はモブを操って、ジーナさんを殺害に至った」


 その問いにゼジは少しきょとんとする。


 「言っておきますよ。


 モブ達に依頼する際、私にも罪の呵責くらいはあったのです。


 彼女が陵辱される様を見た時でも、私にも正義感があったと思ったのですが…」


 そして、もう一度、笑い出す。


 「まーたく、そんな気が全然っ、おきませんでした!!


 全てが終わって、私が記憶を弄って、『……』とした、あの顔…。


 ざまあみろっていうのです!!」


 一同は黙り込み、ゼジは笑顔で言う。


 「アラバさん、聞きたいですかジーナさんが、どんな陵辱的な目にあったのか?」


 アラバも黙る。


 「まあ、聞きたくないでしょうね。


 ですが、貴方は人質なんです。


 今度、ゆっくり教えてあげましょう。


 さあ、道を開けなさい!!」


 ゼジは勝ち誇るように、アラバの腕を締め上げる。


 「……」


 彼の顔を歪んでいるのだろうと、心理的に優位に進ませれば、ゼジは自分の要求も通るだろうと確信していた。


 「……」


 明らかに周囲にいる空気が違っていた。


 「…ナさん」


 確かにアラバは『ジーナ』と名前を呼び。


 「……」


 息を吸い込む。


 「……」


 何かを抑えるように、もう一度、口を動かすのが見え。


 そこでようはくイワトが口を開く言葉が、不思議と場の空気を表していた。



 「アラバ、大丈夫か?」



 「ずっと、疑問でした…」


 周囲はゼジの凶行に、黙ったのではない。


 「貴女はこんな人のために…。


 どうして、何も言わず死んだのか…」


 ゼジだけが、この表情を見ることは無く、腕を極めて痛がらせようとしたのだろう。


 「さあ、行きなさい!!」


 そこでようやく異変に気付く中、レフィーユは言う。


 「賢かったからだろう。


 賢いが故に、いろんな事を考えてしまったのだろうな。


 姉である、オルナの事、自身の家庭の事。


 そして、お前の事も…。


 お前たちの共通している事情(ふこう)を踏まえて、言えなかったのだろう」


 「年下なんですよね。


 そういう時くらい、私たちを頼ってほしかった」


 極められた右手を握り締め、レフィーユに聞いた。


 「レフィーユさん、私は彼女に何をしてやれるのですか?」


 その様を感じ取れたのか、レフィーユは口を開く。


 「私は、お前が、そんな事もわからない男だとは、思ってはない」


 「この、ごちゃごちゃと…」


 アラバはゼジの右足を思い切り踏みつけ。


 拘束が解けた、振り向き様の拳が、ゼジのわき腹にめり込んだ。


 「ぐぼぉおおお…」


 ゼジも想定できなかった動きだったのだろう。


 今度は腹部の的確に捉え、武器を落として蹲らせる。


 「ふん!!」


 がら空きになった顔面に、左の拳がめり込む。


 右、左と入る頃に、


 「お、おい…!!」


 ようやくガトウやイワトが止めに入ろうと動いた。


 「ぶ、ぶべっ!!」


 周囲にしてもアラバが、そんな事が出来るとは想定しなかったのだろう。


 先にゼジの動きもそうだが、アラバの動きは、それ以上の早さだった。


 ゼジの髪を持ち上げ、アラバは彼女(ジーナ)を見つめていう、


 「ジーナさん、行きますよ…」


 アッパーカット。


、アラバは、その振りかぶりを見せる。


 その瞬間、


 誰もが見た。


 その姿が、オルナに被って見えた。


 「ひっ!!」


 それはイワトを叫ばせる。


 「やめろぉぉ!!」


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