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第三十七話

 「別に黙っていたワケじゃありませんよ。


 ただ私は、あの事件がまさか貴女の事件でもあるのだとは思いもしなかったのですよ」


 「でも、私たちが帰った時には知っていたんだろ。


 何で何も言わなかったんだ?」


 少し強めのオルナの視線を見て、アラバは言う。


 「私は確かにそばにいた人間ではあります。


 ですが、貴女がどう捉えようが、これは人が死んだ事件なんですよ。


 思い出したくない事件は、黙っておく事も必要だと思いませんか?」


 「……」


 「内心、お怒りなのはわかりますよ。


 ですが大して力になれないのも、事実なんですよ」


 「そんな事は、私が決める」


 「ですが、私は、あの時、彼女、ジーナさんを抱えた時、魔法使いは見ていないと言ったら、貴女は納得しますか?


 その時、貴女は調査し直す事が出来るのですか?


 っ!?」


 「オルナっ!!」


 思い切り胸倉を掴まれたので、アズがオルナを慌てて止めるが、彼女は暴れながら叫んだ。


 「お前に何がわかるんだ!!


 お前にとっては思い出したくも無い事件なのかもしれないがな、こっちは妹が死んでいるんだぞ!!


 レフィーユの手下だからって、いい気になりやがって!!」


 他の部員が流石に、アズだけじゃなく、同姓の部員達が止めに入ってようやくオルナは静かになり。


 俯いたまま、口を開いた。


 「もう調べる手段がないんだ。

 

 私は周囲が悪いというつもりは無い。


 でもな、私にとって昨日の様な出来事が、風化される事がどれだけの地獄か、お前にわかるか…?」


 「……」


 場が一度に同情で静かになり、今度はアラバが黙ると、取調室のドアが開いた。


 「ふっ、確かに先の発言は、この男の不用意な発言だったのかも知れんな」


 その声にオルナは舌打ちをして言う。


 「レフィーユ、今は私たちが尋問をしているんだ。


 助けに来たつもりだろうが出てけよ」


 「別に私は、お前たちがどんな捜査をするのか、見学に来ただけさ」


 「手下がどうなっても構わないと言うのか?」


 「この男は、手下と言うワケではない。


 だが…」


 そう言いながらもレフィーユは手にしていた資料を机に置いた。


 「レフィーユさん、勝手に資料を持ち出さないでほしいものです」


 「ゼジ、許可なく勝手に資料を持ち出した事は良くないのかも知れん。


 だが、このページを見て欲しい」


 レフィーユが見せた資料は、アラバの写ったあの写真だった。


 「ふっ、通行人が撮った写真にしては、良く撮れている。


 こんな顔をする男が、犯人と言う無いのがわかるくらいにな」


 「やっぱコイツを助けに来たんじゃねえか…」


 オルナは馬鹿馬鹿しいとばかりに、レフィーユを間に入ろうとするが、


 「ジーナ・パート、死因は落下の時による前人の強打。


 アラバ、そこでお前に質問だ。


 落下事故における、応急処置に重要な事とはなんだ?」


 静かに聞いて来た事に、アラバは思わず大きく息を吸い込むのを見て。


 「お前の応急処置に関しての、技量を見た上で私は聞いている」


 「身体を出来るだけ動かさない事ですね」


 「そうだ、身体をあまり動かさず的確な処置を行う事が適切な処置とされている。


 アラバ、何故、抱えて動かした?」


 「……」


 黙ったままのアラバを見て、レフィーユはため息のような息を吐き。


 こう言った。


 「どうやら、お前の処置には過失が見られる。


 シュウジ・アラバ、お前を拘束する」


 その一言に周囲はざわつき、さすがにゼジは慌てて言った。


 「確かに彼には過失があったのかも知れないですが、もう二年前の事件なんです。


 そこまでしなくても…」


 「ふっ、それがどうした?


 例え年月が経とうが、遺族は全ての事を明確にする事を望むだろう」


 レフィーユはオルナを見つめ、そして、アラバと一緒に留置場に連行していった。


 「これで良いのか?」


 そして、誰もいない事を確認して、レフィーユは聞いて来た。


 「何の事でしょうか?」


 「元々、コレがお前の望みだったはずだ」


 「誰も、他の学園の留置場に留まりたいとは思えませんがね?」


 じ~。 


 監視カメラの動く音が、聞こえる中、レフィーユは呆れて言う。


 「お前が資料を調べる映像を見た。


 そして見終わった際、あの資料を開きっ放しにして帰れば、何かあると思うのは普通だろう」


 「資料室で開きっ放しする事くらい普通だと思いますが?」


 それを聞いたレフィーユは立ち止まり。


 「破滅のタイミング…」


 アラバはその言葉に反応したところで歩みを止める。


 「その破滅するタイミングが山ほどあるのが、お前の日常だ。


 普段なら、あんな穴も残さないのがお前の行動だ。


 アラバ、お前は何を考えている?」


 だが、しかし、しばらく沈黙が続き、レフィーユは留置場から手続きを終えると、オルナがやって来たので、二人の会話はそこまでだった。


 「助けると思ったんだが?」


 再び彼女が口を開くのは、留置場に拘束してから帰る際、オルナと帰る頃だった。


 「私は全てを明らかにしたいだけだ」


 「すまない、私はお前を見くびっていた。


 改めて協力させてくれ…」


 そう言って、オルナは握手を求めたが、レフィーユは気に入らない様子だったが。


 『緊急放送です、治安部員は至急部室に集まってください。


 繰り返します…』


 計ったように校内放送がなり響いた。


 『市街地にて、集団で暴れている事件が発生しています。


 なお、この事件の首謀者は漆黒の魔導士…』


 オルナはそれを聞いた途端、気合旺盛で部室に走るが、レフィーユは更に視線が細くなり表情が険しくなる。


 その先には、


 「一体、何を考えている…?」


 漆黒の魔導士が拘束されている留置場があった。

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